桜の開花ともに明るい陽射しあふれる春まで、あと一息。
そうはいっても、まだまだ寒い日が続きますが、冷え性に悩む人にとって、寒い日はつらいものですよね。そんな人におすすめしたいのは、体を温めてくれる効果がある食べ物ですが、酒かすを使った料理を食べるように努めると、冷え改善や、身体を温める効果があるといわれています。
今回は、体も温まるうえに健康や美容にもよい、そんな酒かすについてご紹介しましょう。

そもそも「酒かす」っていったい何?

酒かすとは、日本酒を製造する過程でできる副産物。米・米麹・水を発酵させてできる「もろみ」を絞って日本酒を作った後に、残ったものが酒かすです。
でも、ただの残りカスなんて考えていたら、大間違い。酒かすはとっても栄養豊富な食材で、さまざまな成分や栄養素を一度に摂取することが可能なんです。代表的なもの栄養素には、次のような栄養素があります。
【たんぱく質】
筋肉、血液、内臓など身体の構成成分。酵素やホルモン、抗体、神経伝達物質などの原料にもなる。不足すると、身体機能低下をまねく。
【ビタミンB1】
糖質をエネルギーに変えるサポートをする。不足すると、疲れやすさやだるさを感じやすくなる。
【ビタミンB2】
脂質を中心に、糖質やタンパク質をエネルギーに変えるのに大切な役割を果たす。
【ビタミンB6】
食事で摂取したたんぱく質をアミノ酸に分解し、身体の必要な場所で、たんぱく質に合成する代謝に不可欠。
【葉酸】
赤血球の正常な生成をサポートする。DNAやRNAの生成に必要で、不足すると胎児の先天異常などを引き起こすことがあるため、妊娠時は、通常の約2倍量が必要と言われる。
【パントテン酸(ビタミンB5)】
多くの代謝にかかわり、ホルモンや抗体の合成にとっても大切な役割を果たす。
【食物繊維】
血糖値や中性脂肪、コレステロール、血圧を正常に保ち、便秘解消にも効果的。
このように酒かすには、体を丈夫に保つ成分や、身体機能をうまく働かせるために必要な成分がたくさん含まれていることがわかりますね。
参考:栄養素や体のしくみを知って健康になる 栄養を知る事典(日本文芸社)ほか

酒かすは、ただの残り“カス”じゃないんですよ(笑)
酒かすは、ただの残り“カス”じゃないんですよ(笑)

なぜ、酒かすが体を温めるのでしょうか?

次に注目したいのが、酒かすが体を温める効果です。
一般的には、アルコールが含まれているから体が温まるのだろう……というイメージを抱いている方も多いようですが、月桂冠総合研究所が2016年に発表した研究内容によると、酒かすそのものに体を温める効果がちゃんと備わっているようなのです。
簡単に言うと、酒かすを食べることで、血管が拡張して血流が改善するから。ちょっと難しいですが、原文をのせますので、興味のある人は読んでみてください。生姜を食べると体が温まるのも、この原理によるものと言われているようですよ。
〈酒粕を酵素(プロテアーゼ)で分解したものを血管の細胞に添加すると、一酸化窒素(NO)が血管内皮細胞でつくられ血管拡張作用が生じることがわかっています。一酸化窒素がつくられると平滑筋で吸収され、そのことで筋弛緩が起こり、血管が拡張して血行改善することが、体を温める要因のひとつになっているものと考えられます〉
引用元:月桂冠総合研究所HP
ちなみに、その研究結果によると、酒粕を食べるとすぐに体が温まり、さらに毎日食べることでも温まることがわかっているそうです。冷え性の改善のためには、ぜひ取り入れたいですね。

鮭を使用した粕汁は、酒かす料理の定番です
鮭を使用した粕汁は、酒かす料理の定番です

酒かすを使用した料理を食べるときの注意点とは?

最後に、酒かすを使用した料理を食べるときの注意点についても確認しておきましょう。
酒かすにはアルコール分が5~8%含まれていますので、お酒を飲めない人やお子さんは、加熱してアルコールを飛ばしてから食べるようにしましょう。
アルコールを飛ばすには、酒かすを水でとき、80度以上3分間加熱する必要があります。ただし、酒かすに含まれる「酵母」は加熱すると死滅してしまいます。また、ビタミン類も熱に弱いとされています。栄養素をそのまま取りたい人には、生がおすすめです。
酒かすを使った料理を初めて作る人は、とっかかりとして、毎日のお味噌汁を作る際、味噌を入れる前に、酒かすを少量のだしでとき入れて、粕汁にしてもOK。他にも、インターネットや書籍にも酒かすを使った料理やスイーツのレシピは多く掲載されています。興味を持った方は、この機会にぜひ、お料理に酒かすを取り入れてみてくださいね。
── おいしい酒かす料理で、春までの時間を、ポカポカのり切っていきましょう。

生で食べるとアルコール分が残ることがありますので、運転前にはNGです
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