木々の緑が濃くなり、真夏日になる日がまだ少ないこの時期、健康のために、今年からランニングを始めたいと思っている方も多いのでは? シューズもウェアも用意したら、あとは正しいフォームで走るだけ。そのコツは、走る時の上下動を極力少なくするのがいいようです。

一番重要なのは上下動を少なくすること。丹田を意識し走ってみよう

まず、走る時のフォームを考えてみましょう。よく、体がピョコピョコと上に跳ね上がるように走っている人を見かけることがありますが、これだと上下の動きが大きくなりすぎて、走るための大切なエネルギーが体の上のほうに逃げてしまいます。
また、上下動が激しいと、着地の時に、高い位置から足を地面にたたきつけるようになってしまうので、一歩一歩の衝撃が強くなります。すると、走るスピードが単純に遅くなるだけでなく、体にかかる負担も大きくなってしまいます。
走る時は、がんばって「足を使う」というよりも、「足が勝手に使われる」という意識で走るといいといわれますが、上下動が激しいフォームの人は、足だけを使ってがんばって走っていることが多いようです。
では、上下動を改善するためにはどうしたらいいのでしょう。最も重要なのは、丹田(へその下あたりの部分)に力を込めることです。足だけでがんばらずに、あくまでも全身は楽に。タッ、タッ、タッと上下に動くのではなく、スーッとなめらかに。フォームに迷っている人は、一度、丹田に力を込めて走ってみましょう。何かが変わるきっかけが見つかるかもしれません。

ピッチとストライドって?大事なのは足の回転数か、歩幅か

マラソンなど、陸上競技のテレビ中継などを見ていると、よく「ピッチ走法」と「ストライド走法」という言葉を耳にします。簡単にいうと、ピッチは足の回転数、ストライドは歩幅を指します。ランニングは、この両方のバランスで成立しているので、どちらか一方を向上させるのがよいということはありません。
エリートランナーの走りを見ると、一歩の幅(ストライド)が信じられないほど大きいですね。これは全身の筋肉を効率よく使えているからであって、足の筋肉だけで蹴り続けているからではありません。このようなプロの走りを真似して、ランニング初心者が走る効率性だけを考えて歩幅を広くしようとすると、上下動が激しくなってしまい、体への負担が大きくなってしまう可能性があります。ビギナーは、まずは楽に走ることを意識して、楽しみながら走りましょう。

下り坂を走って省エネ走法を身につけよう

走る時に上下動が激しくなってしまう人は、下り坂を走ってみるのがいいかもしれません。下り坂は何もしなくても前方向への力がかかるため、がんばって足で蹴らなくても体が前へ進みます。つまり、余計なエネルギーを使わない「省エネ」な走り方を自然と身につけることができる練習方法です。
陸上女子短距離の福島千里選手の走り方は「アメンボ走法」といわれています。これは、頭がぶれず、下り坂をスーッと下りるように、スムーズに足が動く走法で、アメンボが水面をスイーッと滑るように進むのに似ていることから、こう名づけられました。やはり、頭の位置が上下にぶれないことは、走るうえでとても重要であるといえるでしょう。ランニングのフォームの改善を考えている人は、一度、下り坂を走って、省エネ走法を体験してみてはどうでしょうか。
ランニングでは、より楽に走れるようになるためには、フォームを磨くことが一番の近道です。正しいフォームはスピードが速くなるだけでなく、体への負担が減り、疲労がたまりにくくなります。そして、美しいフォームは見栄えもいいものです。猛暑になる前のこの季節、正しく美しいフォームで、ステキなランニング生活を楽しみたいものです。