二十四節気の「小満」になりました。ところで「しょうまん」って どんな季節でしょうか? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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二十四節気の「小満」になりました。ところで「しょうまん」って どんな季節でしょうか?

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二十四節気は春・夏・秋・冬それぞれの季節を三つに分け、始まりを「初」盛りを「仲」終わりを「晩」とし、さらに前半と後半に分けてその時節にふさわしい名前を付けたものです。
先月四月は晩春にあたり「清明」と「穀雨」でした。寒さの終わった春の明るさと作物を育てる春の雨がイメージされて、この季節の雰囲気が伝わってきます。立夏の後半「小満」はなんとなくぼんやりとしてイメージが湧いてこない、という気がしませんか? 「初夏」から「仲夏」への橋渡しとなる「小満」とはどんな時季なのでしょうか。ちょっと考えてみたいと思います。

始まりは、蚕が旺盛な食欲を発揮して桑の葉を食べ続けます

二十四節気「小満」をさらに三つに分けた七十二候では「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」が初候になっています。
養蚕農家はこの時期1日24時間休むことなく桑の葉を蚕に与えるために大忙しとなります。家族揃ってごはんを食べることもできないほど忙しいんだ、と子供の頃を振り返って話してくれた友人がいました。桑の葉の中で音を立ててひたすら食べ、休み、食べ休みをくりかえしながらやがて絹糸腺から糸を吐いて、からだのまわりに繭をつくります。一個の繭をほぐすと糸の長さは普通の繭でおよそ1200m、長いものでは1500mのものもあるとか。
蚕は何千年もの長い間人間によって飼育されたことで習性が変わり、人が世話をして管理をしないと生きていけなくなったということです。蚕はもともと「こ」としか読まなかったのが、人に飼われることがあたりまえとなり「飼い蚕(かいこ)」から一文字で「蚕(かいこ)」となったそうです。
良質な絹織物は、鎖国を解いて海外との貿易が始まった明治の日本にとって大切な輸出品だったことは、富岡製糸場が世界遺産に指定されたことでさらに有名になりました。元号が令和となって上皇后となられた美智子さまが、蚕の品種のひとつ、非常に細く上質の糸をつくる「小石丸」を残し育てられていたことは有名ですね。絹糸で作られた美しい織物のかずかずは日本の文化にとって欠かすことのできない芸術の一端をになっています。
やがて美しい絹糸を作るために蚕が大いに力を発揮する、それが「小満」の始まりです。

いよいよ盛んに! 紅花が花の時を迎えます

「小満」の次候は「紅花栄(べにばなさかう)」です。紅、くれない、華やかな紅い色に昔から人々はときめきや崇高さを感じてきました。その染料となるひとつに紅花があります。紅花が盛んに咲くのがこの頃というこです。「くれない」というのはもともと色の名前ではありません。中国の「呉」から伝わった染料という意味「呉の藍(くれのあい)」から「くれない」となったということです。
染料の材料となる花びらは初め黄色、次第に紅色に変わります。この花びらを採集して乾燥したものが染料のもととなる紅花(こうか)です。美しい紅色に染めるためには酸を加えて発色させます。「紅(べに)」といえばやはり口紅ではないでしょうか。江戸時代の化粧用の紅は貝殻や小さな器の内側に紅が塗りつけられて売られていました。浮世絵を彩った美人の唇に紅の艶やかさを見ることができます。紅筆でそっと紅をとるときめきが伝わってくるようです。今でも商品として作られ販売されていますから、興味のある方はぜひ試してみてください。
紅花の種子を絞ったものは紅花油です。食用ではマーガリンに、また石鹸や塗料にも使われるということです。自然のものを生かして使う生活は、ひとつの植物でも多様な使い道を見出していました。「小満」の真ん中は紅花が咲き乱れる初夏の華やかさです。

終わりは麦の秋、麦が熟す頃「麦秋」です

実りの時期を「秋」とするならば、麦にとっては初夏がその時。小満の末候は「麦秋至(むぎのときいたる)」です。写真は大麦です。長い芒(のぎ)とよばれる髯がまっすぐに天にのびている姿はなんとも堂々として清々しいものです。「実るほど頭を垂れる」といわれる米の実る姿とは正反対ですね。
麦といえば代表は大麦と小麦。小麦は小麦粉としてうどん等の麺類、パンの材料に使われていますし、天ぷらやお菓子作りのために家庭で購入するほど身近な食品になっています。では大麦はどうでしょうか。あんがいパッと何に使われているかをあげることは難しいですよね。じつは本当に日常口にしているんですよ。まずは麦飯、次にごはんに欠かせない味噌汁。麦麹には大麦が多いそうです。そしてなんといっても、仕事の終わりにまず一杯欲しくなるビールの原料は大麦です。夏に向かって冷蔵庫には定番の麦茶も大麦が使われています。麦は米とともに私たちの生活を支えてくれているのがよくわかります。
麦秋を迎えると「小満」もおわりです。

「小満」の時節はすべて生み出す力!

「小満」は少し満ちてきた季節と読めますが、江戸時代にできた『暦便覧』の「小満」の記事は「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」とあります。どちらも満ちあふれる意味をもつ「盈満」の二文字こそ初夏のエネルギーを伝えるものと感じます。これから始まる種蒔きや田植えを思う時、日本人にとってのは秋の実りこそが「盈満」。夏に向かう若葉の繁りは大きな収穫の一歩として「小満」なんですよ、と言われている気がしてきます。
すべてが延び盛る初夏を、ちょっと控えめに「小満」と表現したこの季節の大切さも見えてきた気がしませんか。むかえる梅雨、暑い夏に向けて体調の管理も重要ですね。暦に込められた意味を読み解いてみるのもまた楽しいものではありませんか。


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