もし、あなたが裁判員に選ばれたら?──裁判員制度導入から10年 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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もし、あなたが裁判員に選ばれたら?──裁判員制度導入から10年

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無罪、有罪、量刑……を判断することに

無罪、有罪、量刑……を判断することに

ドラマや映画ではお馴染みですが……

ドラマや映画ではお馴染みですが……

特別な知識や経験は不要

特別な知識や経験は不要

令和の世になり、日本は祝賀ムードに包まれていますね。その一方で、痛ましい事故や事件も起きています。法律、裁判などに関心をもち、正しい知識を身につけることは、令和という新しい時代を安心して生きていく備えになるのではないでしょうか。
裁判員制度が始まって10年。
今回は、身近になったとはいえ、まだまだ知らないことがいっぱいの裁判員制度について、簡単に学んでいきましょう。

市民の・市民による・市民のための裁判

ニュースや報道番組、ドラマなど、目にすることの多くなった裁判員制度ですが、その具体的な内容については、あまり知られていないのではないでしょうか?
2009年に施行された裁判員制度は今日5月21日で、ちょうど10年を迎えました。
最高裁判所のウェブサイト『よくわかる!裁判員制度Q&A』をもとに、ポイントをおさえていきましょう。
【裁判員制度とは、どのような制度?】
「裁判員制度は、個別の事件について、国民の皆さんから選ばれた6人の裁判員の方に、刑事手続のうち地方裁判所で行われる刑事裁判に参加してもらい、3人の裁判官と一緒に被告人が有罪か無罪か、有罪の場合どのような刑にするのかを決めてもらう制度です」
とあります。そして、
「裁判員制度では、裁判の進め方やその内容に国民の視点、感覚が反映されますので、その結果、裁判全体に対する国民の理解が深まり、裁判がより身近に感じられ、司法への信頼が高まっていくことが期待されています」
とあります。
確かに、「裁判」というと、私たちの日常からかけ離れたような、敷居の高いイメージがありますね。
それにしても、刑事裁判に参加し、裁判官と一緒に被告人の有罪か無罪、有罪の場合には量刑(刑の重さ)も決めるとは、責任重大です。

20歳以上で選挙権があれば、誰でも裁判員に選ばれる

しかも、裁判員制度が対象にする事件は、殺人や強盗致死傷、身代金目的誘拐など、ある程度重大な事件とされています。裁判員に選ばれるには、特別な資格や知識、経験が必要なようにも思われるのですが……。
【裁判員に選ばれるのは、どのような人?】
「20歳以上で衆議院議員の選挙権があれば、原則として誰でも裁判員に選ばれる可能性があります」
では、どのような手順で裁判員が選ばれるのか、追っていきましょう。
・裁判員候補者名簿の作成(前年秋頃)
20歳以上で選挙権のある人の中から、翌年の裁判員候補者となる人を毎年くじで選び、裁判所ごとに裁判員候補者名簿を作ります。
・候補者への通知、調査票の送付(前年11月頃)
調査票の記載から、明らかに裁判員になれない人、一年を通じて辞退事由が認められる人は、 裁判所に呼ばれることはありません。
・事件ごとにくじで裁判員候補者が選ばれる
・選任手続期日のお知らせ、 質問票の送付(選任手続期日の6~8週間前)
期日のお知らせには裁判員を務める予定の期間が記載され、法律上「呼出状」 と呼ばれています。
質問票の記載から、辞退が認められる人は裁判所に行く必要はありません。
・裁判所で、候補者から裁判員を選ぶための手続(選任手続)を行う
裁判長から辞退希望等について質問されます。(質問手続)
この段階において、裁判員になれない人や辞退が認められた人は候補者から除外されます。
・裁判員となる人を決定
検察官や弁護人は、裁判員に選任しない人を指名することができます。 (原則として各4人まで) 最終的にはくじも交えて裁判員6人を決定します(必要な場合は補充裁判員も選任します)。
※補充裁判員とは,裁判員に欠員が生じた場合,その裁判員に代わって裁判員を務める人。裁判員と同じように最初から最後まで裁判を見続ける。

裁判員に選ばれたら……

裁判員に選ばれた場合、原則として辞退はできません。ただ、法律等で認められた辞退の事情としては、
・70歳以上
・学生、生徒
・妊娠中、出産して8日以内 などがあります。
さて、くじで選ばれるとすれば、あなたにも裁判員になる可能性がありますね。そこで、予備知識としておさえておきたいポイントをあげてみましょう。
【裁判員とは?】
・日当、交通費、宿泊料は必要に応じて支払われる
日当の具体的な金額は、裁判員候補者は1日あたり8000円以内、裁判員及び補充裁判員は1日あたり1万円以内で、選任手続や審理等の時間に応じて決められます。
・裁判員が裁判に参加する日数は、多くが5日前後
事前に事件の争点や証拠を整理しておくので、ポイントを絞ったスピーディな裁判が行われるようです。
・実際に裁判が行われる時間は、通常は1日に5時間〜6時間程度
・裁判員になったことを(ネットなどで)公表してはいけないが、 身近な人に話すことはかまわない
休暇を取得するために、裁判員(候補者)になったことを職場の上司等に話すことは差し支えなく、むしろ、積極的に相談して周囲の理解を得ることが重要とされます。
・裁判員は法律で保護されている
裁判員の名前や住所などの情報は、公にしてはならないとされています。また、事件に関して裁判員に接触することも禁止されています。

実際の裁判では……

サスペンスドラマや映画などでよく目にする裁判ですが、自分がその場に居合わせ、被告人の判決や量刑にかかわるのは想像もつかない重責でしょう。
【裁判員裁判の流れ】
冒頭手続(法廷)
・ 被告人の確認(人定質問)
・ 検察官が起訴状を朗読する
・ 被告人と弁護人から起訴状に対する言い分を聞く(意見陳述)
審理(法廷)
1、 証拠調べ手続
・ 検察官、弁護人が証拠により証明しようとする事実を説明(冒頭陳述)
・ 検察官や弁護人が提出した凶器などの物や書類を取り調べ、証人や被告人に対する質問を行う(証拠調べ)
2、 弁論手続
・ 検察官が事実関係や法律的問題などの意見を述べる(論告)
・ 検察官が被告人に与えるべきと考える刑を述べる(求刑)
・ 弁護人が事実関係や法律的問題などの意見を述べる(弁論)
・ 被告人が意見を述べる(最終陳述)
評議(評議室)
裁判員と裁判官が話し合い、有罪か無罪か、 有罪の場合にはどのような刑にするか決めます。
判決手続(法廷)
裁判官が評議の結果に基づき、被告人に判決を言い渡します。
裁判員は法廷で聞いた証人の証言などの証拠に基づいて、他の裁判員や裁判官とともに行う評議を通じ、被告人が有罪か無罪か、有罪だとしたらどのような刑にするべきかを判断します。
法律の知識がなくても、このような判断ができるのかと不安になるかもしれませんが、
「裁判員には事実があったかなかったか、どのような刑にすべきかを判断していただきます。それらの判断に通常法律の知識は必要ありませんし、必要なことは裁判官がきちんと説明します」
とありますので、心配は無用のようです。

裁判員経験者の約96%が「よい経験」と回答

課題もあります。裁判員の辞退率は上昇傾向にあり、2009年のスタート時には53.1%だった裁判員辞退率が、2019年には68.4%に。また、裁判員に選ばれながら、無断欠席する人が3割を超えるといいます。
その一方で、最高裁は、裁判員を経験してみて「よい経験だった」と96%が回答したと発表しています。
評議がどのような過程を経て結論に至ったのかということや、事件関係者のプライベート、裁判員の名前などには守秘義務が課せられていますが、
「法廷で見聞きしたことや裁判員を務めた 感想は、話してもかまいません 」
裁判員経験者を交えた意見交換会も開催されているようです。
裁判員等に選ばれる確率は全国で一年あたり、20歳以上で選挙権のある1万3500人に一人程度ともいわれています。選ばれるにせよ選ばれないにせよ、裁判員制度の基本ラインを知り、裁判員経験者の声をネットなどで、のぞいてみるのもいいかもしれませんね。


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