1955年の今日、国語辞典の「広辞苑」の初版が岩波書店より発行されました。1935年に博文館から発行された「辞苑」を改定して作られた「広辞苑」は、東京大空襲などの被害が影響して、発行にこぎつけるまで20年という歳月がかかりましたが、初版から大ベストセラーとなったそうです。そして、この発行を記念して、5月25日は「広辞苑記念日」とされています。そこで今日は、日本の言葉「大和言葉」についてご紹介したいと思います。

日本で使われる言葉は大きく3つに分けられる

日本で使われる言葉は、大きく3つに分けられます。それは中国から取り入れられた「漢語」、中国以外の諸外国から取り入れられた「外来語」と、私たちの祖先から使われてきた日本固有の言葉である「大和言葉」です。例を挙げてみると、「とまる」は大和言葉で、「停止」が漢語、「ストップ」が外来語となります。同じ意味を表す言葉でも、響きも見た目の文字も異なるので、話す相手や場所、状況に応じて意識的に使い分けている方もあるでしょう。しかし、大和言葉の響きや、文字の並びに柔らかさや優雅な余韻を感じるのは筆者だけでしょうか。太古の日本では、言葉には霊力が宿ると考えられており、美しい心で発せられた言葉が日本の幸せや平安を作っていると言われていたそうです。私達現代の日本人も、美しい大和言葉を見直してみてはいかがでしょう。それでは、日常で自然に使える大和言葉をご紹介しますので、会話やメールなどから気軽に使ってみましょう。

思いのほか日常的に使っている!? 美しい大和言葉

お仕事やプライベートでお客様をお迎えする機会の多い方は、思いのほか、大和言葉を使っていることが多いものです。例えば「お待ち申し上げておりました。」などは丁寧な大和言葉にあたります。「ようこそお運びくださいました。」「どうぞお上がりください。」などもその類です。また、お礼のメールを出すのが遅れてしまった時に「遅ればせながら」を添えたり、個人的な内容を伝える際に「ところで」や「唐突ですが」と書き出さずに「私事ですが」に置き換える、相手のお返事を待つことを伝えるには「ご返信ください」よりも「お返事を心待ちにしております」という言い方をする方がより柔らかい印象を与えるのではないでしょうか。時代に沿った言葉にも関心を持ちながら、自ら発信する言葉には常日頃意識を向けておきたいものです。今日は、広辞苑記念日です。
出典:高橋こうじ「日本の大和言葉を美しく話すーこころが通じる和の表現ー」(2014)東邦出版