「鬼は外~」「福は内~」── 明日は節分。子どもの頃から慣れ親しんだ豆まきが、全国、津々浦々……家庭でも行われますね。
スーパーの棚には鬼の面とセットで大豆が並び、日本の恒例行事の豆まきですが、どうして「節分」に豆(大豆)をまくのか、鬼とは何なのか? 赤鬼、青鬼……の他に、緑鬼、黄鬼、黒鬼……まであることは、あまり知られていないようです。
今回は、そんな節分の豆まきについて学んでいきましょう。

季節ごとに「節分」があった

今では2月3日に定着している節分ですが、本来は「立春」「立夏」「立秋」「立冬」の前日のことを「節分」と呼んでいました。
節分は「季節を分ける」ことを意味し、立春・立夏・立秋・立冬は季節の始まりの日であるため、それぞれの前日は季節の変わり目にあたり、それが節分でした。
現代では2月3日だけが節分になっていますが、これは4つの季節の中で「立春」が最も重視されていたから。
春の訪れである立春は一年の始まりでもあり特に待ち望まれていたため、しだいに立春の前日だけを、節分と呼ぶことになったそうです。

どうして節分に豆をまく?

今では12月31日が大晦日、1月1日が元日で新年の始まりとなる日ですが、その昔では立春が新年の始まりであり、立春の前日である節分は年越しの日と意識されていたようです。
一年を締めくくる節分は、その年の中でも特に重要な日。来たる新年に向け、厄(やく)や災難をお祓(はら)いする行事が行われており、これが豆まきの由来だといわれています。
もともと日本では、穀物などに邪気を払う力があると考えられていました。
特に大豆は米や麦と同じくらい重要な穀物として扱われており、魔よけや生命力に関する霊力が秘められているとされていました。

赤・青・緑・黄・黒……五色の鬼

「鬼」(おに)は、「陰」(おん)に由来しています。
「陰」は目に見えない邪気や悪い気をさし、目に見えない災害や病や飢餓などの想像を超える出来事はすべて「陰」によるもの、「鬼の仕業」とされるようになりました。
その結果、節分の日には鬼に豆をぶつけて退治し、幸福を呼びこもうという習慣ができたとされています。
鬼といえば、「赤鬼」「青鬼」が有名ですが、実は色分けされた「5つの鬼」があります。
仏教の教えで、修行を邪魔する5つの煩悩を「五蓋(ごがい)」と呼び、5つの煩悩が「5つの鬼」に例えて色分けされていました。
(「蓋」はおおうの意の 仏教語)
・貪欲蓋 渇望・欲望 ── 赤鬼
・瞋恚蓋(しんいがい) 怒り・憎しみ ──青鬼
・眠蓋(こんみんがい) 倦怠・眠気 ── 緑鬼
・掉悔蓋(じょうげがい) 心の浮動・心が落ち着かないこと・後悔 ── 黄鬼
・疑蓋  疑いの心・愚痴 ── 黒鬼

心の鬼に豆をまく

色分けされた5つの鬼(煩悩)は、誰の心にも棲んでいそうですね。それは私たちの悩み、ストレス……諸悪の根源ではないでしょうか。
外からくる鬼よりも、もしかすると自分自身の「心のうちに棲む鬼」退治のほうが大変かもしれません。心の鬼を退治すれば、外からどんな鬼が来ても、受けて立つことができるのではないでしょうか。
そもそも節分の鬼は「陰」に由来した「邪気」を具現化したもの。
なので、もともとの意味からすると、豆まきに鬼役はいらないことになります。
年末年始のイベント行事が一渉(わた)り終わり、春を待つこの季節……。
自分の“心の鬼”と向き合ってみるのもいいですね。そうして、“心の鬼”に向かって豆をまくのはどうでしょう!?
── さて、あなたの“心の鬼”は何色ですか?

心の鬼を退治しましょう!
心の鬼を退治しましょう!