ここ数日は夏日も含んだ好天で、桜の開花も全国的に進み、気持ちの良いお花見日和が続きましたね。お弁当を広げてくつろぐ人々の姿が、日本の春の良さを一段と心地良いものに感じさせてくれます。さて、4月2日の今日は「国際こどもの本の日」です。これは、1967年に国際児童図書評議会が制定したもので、デンマークのハンス・クリスチャン・アンデルセンの誕生日に祝われており、こどもの本を通して国際理解が進むこと願われた記念日です。
そんな「国際こどもの本の日」の今日は、この春の大きな嬉しいニュースとなった、国際アンデルセン賞を受賞された角野栄子さんについてご紹介いたします。

日本人で5人目の受賞!国際アンデルセン賞とは?

先日の3月26日、スイスのチューリッヒに本部のある国際児童図書評議会によって、国際アンデルセン賞受賞者の発表がありました。そのひとりに、日本人の児童文学作家である角野栄子さんが受賞されたことは、多くの方がニュースで目にしたのではないでしょうか。この国際アンデルセン賞とは、質の高い厳しい基準で、児童文学に貢献してきたとみなされる作家・画家の全業績に対する評価によって、受賞者が選出されます。そのため、児童文学の分野において世界最高峰の権威ある賞であり、小さなノーベル賞とも言われています。また、デンマークの代表的な童話作家であるハンス・クリスチャン・アンデルセンの名のついたこの賞は、デンマークの女王・マルガリータ2世の後援を受けているのだそうです。国際アンデルセン賞は、作家賞・画家賞の2部門があり、日本人の受賞者は、作家賞で1994年まど・みちおさん、2014年上橋菜穂子さん、そして今回の角野栄子さんで3人目。画家賞は、1980年赤羽末吉さん、1984年安野光雅さんが受賞されています。

本から得る言葉は生きる力に!魔女の宅急便、角野栄子の世界

国際アンデルセン賞の作家賞を受賞した角野栄子さんの作品は、「言葉にし尽くせないほどの思いやり、情熱がある。日本に深く根ざしている物語は、想像もしなかった日本の姿が描かれ、作品は常に驚きや力強い魅力で読者を楽しませてくれる」など、高く評価されています。それに対し、記者会見で角野栄子さんは喜びを語ると共に、「読書から得た言葉の蓄積は、生きる力となる。伝えたい言葉は、風景の中に溶け込ませたい」と語っています。角野栄子さんの作品で最も多くの方が知るのは「魔女の宅急便」ではないでしょうか。この作品はスタジオジブリによってアニメーション化されているので、子供の頃に本を読むのが苦手だった方でも、映画作品で「魔女の宅急便」を知ったという方もあるかもしれませんね。原作を読んだことのない大人の方にこそ、言葉の魅力で詰まった書籍の「魔女の宅急便」に触れていただきたいと思います。6冊に渡って、ドキドキとワクワクのファンタジーが美しくシンプルな言葉で綴られ、情熱と思いやりのある物語に、再び心の中にある子供心が強く輝くかも知れません。また、角野作品は他にも200を超える魅力的な物語があります。
春の桜の美しさに心踊るだけでなく、生活環境がガラリと変わる不安や緊張を感じている方もあることでしょう。そんな変化への心の揺れと似た物語が、複雑な気持ちを抱えている方にも、優しく強く心に響くのではないでしょうか。子供のあなたには是非、大人のあなたの子供心にも、世界に認められた児童文学作品をオススメいたします。