空撮だけでなく物流や災害活用など、様々なフィールドでの活躍が期待されているドローン。安全なドローン飛行を実現し産業への実用化が求められている中、福島県ではドローン飛行の大規模な実証実験が行われました。ドローン初心者が見た最先端をリポートします。

人とドローンが共生する未来社会 そのためには

空撮や農薬散布など、ドローンが活躍する機会が増えた現代、「いつかドローンが空を飛び回る時代が来るかも・・」という想像も、そう遠くない未来に実現するかもしれません。
まだ実用化されていないものの、物流(荷物輸送)、災害時の活用など・・・活躍フィールドは拡大中のドローンですが、ドローンが安全に飛行し実用化を加速させるには、乗り越えなくてはならない課題がたくさんあります。(安全なドローン飛行に必要なものについて紹介した過去記事はコチラ)
それらの課題に立ち向かう大規模な実証実験が行われると聞き、tenki.jpチームは現場を取材してまいりました!

世界初!福島で行われたドローン大規模実証実験

▲日本気象協会の実証試験の様子(2017年10月26日福島にて)
日本無人機運行管理コンソーシアム(JUTM)が主催するドローン飛行の大規模実証実験(※)が、先月の第4週目(10月23日から27日)に福島県南相馬市と浪江町で行われました。この実験には運航管理・物流・建設点検・警備など36の企業・団体が参加し、市街地上空を含む同一空域内で、ドローン運行管理(飛行機でいう、管制塔の役割)を行いながらドローン飛行を実施しました。
ドローンが乗り越えなくてはいけない課題のひとつに、『運行管理システム』の開発があります。同一空域内でドローンが複数飛ぶと、衝突の危険があるため、各ドローンがどういう状態にあるのか・どこを飛行しているのかをリアルタイムで把握する必要があり、それを把握して管理するのが『運行管理システム』です。
今回の実験では、各ドローンの飛行予定を事前に立てて申請し、ドローンの離発着場に入場する時点・離陸前後・着陸前後など、ドローンのステータスを逐一、運行管理部門とコミュニケーションを行いながら飛行が実施されました。

なぜ日本気象協会が・・・ドローン?

理由はかんたん、ドローンの飛行には気象情報が必須と考えられるためです。日本気象協会は、2014年度から京都大学防災研究所とともに、ドローンを用いた気象観測に取り組みはじめました。

日本気象協会がドローンポートに設置した気象観測装置(気象センサー)
日本気象協会がドローンポートに設置した気象観測装置(気象センサー)

また、今年度は日本気象協会が、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会実現プロジェクト」に採択されました。このプロジェクトで、ドローン用の気象情報の開発や、気象観測用ドローンの開発に取り組んでおり、今回の実証試験を行いました。
実証試験では、ドローンによる気象観測だけでなく、気象センサーによる気象観測、ドップラーライダーでの飛行高度の風観測を行いました。実証実験の参加企業・団体に、これらの観測データと日本気象協会の独自気象予測などに提供し、ドローンの安全な飛行に役立ててもらいました。

日本気象協会がドローンポートに設置した気象観測装置(ドップラーライダー)
日本気象協会がドローンポートに設置した気象観測装置(ドップラーライダー)