今こそ見たい多様性の美―「エキゾティック×モダン」展 2019年1月14日まで! 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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今こそ見たい多様性の美―「エキゾティック×モダン」展 2019年1月14日まで!

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ジャン・デュナン《森》20世紀前半Collection du Mobilier national © Isabelle Bideau
いよいよ2018年も数日で閉じようとしています。一年を振り返ってみると多様性が問われる時代、課題も山積みですね。歴史は繰り返すと言いますが、今から100年前の1918年にフランスに端を発した、アール・デコという表現は西洋と非西洋=異境との関わりがあったことを、現在開催中の「エキゾティック×モダン アール・デコと異教への眼差し」展(東京都庭園美術館)で感じることができます。ジャポニズムとは異なるオリエントとの関係性も見どころで、アール・デコをエキゾティズムという視点から探り、次代のモダニズムへの架け橋となった軌跡をたどることが出来ます。

植民地との関わりが新たなモチーフにつながった?

ルイ・ブーケ《ブラック・アフリカ》1931年、Ville de Boulogne-Billancourt, Musée des Années 30 © Musées de la Ville de Boulogne-Billancourt Photo : Philippe Fuzeau
アール・デコというと、アンリ・ラパンやルネ・ラリックによる内装や建築などが一般的なイメージと思いますが、今回の展覧会では従来のアール・デコのイメージと異なる作品が多く展示されており少し驚かれるかもしれません。冒頭でも触れたように、西洋と非西洋の関係性に注目していることが大きいと言えるでしょう。この時代は第一次世界大戦と第二次世界大戦の間にあたり、フランスは多くの植民地を有していました。その多くはアフリカや中近東という地域で、まさに非西洋の地域=異境に当たります。異なる文化に触れ、西洋は非西洋を遠く見るだけでなく、新たな美しさを見い出して受け入れ、芸術のモチーフへと昇華していったのですね。鑑賞順路はその経緯をたどるような導線になっており、さながらアール・デコ時代を旅するような気持で鑑賞したいものです。

衣裳・ジュエリー・室内装飾のエキゾティズム

マルセル・ショーメ《ペルシア風装飾のシガレット・ケース》1930年頃、Collection Chaumet Paris
本館(旧朝香宮邸)では衣裳やジュエリー、時計などの身につけるものや椅子、調度品など生活に関わる作品が中心となっています。どの時代も身の回りから変化が始まっていたことがわかりますね。今でもジュエリーの老舗として知られるヴァンクリーフ&アーペルやショーメの当時の作品が展示されています。ヴァンクリーフ&アーペルは、《ターバン留めのブローチ》(1924年)をはじめとしたジュエリー、ショーメからはシガレットケースなどに新たなモチーフが取り入れられていて当時の人々のコーディネートを彷彿とさせます。それよりも早く、1920年前後にはポール・ポワレがデイ・ドレスやローブ(いずれもc1920)にオリエンタルを思わせるモチーフを施した作品を残していて、ポワレ自身が室内用ガウンとして愛用していた貴重な品も展示されています。

新館―植民地博覧会から自然の描写へ

フランソワ・ポンポン《シロクマ》1923-33年、群馬県立館林美術館蔵
新館・ギャラリー1では、入ってすぐ左側の壁面にルイ・ブーケの《ブラック・アフリカ》(1931, 30年代美術館(ブーローニュ・ビヤンクール)、その反対側壁面にはジャン・デュナンの《森》(20世紀前半 モビリエ・ナショナル パリ)が、植民地博覧会とその時代を象徴するように展示されています。植民地博覧会は、当時のシュルレアリストたちの反対を受けましたが、これらの異境を描いている作品には、技法やモチーフに西洋の非西洋に対する評価が見てとれます。《ブラック・アフリカ》には「西洋が非西洋に何を与えたか」が描写されているのに対し、《森》は漆の技法やオリエンタルのモチーフが散りばめられた屏風絵となっており、ジャポニズムに見られる憧憬の感情が伝わってきます。地域に対する感情の違いもわかりますね。さらに異境の捉え方、表現の変化を鑑賞者が感じることこそ、今回の展覧会の醍醐味かもしれません。このほかにギャラリー1では、フランソワ・ポンポンの《シロクマ》をはじめとした彫刻に会うことができます。これら動物の彫刻は異境への眼差しがさまざまな表現を経て、自然との新たな出会いをもたらした作品群です。鑑賞の終わりにほっこりとした気分に浸って下さい。

鑑賞のポイントと鑑賞後の楽しみ

日本庭園の茶室・光華
鑑賞のポイントとして、本館の室内空間ではアール・デコの黎明期が漂わせる夜と未明の気配を、新館では成熟期ならではの昼間の植物や動物、人々の息遣いを感じていただけたら、より楽しめるのではないかと思います。
そして鑑賞後は、新館のカフェ「TEIEN」やレストラン「デュパルク」でランチやお茶を、ふたつがあるミュージアムショップでは、展覧会関連グッズ(新館内)、美術全般やギフトに相応しい品々(正門横)などテイストが違うのも魅力です。散策や自然が趣味の方には冬枯れの茶室のある日本庭園をはじめ、西洋庭園に芝庭には樹齢の長い針葉樹や早咲きの椿などが顔をのぞかせてくれる庭園をお散歩するのも良いですね。会期は1月14日までと残りわずかですが、早速1月の予定に入れてみてください。
展覧会概要
展覧会タイトル エキゾティック×モダン アール・デコと異境への眼差し
英文タイトル EXOTIC × MODERN: French Art Deco and inspiration from afar
会 期 2018年10月6日(土)–2019年1月14日(月・祝)
開館時間 10:00–18:00 (入館は閉館の30分前まで)
休 館 日 第2・第4水曜日(1/9)および年末年始(12/28-1/4)
入 館 料 一般=1,200(960)円/大学生(専修・各種専門学校含む)=960(760)円 中・高校生=600(480)円/65歳以上=600(480)円


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