厳しい寒さや空気の乾燥に加え、花粉の飛散も気になるこの季節。風邪やインフルエンザの感染、胃腸の不調などで体調を崩しやすく、注意が必要ですね。
季節の変わり目を表す雑節を「土用」と呼びますが、今はまさに土用の期間。土用には、夏に鰻を食べるイメージが定着していますが、年に4回もあることをご存知でしょうか。今回は土用の意味と、立春まで続く「冬土用」の食べ方についてご紹介します。

「陰陽五行説」に「四季」を当てはめると…。あまった「土」が土用のはじまり?

「土用」は、中国の「陰陽五行説」に由来します。万物を「陰」と「陽」に分けた「陰陽論」と、自然界は「木・火・土・金・水(もく・か・ど・ごん・すい)」の5元素から成り立つとする「五行説」。この2つを結び付けて、宇宙・自然・人事などのあらゆる事象を解釈する理論です。
陰陽五行説では5元素の要素に四季を当てはめ、「木=春」「火=夏」「金=秋」「水=冬」とし、「土」を各季節への移行期間としました。
土用は「土旺用事(どおうようじ)」の略で、土の気が旺(さかんに)なることを意味します。土は命が最後に還るところであり、新しい命も土が育むという性質から、古い季節と新しい季節の間に「土用」をおいたといわれています。

季節の変わり目に要注意!1年に4回ある土用

土用は、立春・立夏・立秋・立冬の前にそれぞれ約18日間続きます。この時期は次の季節に移る変動期にあたるため、体や心が不安定になりがちです。昔から土用は「凶」の期間とされ、人々は禁忌を避けて慎重に過ごしてきたのです。
土用が始まる日を「土用入り」、最終日を「土用明け」といいます。土用明けの次の日から、新しい季節が始まります。
◆2019年の土用期間
冬土用/1月17日~ 2月3日
春土用/4月17日~ 5月5日
夏土用/7月20日~ 8月7日
秋土用/10月21日~11月6日

免疫力をあげて胃腸を労る、「冬土用」の食べ方

五行の理論では、人体も同じように5つの要素から成り立っていると考えられ、それぞれ「木=肝臓」「火=心臓」「土=脾臓(膵臓)」「金=肺臓」「水=腎臓」に表されます。
「土=脾臓(膵臓)」に注目してみましょう。土用の時期は、五行では「脾」にあたります。「脾」は免疫系を司ると考えられており、季節の変化で陰陽のバランスが乱れる土用の時期は、免疫力が低下しやすい時といわれています。
気力がない、やる気が出ない、疲れやすいといった状態は、「脾」のはたらきが衰えている=免疫力が低下と判断します。特に冬土用のこの時期は、風邪などの感染症を引き起こしやすくなりますね。
免疫力を上げるには、冷えを防ぐ食べ物で血液循環を良くしてあげましょう。根菜や豆類、黒ゴマや海草などの黒色食品がおすすめ。適度な塩分も有効です。また、米などの穀類やめん類、米味噌、干した果物など、黄色味のある甘みを含んだ食べ物は、陰陽の乱れを調整し中庸に導いてくれるエネルギーがあります。
免疫系と消化器系のはたらきは関連があり、土用の時期はおなかの調子を崩しがちになります。小食にして、たんぱく質は控えめに。胃腸を労ってあげることも大切です。
土用明けの節分・2月3日は、まだ土用期間中です。春の始まり、立春はもうすぐ。最終日まで気を抜かずに、体を労って「冬土用」を過ごしましょう!

参考文献
『マワリテメクル小宇宙~暮らしに活かす陰陽五行』岡部賢二 ムスビの会 出版部 2016