気象予報士が教える!登山で気をつけたい天気のはなし ~夏の立山へ行ってきました~

2018/08/18 12:30

夏山シーズンも残りわずかとなりました。 普段はハードルが高い3000m級の山に挑戦できるこの機会を逃すまいと、tenki.jpチームの山好きメンバーが、夏山登山へ行ってきました。今回の目的地は・・・北アルプスに位置する立山! そこで今回は、夏山に限らず、快適かつ安全な登山のための、天気のチェック方法やポイントを解説します。美しい立山の絶景もご紹介しますよ。

山の天気の特徴とチェックの仕方 私たちがよく目にする天気予報は標高が低い「ふもと」の天気予報で、「ふもと」からの距離がそれほど変わらなくても、山の天気は変わりやすく「ふもと」とは大きく異なります。 なぜ、山の天気が変わりやすいかというと、風が吹いて山の斜面にぶつかると、風は斜面に沿って空気を押し上げます。水蒸気を多く含んだ空気が押し上げられると雲となって雨を降らせます。逆に風が斜面に沿って吹き下りると、下降気流となって天気は良くなります。 このように、山岳部の起伏によって風の流れが複雑になるため、天気が変わりやすいのです。そのため、「ふもと」の天気予報だけで判断せず、高層の天気も確認するようにしましょう。 高層の天気は、一般的には高層天気図や気象データの数値計算結果で、気温や風などのおおよその傾向を把握することができます。さらに、提供される予報に関して知識を持っている方を対象に、より詳細な山岳の天気予報を提供しているサービスもあります。「tenki.jp 登山天気」アプリもそのひとつで、400の山について、登山口や山頂など登山ルート上における、天気や登山指数・登山服装指数・落雷指数などの情報を提供しています。 こうした情報を活用しつつ、「山の天気は変わりやすい」を常に念頭に、登山計画を立てるようにしましょう。
「tenki.jp 登山天気」では山頂の天気や落雷指数をチェックすることができる
「tenki.jp 登山天気」では山頂の天気や落雷指数をチェックすることができる
また、前述した山の天気の特徴に加えて、この時期ならではの注意点があります。 夏は太平洋高気圧に覆われるため、シーズンを通じてみれば天気が安定しやすい時期ではありますが、一日でみると、日中、夏の強い日差しで地面が温められ、午後は大気が不安定になりがちで、急な大雨や雷雨になる可能性があります。午後は雨や雷の確率がぐっと高くなりますので、朝早くから上り始めて、お昼には下山できるよう計画しましょう。
山では、夏の間ほぼ毎日雷に注意!
山では、夏の間ほぼ毎日雷に注意!
前日までの準備 目的の山が決まったら、上に記載した方法で、数日前から天気予報のチェックをはじめます。予報は日々更新され、予報対象日が近づくほど確度が高くなるため、毎日のチェックが基本です。なお、悪天が予想されている場合、山では平地以上に悪天の影響を受けやすいため、「少しくらい天気が心配でも…」という考えはやめましょう。さて、ここからは登山レポートのスタートです。今回の目的地は、北アルプス北部に位置する標高3015mの立山です。 <今回の登山ルート> 『立山三峰縦走コース』 室堂ターミナル(2450m) → 雄山(3003m) → 大汝山(3012m) → 富士ノ折立(2999m) → 真砂岳(2861m) → 別山(2874m) → 雷鳥平 → 室堂ターミナル 登山前日、私たちは、高層天気図や天気予報から天気や落雷指数などが良好であることを確認した後、立山の登山口となる室堂(標高2450m)へ移動し、周辺の宿で前泊しました。室堂からは、山肌が夕焼け色に染まった美しい景色を見ることができました。
室堂付近からみた、夕焼け色に染まる立山と月
室堂付近からみた、夕焼け色に染まる立山と月
いよいよ登山開始! 翌朝、いよいよ登山開始です! と、その前に、もう一度天気のチェックをします。山の天気は変わりやすいこともあり、予測も逐次変わっていく可能性があるため、定期的にチェックするのがおすすめです。 また、登山口や山小屋を離れると携帯電話の電波も悪くなりやすいため、なるべく電波が入りやすい状況下で天気予報をチェックするクセをつけておくと良いでしょう。 あわせて、事前に、登山道の電波状況も確認しておきましょう。各キャリアの山岳における電波状況は、以下のページからご確認いただけます。(2018年8月現在) ●NTT docomo https://www.nttdocomo.co.jp/support/area/mountains/ ●SoftBank https://www.softbank.jp/mobile/network/area/mountains/ ●au https://www.au.com/mobile/area/ ちなみに立山周辺は、3キャリアとも、一部のエリアを除いて電波状況は良好でした。
出発前に山の天気をチェック!
出発前に山の天気をチェック!
また、出発地点の室堂ターミナルでは、現地の気象や山岳状況に関する情報が掲示されていました。各地のビジターセンターや山小屋では、登山者の安全のため、独自にこうした情報を提供してくれているところもあります。このような現地の情報を、積極的にキャッチすることもお忘れず。 それでは、実況・予測ともに問題なさそうということで、いざ出発です!
室堂ターミナルに掲示されている山岳情報
室堂ターミナルに掲示されている山岳情報
登山に最適な服装は? 早朝、気温は13℃ほどでしたが、山影で少し風があったことに加え、雪渓を歩いていることもあり、気温よりも肌寒く感ました。このため、レインウェアがとても重宝しました。 この時期、つい軽装で行きたくなりますが、天気や風などの状況によって体感温度は大きく変わるため、調整がきくベース・ミドル・アウターのレイヤリング(重ね着)が基本です。(Tシャツ1枚なんてもってのほか!)また、雨が予想されていなくても、雨や風を防いだり、防寒着の代わりにもなるレインウェアは上下必須です。 なお「tenki.jp 登山天気」アプリの「登山服装指数」では、気温をはじめとした天気や風などの要素を考慮した、服装に関するアドバイスをチェックすることができます。(※「登山服装指数」は、最も気温が下がる時間帯を基準にしています。)
早朝、万年雪が形成する雪渓を歩く
早朝、万年雪が形成する雪渓を歩く
絶景稜線コースで注意したいポイント 途中休憩を挟みつつ、登山開始から2時間ほどで雄山山頂(3003m)に到着しました。なんとこの山頂には、霊峰立山の「雄山神社」峰本社があり、7月から9月の間だけ開山され、多くの登拝者で賑わいます。こんな空の上に神社があるなんて、驚きですね。 私たちも登山の安全を願い、御祈祷を受けてきました。
標高3003mの雄山山頂にある雄山神社の峰本社
標高3003mの雄山山頂にある雄山神社の峰本社
そこから立山最高峰の大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)、真砂岳(2861m)、別山(2874m)へと続く縦走路はほぼ稜線で、晴れて視界がよければ、写真のようなとても美しい景色を拝むことができます。終始絶景の中の登山で、まるで空を歩いているような気分になれますよ。 さて、この稜線上の道、この日はよく晴れて日差しが強かったため、実際の気温よりもかなり暑く感じました。一方で、風強い場合、状況は一変します。体感温度が一気に下がる上、稜線に出たとたん突風に襲われることもあります。このように、稜線は気温だけではなく、天気や風の影響を強く受けやすい場所でもあるため、注意が必要です。
雄山山頂から室堂方面をのぞむ
雄山山頂から室堂方面をのぞむ
登山中、雲行きが気になったら… 途中、下層に雲が増えてきました。晴予報ではありますが、少し心配になり、念のためチェックしてみることに。 そんなときは、「雨雲の動き」などの雨雲の観測・予測情報が便利です。また、山の上では雷も心配ですから、雷ナウキャストや発雷確率などの情報もチェックするとよいでしょう。 確認すると、現在・この先も周辺に雨雲はなく、どうやら雨を降らせる雲ではないようです。安心して、予定通り登山を続けることにしました。 このように、山の上では、常に雲や風の動きに注目し、天気の変化を見ながらの登山するように心がけましょう。
スマートフォンで気象レーダによる雨雲のようすを確認中
スマートフォンで気象レーダによる雨雲のようすを確認中
こうして私たちは、事前・登山中に天気をチェックすることで、約7時間の道のりを無事に下山することができました。 最近は、山の上でも携帯電話やスマートフォンの電波が入る場所も増えてきました。山の天気は平地の天気よりも予測が難しく、それを知るための情報も複雑ですが。今回お伝えした情報を上手に活用しつつ、残りの夏山シーズンや、これから始まる紅葉シーズンの登山を楽しんでくださいね! ※スマートフォンや携帯電話を操作する際は、必ず安全な場所で立ち止まってご利用ください。
上手に情報を活用しよう!
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