神秘に満ちた“流氷”。いまだけ限定のオホーツクの世界

2019/02/26 17:00

21日、21時に北海道胆振地方中東部を震源とする最大震度6弱の地震が発生しました。北海道胆振東部地震の余震であると発表されましたが、デマともとれるさまざまな情報が飛び交っていますので十分に注意したいものです。 今回は、北海道の壮大な風景からは意外な一面ともいえる、北東に位置するオホーツクの流氷をご紹介します。日本で流氷が見られるのは、寒さが厳しい1月中旬から3月中旬にかけて、北海道のこのあたりだけ。極寒の海に生息する生物は、自然が生み出した神秘さに満ちていますが、本記事では“流氷あれこれ”をご紹介しましょう!

オホーツク海に広がる流氷
オホーツク海に広がる流氷
ところで、流氷ってどこからやってくるの? 流氷が冬の寒い時期にできるのは当然のことですが、いったいどうやってできるのかご存じですか? その字のとおり、流氷は流れ着くもの。オホーツク海で見られる流氷は、サハリン北東部で生まれ、オホーツク海に流れ着くとされています。 オホーツクの流氷は、北半球で見られる流氷としてはもっとも南に位置していことから、とてみ貴重な存在です。最近はインターネットの発達により、どのタイミングで流氷がやってくるかがわかることから観光などに役立てられていて、この時季に流氷観光にでかける人も多くいます。
流氷を船から見る 流氷というと、遠く陸上から眺めるだけ……というイメージをもつ人も多いかもしれませんが、実は船の展望デッキなどから間近に楽しむことができます。 流氷観光のパイオニアといえるのが大型船「網走流氷観光砕氷船おーろら」です。網走の港から出港する「おーろら」は、世界初の観光用砕氷船といわれていて、運行スタイルもとても実に特殊。それは、船の重みを活かして氷を割っていく仕組みにありますが、そういうと氷を割る振動で船がとても揺れそうなイメージを受けますよね。でも、揺れが少なく安定的に走行する点も「おーろら」の魅力です。 もうひとつ流氷観光船の代表といえば、冬季に運航するシャトルバス「流氷砕氷船ガリンコ号」でしょう。北海道紋別市紋別港から出港する「ガリンコ号」は、「おーろら」とは仕組みが違い、前部に装備された大きなドリルで流氷を砕きながら、流氷域の航行を可能にしています。 いずれも、流氷をもろともせず進んでいく姿は迫力満点ですし、流氷の「白」、海水の「ブルー」が溶け合う色彩も実に神秘的です。
流氷を砕いて進んでいく「ガリンコ号」
流氷を砕いて進んでいく「ガリンコ号」
マイナス1度の冷たい水域に棲息する生物「クリオネ」 流氷がある海の温度はマイナス1度ほどといわれています。そんな冷たい水域にどんな生物が棲んでいるのか興味が尽きませんが、流氷の下の冷たい水域にしかいない生物がいます。その代表選手が「クリオネ」です。「流氷の天使」という異名がつくほどの愛らしい姿で知られますが、「クリオネ」は巻貝の一種です。 優雅に泳ぐ姿がかわいらしい一方で、捕食する姿が狂暴だということも有名な話ですね……。 普段の神秘的な姿と、バッカルコーンと呼ばれる6本の触手が伸びて、ガブッと餌を抱え込む姿のギャップも観光客に強い人気を誇ります。 「怖い」ともいわれる「クリオネ」が餌を捕獲する姿を見てみたい人は、「バッカルコーン」のキーワードで検索してみてください。「えっ? これがクリオネ?」という驚きの姿を確認できますよ。でも、冷たい海水の中では餌が少ないので、「バッカルコーン」は「クリオネ」が生きていくための重要な進化といえますね。 何より、1cm〜4cm程度の小さな生き物「クリオネ」は、寒い海を生息地とする貴重な存在といえるでしょう。 ── 温暖化の影響か、近年は流氷の数が減少しているといわれています。そうした意味では、地球の生態系を守るための大きな目安となる流氷について、理解を深めていきたいものですね。
流氷の天使「クリオネ」
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