そろそろ本格的に暑さ対策を考えなければならない時季ですね。
体が感じる暑さは、気温だけでなく湿度も大きく関係します。そのため梅雨の時季や初夏から暑さ対策を講じておきたいもの。
今の時季から“いい汗”をかくトレーニングを取り入れておけば、急な暑さにも順応しやすい体を作ることができるんです。そこで今回は、“いい汗”の意味と、“いい汗”のかきかたについてご紹介します。

本格的な夏がくる前に、体を暑さになれさせよう!

風薫る5月は風も陽射しも気持ちいいですね。でも日によって気温が上昇することも。ちなみに、下の3つの気象用語の違いをご存じですか?
「夏日」→最高気温が25℃以上の日
「真夏日」→最高気温が30℃以上の日
「猛暑日」→最高気温が35℃以上の日
爽やかな時季であっても、気温が高くなる日もありますし、そうした日は気温の変化によって、体がダメージを受けやすくなります。
気温が高くなると私たちは自然と汗をかきますが、私たちの皮膚に備わっている「汗腺(汗を分泌する腺)」も急激な変化に対応しづらくなり、急に気温が上昇しても汗腺がすぐに開かず、汗をかきにくくなっていることが多いのです。

汗には、“いい汗”と“悪い汗”があるんです!

体が汗をかきにくい状態のまま気温が上がると、体にどんな弊害が起きやすいのでしょうか。
●熱を放出するための汗が出にくくなってしまうことで、体に熱がこもりやすくなってしまう
汗を分泌する腺を「汗腺」といいますが、汗腺には2つの種類があります。
●エクリン汗腺 → 肌の表皮に開口
温熱刺激によって全身に発汗をきたし、体温調節に関与
●アポクリン汗腺 → 体温調節の役目は果たしていないとされる汗腺
数はエクリン腺よりも少なく、主に乳輪、外耳道、鼻翼、鼻前庭、臍囲、外陰部、男性の髭の生えた部分などにあり、エクリン腺とは分泌機構が異なる
2つの汗腺の違いがわかったところで、ここで注意が必要です。
それは、汗をかいていると思っても頭部、顔、脇、背中などの部分的な汗は、温熱刺激によってエクリン汗腺から出ている全身発汗とは違い、アポクリン汗腺から出る汗のこと。
でも、どちらの汗腺から出ている汗から判別しずらいですよね。
次の観点で汗の違いを認識すると、わかりやすいでしょう。
“悪い汗” → 指で触ったときにベタッとしていて、臭いを感じる
“いい汗” → 指で触ったときにサラサラしていて、臭いを感じない

汗腺は2種類あり、小さい汗腺(エクリン汗腺)からしっかり汗を出すことが大切
汗腺は2種類あり、小さい汗腺(エクリン汗腺)からしっかり汗を出すことが大切

“いい汗”をかくために有効な「汗腺トレーニング」

では、“いい汗”をかくために有効な「汗腺トレーニング」とは、どんなことをすればよいのでしょうか?
汗腺をトレーニングと聞くと、少し難しく感じる人もいると思いますが、要は「汗をよくかくようにしておくこと」なので、ちょっとした日常の工夫で“いい汗”をかけるようになります。
●日頃からよく運動をする人
普段から体温調節に関与するエクリン汗腺から汗を分泌しているので、急な暑さにも順応しやすいといえます。
●運動をしない人
ウォーキング(継続的に15分以上)を生活に取り入れ、“いい汗”をかくトレーニングをして急な暑さにも順応しやすい体作りに取り組みましょう。
●湯船に浸からずシャワーだけですますことが多い人
湯船になるべく浸かるようにして、“いい汗”をかくトレーニングをして、急な暑さにも順応しやすい体作りに取り組みましょう。
●冷え性の人
軽度の運動や湯船に浸かるなど、日常の中で“いい汗”をかくトレーニングをして、急な暑さにも順応しやすい体作りに取り組みましょう。
●室内で過ごす時間が多く、外を歩く時間が少ない人
こうした人は汗をかく機会が少なく、汗腺は閉じた状態にあることが予想できます。
そのため、意識的に「湯船に浸かる」「ウォーキング(継続的に15分以上)」などを取り入れ、“いい汗”をかくようにしておきましょう。
“いい汗”をかく汗腺トレーニングを継続的に2〜3週間続けると汗が出やすくなり、いざ気温が上昇しても、体外に熱を上手に放出しやすい体になります。

湯船に浸かって体の芯から温めると、眠りにもつきやすくなります
湯船に浸かって体の芯から温めると、眠りにもつきやすくなります

“いい汗”をかくための改善方法も理解しておこう!

“いい汗”と“悪い汗”の違いと、“いい汗”をかくためのトレーニング法がわかったところで、 “いい汗”のかきかたを再確認しておきましょう。
●入浴後
湯船にしっかり浸かって体が温め、「かなり汗をかいたな〜っ」と思った後、すぐにエアコンがしっかり効いた室温の低いリビングなど、移動するのは避けましょう。
また、扇風機やエアコンの送風口の前に立って、一気に汗を引かせようとするのも望ましくありまん。せっかくトレーニングした汗腺が、“お休み状態”に戻ってしまうからです。
●汗腺を“お休み状態”に戻らせないための手順
(1)タオルなどで汗をゴシゴシ拭かず、押さえるようにして拭く
(2)“いい汗”をすぐに引かせようとせず、徐々に徐々に汗が引くようにする

“いい汗”をすぐに引かせようとしないことが大切
“いい汗”をすぐに引かせようとしないことが大切

暑い時季だからといって、冷たい飲み物ばかりとっていませんか?

さらに、体を温める食材を献立に取り入れた、“いい汗”をかきやすい体作りにも大切です。例えば、抗酸化力の高い食材を積極的にとっていますか?
野菜をあまり食べないなど食事が偏っている人や、動物性タンパクを好んで食べている人。加えて、冷たい飲み物を一気に飲むことは体を冷やす原因になるので、なるべく常温や温かい飲み物を取るようにして、大豆、根菜類、黄色野菜、ニンニク、ショウガなどの香味野菜や、ベリー類、バナナ、トマト……などの食材をとるように心がけましょう。
もうすぐ本格的な夏がやってきます。暑くなる前に、汗腺が開かれた暑さに強い体を作っておきましょう!
参照・公益財団法人長寿科学振興財団

温活のためにも、温かい飲み物を飲む習慣をつけきましょう
温活のためにも、温かい飲み物を飲む習慣をつけきましょう