まだまだ寒い日が続きますが、節分を過ぎると春を意識する季節に入ってきます。節分とは「季節を分ける」という意味があり、春夏秋冬いずれの季節の分かれ目にも当てはまる言葉。ですが、春は年の始まりを意味することもあり、「節分」の意味は、冬から春への移り変わりの時期を指すことが一般的となりました。そんな節分に食べるものといえば「恵方巻」ですね。恵方巻が全国的に有名になったのは、わりと最近の話。いったいどんな由来で節分に恵方巻を食べる習慣ができたのでしょうか?

今では全国区となった恵方巻
今では全国区となった恵方巻

恵方巻の「恵方」ってどういう意味?

恵方巻の「恵方」とはいったいどういう意味なのでしょうか。
恵まれた方角という文字のとおり、縁起のよい方角を指すことは確かです。恵方とは、正月の歳神が来臨する方向を指すといわれています。この方角には恵まれたことが起こり、たたりが起こらないとされているのです。
この恵方は毎年変わります。今年は南南東が恵方になります。この恵方を向いて巻き寿司を食べると縁起がよいということで、大阪を中心に恵方巻の文化が広まっていったといわれています。

恵方巻のルーツは関西にあり

今では全国区に広まっている恵方巻ですが、その由来はどこにあるのでしょうか?
実は恵方巻の正確な由来はわかっていません。諸説ある中で、どうやら大正時代あたりに関西で発祥という説が有力のようです。一説には大阪の船場で商売繁盛を祈願する風習として始まったという説、または大阪の花街でお新香を巻いた海苔巻きを恵方に向かって食べて縁起を担ぐという風習があった……などいずれにしてもありそうな話があちらこちらで点在しているようです。
ひとつ、資料として残っているのは「大阪鮓商組合後援会」が1932年に発行したチラシです。そのチラシにはこのような記載がありました。
「節分の日に丸かぶり~(中略)~恵方に向いて無言で壱本の巻寿司を丸かぶりすればその年は幸運に恵まれる」
このようなチラシがあったことから遅くとも昭和に入ったころには「恵方巻」は存在していたようですね。

鬼を退治する金棒を見立てたともいわれる恵方巻
鬼を退治する金棒を見立てたともいわれる恵方巻

恵方巻の正しい食べ方

恵方巻といえば、かなり立派な太巻きが多いようです。1本食べるのはなかなかのボリュームですが、恵方巻の正しい食べ方を守るならば、ひとり1本の恵方巻が必要なのです。
その他にも、主に次のようなルールがあります。
1.恵方巻はカットしない
恵方巻をカットしてしまうと「縁が切れる」「福が切れる」などといった理由で縁起物としてはふさわしくないとされてしまいます。切らずに丸ごと食べるのが重要なポイントです。
2.恵方を確認する
恵方はその年によって異なります。正しい方角を調べた上で食べ始めましょう。
3.黙って最後まで食べきる
食べている途中でおしゃべりしてしまうと運気が逃げるといわれています。黙って最後まで食べきるのが正しい食べ方です。
──最近ではさまざまな種類の恵方巻が店頭に並んでいます。ロールケーキなどもその形から恵方巻として売られています。縁起物ですから、自分の好きな恵方巻を思う存分食べるよい機会なのかもしれませんね。

丸ごと1本を豪快に食べましょう
丸ごと1本を豪快に食べましょう