季節を先取りしたような暑さが続き、今月は真夏日を記録した地域もありましたね。予想外の気温の高さに、食べる量が減ってしまったり疲れを感じている人も多いのではないでしょうか。今回は、食欲が出ない、だるい、むくむ、といった「暑さ疲れ」の症状が出たときに積極的にとり入れたい野菜をご紹介します。例年より暑くなりそうな、夏場にもぜひ活用してくださいね!

あの独特の香りがポイント!胃腸の疲れをいやす「パクチー」

このところ大人気の香味野菜、パクチー。原産は地中海沿岸で、中国経由で日本にやってきました。中国ではシャンツァイ、タイではパクチーと呼ばれ、英語ではコリアンダーといいます。個性あふれる強い香りには、リナロールやゲラニオールといった精油成分が含まれており、胃腸を整え、食欲の増進や消化の促進を行い、体内毒素の蓄積を防ぐ作用があるといわれています。
生の葉を、炒めものや和えものに、スープに入れたりと、彩りや薬味としてトッピングしてみましょう。さわやかな香りは、神経の緊張をほぐしてストレスも和らげてくれるそうなので、疲れが気になるときにもぴったりの食材です。

苦味が効く!「ゴーヤー」は、暑い季節のおたすけ野菜

ゴーヤーチャンプルーでおなじみの苦瓜は、東南アジアが原産。沖縄でゴーヤーと呼ばれ親しまれています。特徴的な強い苦味はククルビタシン類というフラボノイドの一種で、食欲を高め暑さ疲れを防ぐ強い味方。栄養素も、ビタミン、ミネラルともに豊富で、特にビタミンCを多く含んでいます。ビタミンCと苦味成分の相乗効果で、ストレスの緩和も期待できるそう。ナトリウムの排出を促すカリウムも豊富なので、体内の水分バランスを崩しやすい暑い季節に、ぜひとり入れたい野菜です。
豊富なビタミン類を効率よく摂取するには、たんぱく質と合わせる調理法がおすすめ。ゴーヤーチャンプルーはまさに理にかなった食べ方なのですね。皮の苦味が苦手な人は、塩もみしてさっと湯通しするか、直火であぶると食べやすくなります。

成分はまるで薬草⁉「ブロッコリー」で体調を底上げ

緑黄色野菜の代表選手、ブロッコリー。体内でビタミンAに変わるβ−カロテン、ビタミンB群・C・E・Kなど、多くの種類のビタミンを豊富に含んでいます。さらに、カリウム、カルシウム、鉄などのミネラルもたっぷり!なかでもビタミンKは、胃腸の疲れや胃痛に威力を発揮するといわれています。
ブロッコリーの芯の部分は特に栄養素が豊富なので、捨てずにいただきましょう。また、最近スーパーでもよく見かけるスプラウト(芽)には、抗酸化成分として注目されているスルフォラファンという成分が含まれています。こちらも、こまめにサラダなどでとるのがおすすめです。

暑い日が続いて、食欲が出ない、だるいといった体調の変化を感じたら、パクチーやゴーヤー、ブロッコリーなどの野菜の力を、ぜひ毎日の食卓にとり入れてみましょう。

参考文献
森田敦子 『自然ぐすり』ワニブックス 2016
吉田企世子『旬の野菜の栄養辞典p 最新版』エクスナレッジ 2016