今年は、天文イベントが数多くある当たり年。
1月31日以来、今年2回目の皆既月食や、約2年2カ月ぶりに地球に最接近する火星など、夏の夜空は見逃せないイベントが目白押しです。7月に続いて8月13日には「ペルセウス座流星群 極大」も控えていますが、国立天文台のサイトによると「極大の時刻や月齢の条件がよく、多くの流星の出現が期待できそう」とありますので、ぜひこの好機に夏の夜空で繰り広げられる天体ショーを楽しんでみてはいかが!

15年ぶりの火星大接近。夏の夜空はロマンティック!
15年ぶりの火星大接近。夏の夜空はロマンティック!

明け方の西の低い空に出現する皆既月食。7月28日は皆既食中に朝がくる?

月は自転と公転を繰り返しながら、地上にいる私たちにさまざまな表情を見せてくれます。
最初に、基本的な「月の満ち欠け」と「月食」についておさらいしておきましょう。
月の満ち欠け
月の満ち欠けは、太陽と地球と月の位置関係で決まります。周知のとおり、月それ自体が光を放っているわけではなく、太陽の光に照らされている部分が輝いています。そのため私たちの目には、月が欠けたり満ちたりしているように見えるのです。
月食
一方の月食は、太陽、地球、月の順番で一直線に並んだときに(画像参照)、月が地球の影を通過するため、月が欠けているように見える現象のこと。
国立天文台によると7月28日の皆既月食は、おおよそ東北地方以西で、月の入りの前に皆既食を迎え、そのまま沈む……とされています。それ以外の地域、たとえば北海道では皆既月食になる前に沈んでしまいます。
完全に地球の影に入るのは、7月28日の午前4時30分〜6時14分。
今回は明け方の西の低い空なので、多くの地域では皆既食中に空が明るくなってしまいそうです(ちなみに東京の日の出は午前4時46分です)。

月が地球の影を通過するときに、皆既月食となる
月が地球の影を通過するときに、皆既月食となる

赤みがかって見える月。大接近する火星も同時に観測できる!

今回の場合、皆既月食としての条件はよくありませんが、それ以外にスペシャルなお楽しみがあります。
それはちょうどこの時期、火星が地球に大接近していること! 28日前後は、月との距離が近づくため、月の近くに並ぶように明るく輝く火星を観測することができます。
月食では、月の色が「赤銅(しゃくどう)色」と呼ばれる赤黒い色になりますが、今回は低い空での観測になるので、部分食のころから赤みがかって見えそうです。部分食から火星と並走するステキな天体ショー、これは見逃せませんね。

今年1月31日の皆既月食の写真。月の色が赤黒いのが分かる
今年1月31日の皆既月食の写真。月の色が赤黒いのが分かる

15年ぶりに大接近する火星。6月下旬から9月上旬ごろまで明るく輝く

夜空を見上げると、ひときわ赤く輝く星が見られるようになっていることにお気づきですか?
その星はますます光を放ち、存在感を増しています。それが2003年以来、15年ぶりに地球に大接近する火星です。
火星は2年2カ月ごとに地球に最も近づきますが(最接近といいます)、その軌道は楕円形なので、最接近とはいえ、地球と火星の間の距離は毎回違います。地球と火星の軌道が最も近くなるあたりで起こるのが「大接近」といわれるもので、7月31日の大接近は5759万km まで近づき、明るさはマイナス2.8等にもなります。驚くべき点は、地球から見える火星の大きさが、最も離れた距離にいるときの6倍以上になる点です。
尚、火星が大きく見えるのは、大接近の7月31日だけではなく6月下旬〜9月上旬ごろまで続きます。その間はマイナス2等を超える輝きを放つため、肉眼でも十分観測が可能です。

肉眼でも赤く輝く様子が分かる好機が続く
肉眼でも赤く輝く様子が分かる好機が続く

7月31日午後8~9時ごろ、南東の低い空に赤く輝く火星をチェック!

では、7月31日の大接近は、どのような時間帯で見るとよいのでしょうか。
この日の月の出は午後9時前後。月が出る前は、星の輝きも一層美しく感じられるので、午後8時ごろから9時前の南東の低い空に、赤く輝く火星が見ごろといえそうです。もちろんその後の時間でも観測できます。高い建物が周囲にない場所や、ネオンなどで明るくない場所で観測できるとベストですね。
── ちなみに8月、9月は夕方から宵にかけて昇り始めるのですが、火星が昇ってくる時間は早いことから長時間観測を楽しめます。とはいえ、7月31日まではあと1週間もないので、早めに最高の観測スポットを決めて、ロマンを感じさせる火星を、この好機にぜひご覧になってみては!

夏の夜空は、見どころがいっぱい
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