「知って得する季語」──「春」は動物たちの恋の季節

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本日11時40分頃、臨時閣僚会議を経て、菅官房長官より新元号「令和」が発表されました。「令和」の典拠は「万葉集」とのことですが、いよいよ御代替わりですね。
そして今日4月1日は「エイプリルフール」でもあります。日本では「万愚節(まんぐせつ)」「四月馬鹿(しがつばか)」と呼び、春の季語となっています。大正時代に西洋から伝わった行事で、この日ばかりは罪のないいたずらや嘘などを言って驚かせてもいい日。春の浮き浮きした気分にマッチする楽しい行事ですね。
さて4月といえば、4月5日には、二十四節季の「清明」に入ります。清明は(清く明るい気が満ちる)の意味を持ち、入学式や入社式など新たなスタートと重なる節季。また出会いの季節でもあり、生命力にあふれています。それは人間ばかりではなく動物も同じこと。
そこで今回は、自然界における動物たちの「恋」に関しての季語を調べてみました。知らなかった意外な生態がわかるかもしれませんよ。

春の季語からわかる動物の生態

春になり、鳥のさえずりや蛙の鳴き声など、何やらにぎやかしい雰囲気を感じている人も多いのでは? そこには春ならではの理由があるのですが、季語から紐解いていくことにしましょう。
「猫の恋」「恋猫」
猫は日本には奈良時代に中国から渡来したという説が有力。年に4回ほど交尾するが、春がもっとも多く、発情するときの甲高い鳴き声があわれをさそうので、芭蕉の時代に季語になったそう。近年では野良猫の避妊手術なども行われ、あまり聞かれなくなった。
「春駒(はるごま)」「仔馬(こうま)」
馬は春に出産する。発情期は春であり、妊娠期間も1年。仔馬は生まれて1時間ほどで立ち上がり、外に出られるまで約1週間、秋の乳離れまで母親と常に一緒に過ごす。春駒は春の野辺で遊ぶ仔馬のこと。
「春の鹿」「孕(はらみ)鹿」
鹿は秋に交尾し出産は5~6月ころ。春は雌の身重でけだるそうな様子から孕鹿といい、また毛が抜け落ちてまばらな醜い姿になる。雄は4月ころ古い角が落ち、夏に新しい角が生えるので、春は「落し角(おとしづの)」、夏は「袋角(ふくろづの)」と呼ばれる。「囀(さえずり)」「鳥の恋」「鳥の巣」
春から初夏にかけては鳥の繁殖期であり、雄の雌への求愛と縄張りを主張する鳴き声を全体的に囀りという。主に囀る鳥として、ウグイス、ヒバリ、メジロ、ホオジロなど。さまざまな鳥の鳴き声を「百千鳥(ももちどり)」という。鳥の恋は、「鳥つるむ」ともいい、囀って交尾すること。鳥の巣は、鳥が子育てするための巣。また鳥の種類によっても季語が存在している。
●孕雀(はらみすずめ)・小雀・雀の巣
2月~9月に雌雄のつがいで繁殖する。多くは春に交尾し、一度に5~6個の卵を産む。孵化は12~14日、13~14日で巣立ち。屋根瓦や石垣の隙間に巣をつくる。
●燕・つばくらめ・燕の巣
3~5月に飛来した燕は、民家の軒先などに巣をつくり子育てする。秋に南洋に帰る“夏鳥”の一種。盛んに飛び回る「燕の子」は夏の季語。
●鴉(からす)の巣
鴉自体は季語ではないが、巣は季語。春につがいで繁殖し、高い樹の上などに巣をつくる。一度に5~6個の卵を産み、抱卵して20日で孵化、約1か月で巣立ちする。

空想上の春の季語!?

身近な動物の恋模様はいかがでしたか? 今回は主な動物の季語をご紹介しましたが、季語から生態系を学べる機会となりましたね。春はほかにも、昆虫や魚類などの繁殖期でもあるのですが、またいずれ。
最後に「亀鳴く」という季語をご紹介します。
えっ、亀って鳴くの? と思いますよね。もちろん聞いたことがある人はいません(笑)。なぜなら亀は鳴かないから……。なぜ鳴かない亀が鳴くのかというと、藤原為家の『川越えのをちの田中の夕闇に何ぞと聞けば亀の鳴くなり』(夫木和歌抄)によるといわれ、古くから季語として使われています。雄の亀が雌の亀を呼ぶために鳴いているんだろうか、という想像上の季語であり、つまりはこれも”恋”の季語のひとつなのです。季語の不思議さ、ユニークさを象徴するような季語ですね。──言葉や漢字の成り立ちを知ることは、日常生活に膨らみを持たせてくれるはず。
4月は桜やさまざまな花が咲く華やかな時が終わり、晩春の趣が強くなってくる時季です。もの哀しさを感じる「春愁(はるうれい)」もありながら、動物が恋をするように、人間も恋をしたいもの。
実際の恋も大切ですが、何かにときめいて夢中になるのも恋なのかもしれません。そんな風に種を蒔いて、エネルギッシュな夏を待ちたいですね。
(参照:俳句歳時記(春~新年) 角川学芸出版 角川文庫/入門歳時記 大野林火・著 角川学芸出版/広辞苑)

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