麦が実り、たわわに黄金色の穂をつける麦にとっての「秋」の季節。それは梅雨入りもせまるつかの間の乾燥期、つまり今の季節のことをさします。一般的に麦の種を蒔くのは晩秋から初冬にかけて。寒い冬に芽を出し、春の暖かさを迎えるとすくすくと育ち、やがて麦畑は鮮やかな緑色で覆い尽くされます。そして、初夏、眩い陽光に麦畑がきらめき、爽やかな風に金色の穂が揺らぎます。麦の収穫時期を迎え、米と麦の二毛作を行う農家では、刈入れにおわれ大わらわです。
本日は、そんな麦にせまるよもやま話に注目です。

日本伝来!弥生時代の麦でつくられたパン!?

さて、麦はいつごろから日本で栽培されていたのでしょうか。
日本で小麦の栽培が始まったのは弥生時代で、パンの原型と言われる、小麦を練って作られた蒸や焼餅と言う食べ方が中国から伝わりました。この頃は、まだまだ発酵したパンは食されていいなかったようです。日本で発酵したパンが登場するのは、1543年の鉄砲伝来からになります。
この頃、いち早く南蛮文化を取り入れていた織田信長が、固いパンの一種【ビスコート】を食べたと言う記録が残っています。しかし、パン食の普及の必要性は、日本人ではなく、来日してきた貿易商や宣教師たちにとってのものだったようです。
その後、キリシタン弾圧や鎖国により影を潜めたパンが、日本で再び姿を現すのは1840年代。中国でアヘン戦争が勃発し、日本への飛び火を怖れた幕府が、イギリス軍を迎え撃つために準備を始めた頃のことです。幕府は、とぎ汁や炊飯の煙が出る米ではなく、パンの方が携帯食に便利と考えて、製パン設備を作り、大量生産を始めました。日本人による日本人のためのパンの製造はこの時が初めてだと言われています。

もちもち食感がおいしい「もち麦」のさらに納得のヒミツ

麦は大きく分類すると「六条大麦」と「二条大麦」に分かれます。
一般的に六条大麦は「麦ごはん」や「麦茶」に。二条大麦は別名ビール麦とも呼ばれ、ビールや焼酎といった酒造りの原料となっています。
さらにその“性質”でお米と同様に「うるち」と「もち」に分類されます。もち米のように、“粘性が高くもちもちした食感”のものが「もち麦」です。
腸内環境を整えるスーパー食材として人気の「もち麦」。注目の理由は水溶性食物繊維の「大麦Bグルガン」で、腸内の善玉菌のエサになって腸内環境を整えるという機能が報告されています。さらに、糖質の吸収を抑え、食後の血糖値上昇を抑える機能があるという報告も。
「大麦β-グルカン」の働きはそれだけではありません!強い粘性でコレステロールを吸着し体外への排出を助けることも報告されています。
参考
大塚製薬麦ごはん

ビールの分類、こんなにあるの⁉夏にむけてチェック!!

ビールの種類は製造法や原材料などによって、世界中にたくさんの種類がありますね。夏にむけてお気に入りを探すのも楽しみの一つです。
【ピルスナー Pilsner】
1842年チェコのピルゼンで生まれた傑作。ホップの効いた爽快な香味の淡色ビール。世界中に最も普及しており、日本の淡色ビールもこのタイプに属します。アルコール分は4.0~5.0%。下面発酵ビール。
【ボック Bock】
ドイツのアインベックが発祥の地で、その後バイエルン地方で発展したビール。元は濃色ビールでしたが、今は淡色ビールが多くなっています。ホップの香りも芳醇で、こくがありアルコール分も高く6.0~6.5%。
【エール Ale】
イギリスで発展したビール。淡色でホップの香味を効かせたペール(Pale)エール、中濃色でホップの香味を抑え麦芽の香りを出した穏やかなマイルド(Mild)エール、これより色の濃いブラウン(Brown)エール、濃厚なエキスポート(Export)エール、ホップの苦味の効いたビター(Bitter)エール(単にビターともいう)、スコットランドの濃色濃厚のスコッチ(Scotch)エール等があります。アルコール分は2.5~5.5%。上面発酵ビール。
【アルト Alt】
ドイツのデュッセルドルフで発展した濃色ビール。ホップの香味を効かせたのが特徴で、ほぼ英国産のエールに相当します。アルコール分は4.5~5.5%。上面発酵ビール。
【ケルシュ】
ドイツのケルン特産の淡色ビールで、製法、香味ともアルトに似ていますが、淡色麦芽だけを用いるので色は薄くなっています。アルコール分は4.3~5.0%。上面発酵ビール。
【バイツェン Weizen】
ドイツのバイエルン地方で発展したビールで淡色ビールが多いが一部濃色ビールもあります。小麦(ドイツ語でバイツェンという)麦芽を50%以上使用して苦味がたいへん弱く、炭酸ガス含量も高く、清涼感があります。本来はびん中で後発酵させるのですが、びん底にオリが沈むため、ろ過してびん詰めするものもあります。輪切りのレモンを添えると一層風味が増します。アルコール分は5.0~5.5%。上面発酵ビール。
【トラピスト Trappiste】
ベルギーに伝わる古いビールで、修道院でつくられていたことに由来。イギリスのエールに近く高濃度の濃色ビール。びん中での後発酵も行われます。アルコール分は6.0~10.0%。上面発酵ビール。
【ポーター Porter】
1722年にロンドンでつくられ急速に発展しました。ロンドンのポーター(荷物を運搬する人)が好んで飲んだところがこの名の由来
濃厚でホップの苦味の強い濃色ビールで19世紀中頃にスタウトが現れて急激に衰退しました。アルコール分は5.0~7.5%。上面発酵ビール。
【スタウト Stout】
1847年イギリスで原料に砂糖の使用が許可されたので、ポーターの製法で原料の一部に砂糖を用いてつくられたビールです。アルコール分は4.0~8.0%。  アイルランド、ダブリンのギネスを代表とする濃厚でホップの苦味の強い濃色ビールのほかに、スイート(Sweet)スタウトと称する低発酵性の甘いスタウトもつくられています。上面発酵ビール。
【ランビック Lambic】
ブリュッセル地方でつくられる、ベルギーを代表する伝統的なビール。大麦麦芽のほかに小麦も使用し、わざわざ古いホップを使います。培養酵母は用いず、空気中に浮遊している酵母やバクテリアで、1~2年またはそれ以上自然発酵させ手間暇かけています。特有の香りがあり、酸味が強いので、他のビールで割るか甘味料を加えて飲むのが一般的です。
グーズ(Gueuze)はランビックの一種で、できあがったランビック1/3と1年程度自然発酵させた若いランビック2/3を混ぜて1年間発酵後びん詰めし、びん中でさらに発酵。発泡性が強くシャンパンのような風味があります。いずれもアルコール分は通常5.0~6.0%。自然発酵ビール。
【アメリカビール American Beer】
アメリカで発展した軽いピルスナータイプのビール。とうもろこし等の副原料を多量に用いて、ホップの苦味を抑え、さらに炭酸ガス含量を高めて軽い香味の清涼感が強いのが特徴です。カナダ、中南米の淡色ビールもほとんどこのタイプ。アルコール分は約4.5%。下面発酵ビール。
引用:
ビール酒造組合
一口にビールといっても、実にたくさんの種類がありますね。それぞれの特徴を意識しながら飲んでみると、味わいも豊かに感じられそうです。

麦にまつわる季語

麦にまつわる季語についても調べてみました。
「麦蒔(むぎまき)」
季語としてのは初冬となっています。麦の蒔(ま)きどきは種類や地方によって異なりますが、冬枯れの中、緑も鮮やかに「麦の芽」が伸びていく生命力を感じさせる季語です。。
「麦踏(むぎふみ)」
麦の芽が伸びすぎないように、また霜で浮き上がった根を押さえ、張りをよくするための作業です。春もまだ寒い時期の季語となっています。そして春の暖かさの中で「青麦」が畑を明るい緑で覆いつくしていきます。
「麦秋」
初夏、いよいよを迎え「麦刈(むぎかり)」ほか「麦打(むぎうち=麦の脱穀)」「麦埃(むぎぼこり=麦を脱穀するときに出る埃)」「麦藁(むぎわら)」など収穫に関する季語がたくさんあります。
※参照:日経新聞
夏の飲み物として「麦茶」も季語です。麦藁を使った「麦藁籠(むぎわらかご)」「麦藁帽」もいいですね。麦わらの花言葉は「あなたに賛成」。
暑くなったり、雨が降ったり、体調もなかなかととわない季節ですが、どうぞご自愛ください。