明日から2月。「球春到来」という言葉があるように、春の訪れとともに野球のシーズンがやってきます。
日本のプロ野球は3月末の開幕に向けて、2月1日から各球団一斉にキャンプインを迎えます。そんなキャンプが行われる場所の2大勢力が沖縄と宮崎。2月でも温暖な気候を求めて各球団が南国で厳しい練習に励むこととなります。いまや日本だけでなく韓国の球団もキャンプ地として利用する沖縄。そして、キャンプの伝統を受け継いでいく宮崎。今回は、沖縄と宮崎がキャンプ地に選ばれる理由に迫ります。

2月の沖縄は寒緋桜が見ごろ
2月の沖縄は寒緋桜が見ごろ

沖縄の2月は、野球一色に染まる

日本で唯一の亜熱帯地域である沖縄。2月でも日中の平均気温は17度くらいと過ごしやすいことがキャンプ地として最大のメリットとなっています。そん沖縄で今年は、計9球団(1軍)が沖縄でキャンプを行うこととなります。
今でこそ人気がある沖縄ですが、かつては「キャンプに不向きな土地」というレッテルが貼られていた時代がありました。その最大の原因は、練習できる施設がなかったから。
しかし、転機がやってきます。それまで徳島がキャンプ地であった日本ハムファイターズがより温暖な地で練習したいと希望したため、1978年に沖縄観光コンベンションビューロー(当時、沖縄県観光連盟)が誘致に乗り出したのです。その結果、見事名護市でのキャンプが実現。
さらにそのシーズン、日本ハムが3位の好成績となったことから、キャンプ地としての沖縄が注目されるようになりました。今では沖縄キャンプの見学に訪れる観客数は34万人超、経済効果は100億円を超えるという、沖縄にとって欠かせない産業となっています。

キャンプ地「第1号」の地、宮崎

沖縄に次ぐ5球団(1軍)がキャンプを行う地が宮崎です。沖縄と比べると少し気温は低いものの、雨が少ないことから今もキャンプ地として根強い人気を誇っています。
そんな宮崎で初めてキャンプを行ったのが読売巨人軍です。スタートは1959年ですから、沖縄よりも20年ほど前から、宮崎ではすでにプロ野球のキャンプが行われていました。
かつての宮崎は「ハネムーンの地」として人気を博していました。そんなハネムーンに続く観光の目玉として宮崎県が考え出したのが「スポーツ」でした。「スポーツランド宮崎」の名の下、巨人や広島などの誘致に成功した宮崎は、人気球団から長きにわたってキャンプ地として選ばれ続けています。

キャンプ地の元祖、宮崎
キャンプ地の元祖、宮崎

唯一海外のキャンプ地、アメリカ・アリゾナ

現在、唯一海外でキャンプを行うのが日本ハムファイターズです。かつて沖縄を初めてキャンプ地として選んだ球団は、やはり独自路線を貫きます。2016年から日本ハムはキャンプの前期をアメリカ・アリゾナ州で行っています。
もともと使用していた名護市の球場の改修工事が立ち遅れていることから、海外をキャンプ地にするという思い切った決断をしました。かつては海外でキャンプを行っていた球団が他にもあったものの時差の関係や練習試合の組みやすさなどから、今では日本ハム以外の球団はすべて国内にとどまっています。
日本ハムがアリゾナで使用している施設には、天然芝の球場がなんと8面もあるというから驚きです。その規模の大きさがわかりますね。最新トレーニング機器も導入されている施設は、まさにメジャー級。選手たちに刺激を促すには、とっておきの場所といえるでしょう。
── ファンにとっては、ふだん観ることができない練習を観られたり、その土地ならではの観光ができるのも魅力のキャンプ。キャンプ観察を兼ねて、寒い時期に南国でキャンプめぐりをしてみるのはいかがでしょうか。

砂漠気候で冬でも温暖なアリゾナ
砂漠気候で冬でも温暖なアリゾナ