なめらかな卵色に飴色のカラメルソースがとろーり。甘~いバニラの香りがただよって……。子どもからおとなまで、愛され続けるスィーツ、プリン。
スーパーやコンビニでも色々な種類が販売され、新製品も続々登場。比較的安値でもクオリティの高さが話題にもなっています。材料は卵と牛乳と砂糖。消化もよく、食欲のない時にも安心して食べられますね。
毎月25日はプリンの日。今日は、プリンの歴史やうんちくを学んでいきましょう。

いつまでも、飽きないおいしさ……
いつまでも、飽きないおいしさ……

もともとは、お菓子ではなく料理だった?

プリンの日は、オハヨー乳業株式会社が「多くの人に、プリンを食べて笑顔になってほしい」という思いから、笑顔の「ニッコリ」の語呂合わせで、2010年に毎月25日が「プリンの日」に制定されました。
プリンの正式名称はプディング。プディングとは、「蒸す料理」のこと。はじまりは16世紀後半のイギリス、航海中の海の上でした。
航海中はわずかな食料もムダにできないため、船乗りは手元の食材を有効活用するために、肉や野菜の切れ端など捨ててしまう余った食材を集めて、卵液と一緒に蒸し焼きにして食べていたと言います。それが現在のプディングの原型といわれています。
それが陸上でも作られるようになり、フルーツやナッツ、パンくずなどを寄せ集めて卵液に入れて蒸すようになりました。
要するにプリンは、もともとはお菓子でなくて料理だったようです。
そして次第に、具を入れずに卵液を固めるようになり、18世紀~19世紀のフランスで現在のカスタードプリンが作られたということです。

パンの耳のプディング
パンの耳のプディング

ハウス食品「プリンミクス」で一般家庭に広まる

イギリス発祥のプリンが日本に伝わってきたのは、江戸時代後期~明治時代初期頃だとされています。
当時の日本人は英語の発音がよく聞き取れなかったためか、英語の発音の「プディング」が日本人にとっては、「ポッティング」や「プッシング」と聞こえたらしく……やがて「プリン」と呼ばれるようになったそうです。
そういえば、レモネードが日本に上陸したときも、英語の発音の「レモネード」が日本人にとって聞きとりにくかったことから、「ラムネ」になったエピソードも広く知られていますね。「ラムネ」も「プリン」も同じような道をたどって、日本に定着した商品名なんですね。
伝来当時の日本では、都内の喫茶店が発売したプリンが瞬(またた)く間に大人気を博していましたが、1964年にハウス食品が開発した「プリンミクス」(インスタントプリン)が爆発的に売れ、広く一般家庭にもいきわたるように。これが日本にプリンが定着する契機となったようです。
プリンの発祥地・イギリスで食べられている現在のプリンは、蒸したスポンジケーキにカスタードソースをかけたものや、お米を牛乳で炊いて甘くしたライスプディングとなっているようです。

お子様ランチにはプリン
お子様ランチにはプリン

ギネスにも認定された「プッチンプリン」はプリンではない!?

1972年発売の「プッチンプリン」は全国で一大ブームを巻き起こしました。
シリーズ累計販売個数は51億個を超え世界一を記録し、ギネスにも認定されています。誰でも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか?
今もスーパーなどで売られていますね。実は、このプッチンプリンがプリンではない!という説があります。
プリンの語源、プディングは「蒸す料理」。プッチンプリンは蒸されて作られているのではなく、実は寒天で固めたもの。つまり、プリンというより卵を使ったゼリー、というほうが正しいという声があるのです。
世界で一番食べられている「プッチンプリン」がプリンではないとしたら……これはちょっと驚きですね!

進化、発展し、どこまでも広がるプリンワールド……

パンプキンプリンにごまプリン、チョコプリン、牛乳プリン、抹茶プリン、よもぎプリン、タピオカプリン……焼きプリンに絹ごしプリン……。もう、キリがありません。
「とろーり」「とろとろ」「しっかり」……など、食感や「濃厚さ」などにもこだわりが出てきて、プリンの世界は広がるばかり。「ヨーグルトプリン」というものまで登場しています。
「プッチンプリン」もさることながら、マンゴープリン……。
マンゴーの完熟した果肉を潰し、生クリーム、ゼラチン、砂糖などと混ぜて冷やし固めたものですが、プリンという名が付いているものの蒸す工程がなく卵も使用しない例が多く、ゼラチンで固めるレシピが一般的であるため、実際は不透明なゼリー。
これがどうしてプリンなのか……?
プリンの定義について日本国語大辞典精選版で調べたところ、
カスタード‐プディング
〘名〙 (custard pudding)⸨カスタードプリン⸩ カスタードの材料を型に入れ、天火で蒸し焼きにして柔らかく固まらせた洋菓子。プリン。
これにあてはめると、「これってプリンじゃないよね」という「プリン」が随分、ありそうですね。
ケーキ店のガラスケースの中に置かれたプリンも、われわれの身近で進化、発展し続けています。
25日の「プリンの日」には、コンビニのプリンを食べ比べるもよし、ちょっと気取った高級プリンを食すのもよし……家庭でホームメイドのプリンを作るのもよし……。その奥深さを味わい、楽しみたいですね。

高級感のあるプリンアラモード
高級感のあるプリンアラモード