昨年11月に、ほぼ世界同時公開された映画「ボヘミアン・ラプソディ」。日本でも大ヒット、口コミやSNSで、評判がジワジワと広がり、気がつけば、2018年公開の洋画興行成績一位に躍りでそうな勢いだそう。主人公は、45歳という若さで逝去した、伝説のロックバンド・クィーンのボーカル、フレディ・マーキュリー。彼の輝かしい成功と共に、才能あふれる彼が抱えていたコンプレックスや苦悩も描かれ、私たち観客の共感を呼んでいます。寒さが厳しくなる季節ですが、「ボヘミアン・ラプソディ」を観れば、熱いパワーをもらえそうです。

圧倒的な存在感、フレディ・マーキュリー

映画は、クィーンの結成から、成功、グループの解散の危機、そしてクライマックスのライブエイドへ向かいストーリーが展開されていきます。と、同時に主人公のフレディ・マーキュリーが抱えていた苦悩…出生やセクシャリティ、家族との葛藤、そして彼が常に抱えていた「孤独」が描かれていきます。そしてクィーンのヒット曲が次々と流れ、いやがおうまで、盛り上がっていきます。彼らの圧倒的なパフォーマンス、特にフレディ・マーキュリーの唯一無二、存在感あふれるマイクパフォーマンスに観客たちは魅了されていきます。フレディ・マーキュリーが、観客たちと「一体になりたい」と常に考えていたのが、彼が抱えていた孤独からなのだ、とひしひしと感じることにより、さらに感動を呼び起こしていきます。

ゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞、賞レースで、まだまだブームが続くかも!?

すでに、2019年、ゴールデン・グローブ賞の映画部門、ドラマ作品賞、ドラマ部門主演男優賞(ラミ・マレック)にノミネートされている「ボヘミアン・ラプソディー」。ゴールデン・グローブ賞の発表は、現地時間の1月6日です。また、アカデミー賞のノミネート発表も1月22日(現地時間)に控えています。アカデミー賞の前哨戦と言われているゴールデン・グローブ賞で2部門ノミネートされているので、アカデミー賞に「ボヘミアン・ラプソディ」が絡んでいくのは間違いない気がします。まだまだ、ヒットが続きそうですね。映画の大ヒットで、サントラ盤はもちろん、クィーンのCDアルバムが異例の売上を記録しているそうです。ダウンロード時代に何故アルバムCDと思いませんか?実は、CDを購入する人々のお目当てはCDに付いているライナーノートという人が多いそう。クィーンのドラマティックな楽曲、思わず詳しく知りたくなってしまう気持ち、わかりますね。
そして、実はこの作品、ある大きなアクシデントがあったのはご存知ですか。監督は「ユージュアル・サスペクツ」「Xメン」シリーズで知られるブライアン・シンガー。なんと撮影途中、製作方針の意見の相違などで突然降板してしまったそう。3分の2ほど撮影は完了しており後任者に引き継がれたとはいえかなりの一大事ですね、出演者・スタッフ達はかなり動揺したはず。フレディ・マーキュリーの人生同様紆余曲折を経て完成した今作品だったのですね。

クィーンファンのオマージュが詰まっています

クィーンが所属するレコード会社の重役の役で「オースティン・パワーズ」シリーズでお馴染みのマイク・マイヤーズが出演しています。長年のクィーンファンの方なら、きっと感慨深いものが…。彼が主演をつとめたコメディ映画「ウェインズ・ワールド」は、クィーンの楽曲をフューチャーし、90年代のクィーンブームを巻き起こしました。当時、マイク・マイヤーズはクィーンの楽曲を映画で使用するにあたり、彼にとって大ファンで伝説の存在である、メンバーのブライアン・メイ達に恐る恐るお伺いを立てたそう。当時まだ世界的には無名だったマイク・マイヤーズ、又コメディ映画という性格上どんな返答が返ってくるか不安だった彼に来た返事は「僕らの曲を使ってくれるなんて嬉しいよ!ありがとう!」という思いがけない優しい答えでした。映画は全米で大ヒットし、クィーンブームが巻き起こりました。
映画を観るとフレディ・マーキュリーの周りにいたメンバーやスタッフが皆心優しい人々ばかりだった事が伺えます。悲しい裏切りや挫折などもありましたが、辛い時、いつも皆彼の才能を信じ支えていたのではないでしょうか。周りの人々が彼の類いまれなる才能に惚れ込み、みな彼のファンだったのではないでしょうか。そんなドラマがクライマックスのライブエイドへと結実していくことにより私たちファンも感動も一気に頂点に。
映画賞レースも楽しみですが、賞を逃したとしても、これだけ多くのファンを惹きつけたこの作品。これから先もきっと長く愛される作品になりそうですね。
※写真はイメージです