二十四節気の締めくくり「寒」の季節

二十四節気(にじゅうしせっき)は、一年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもので、24の季節を表した古人の知恵であり、四季よりもより詳細で正確に季節を知ることができます。
二十四節気の冬を締めくくる節気に、「小寒」と「大寒」があります。一年の中で寒さが厳しくなり始める時期~最も寒くなる時期を指しています。小寒と大寒は使われている字の通り、冬を表す季語で、この2つを合わせて「寒(かん)」と呼びます。
「寒の入り」とは「寒」に入る時期のこと、そして小寒(ほぼ1月5日ころ)に入ることを「寒の入り」といいます。ただいま「寒」真っ只中。本日はこの「寒」についてみていきましょう。

寒中見舞いは立春前日「寒の明け」までに

寒中は小寒と大寒を合わせた「寒」の期間(1/5~2/3頃)。寒さの厳しい「寒」の間に、武道や音曲などの鍛錬をすることを「寒稽古」といいます。また身内の不幸などで新年の挨拶や年賀状が出せなかった場合「寒中見舞い」を送ることがあると思いますが、この期間内にだします。立春以降に出す挨拶は「寒中見舞い」とは呼ばずに「余寒見舞い」と言うので注意しましょう。
1年で最も寒いとされる日は「大寒(だいかん)」。毎年1月21日頃とされています。1月13日以降の最初の土曜日及び翌日の日曜日をセンター試験の日程として文部科学省が指定しており、どうしてもこの「寒」の時期に重なっていますので、受験生の皆様におかれましては暖かな服装で余裕をもって無事に過ごされますようにと切に思います。

「寒の水は薬」の本当の意味は?

小寒と大寒の期間(1/5~2/3頃)の一年で一番寒い時期に汲まれた水が「寒の水」です。一年で一番寒いこの時期の水は質が最も良く、寒の水は柔らかな味でいつまでも腐ることなく、保存出来るといわれました。寒さの厳しい時期ですので、雑菌の繁殖が抑えられたためでしょうか。特に「寒九の水」は昔から「寒に入ってから9日目の日に汲んだ水」で「服薬に良い」とされてきました。寒の水で作られた料理も、ほかの季節のものより美味とされています。
薬になるというのは文字通りの薬効ではなく、冬は夏と比較すると、乾燥しているにもかかわらず水を飲む量が少なくなり、健康上よくないことから、このような諺がつくられたのではないかとも言われております。脳の働きも体の血の巡りのためにも、乾燥注意、水分補給を心がけましょう。無病息災を祈り、大寒の日に採水した『大寒の水』が限定販売されており、密かな人気のようです。

今こそ仕込みの時期⁉

寒中は寒くて辛い時期ですが、厳しい寒さは辛いだけのものでなく、素晴らしいものがつくられる時期でもあります。
寒の時期に作られた味噌や醤油、酒は「寒仕込み」「寒造り」と呼ばれて、珍重されますが、この仕込みに欠かせないものが寒の水。いつまでも腐ることのない良質な寒の水は、長期保存の必要な味噌や醤油の製造に適したもなのでしょう。またその柔らかな味わいが酒の味を良くします。また、この時期に晒した食べ物は味がよく、染め物の色は鮮やかであると云われて、「寒晒し」や「寒干し」と云った言葉も生まれました。
寒さが増す厳しい時期ですが、寒があけると立春(2/3)がやってきます。1月は1年の初めに願いを込めて仕込み、春を迎える準備をする期間、整理整頓をしたり計画したり準備したりの大切な時期ですね。良い仕込みができますように。