天高く馬肥ゆる秋!さて、きょうのおやつは何にする?大地の栄養がたっぷりです!

2017/10/30 11:00

穏やかな秋日和にあまり恵まれなかった今年の10月ももう終わりに近づいてきました。冷たい雨にうたれながらも、澄んだ青空を望んでいた私たちが秋に食べたいおやつはなんでしょう。秋は収穫の季節です。林檎や梨、葡萄に柿にと果汁たっぷりの果物も豊富に出まわっていますね。スイーツばやりの昨今、街にでればそんな果物をふんだんに使った美味しいお菓子のオンパレード。あれにしようか、これにしようか大いに迷ってしまいます。でも、ほんのちょっと前まで家庭で町の中で、私たちの空腹を満たしてくれた素朴な秋の味があったのを覚えていませんか? 秋の美味しさをここでもういちど確かめてみたいと思います。

「いーしやぁーきいも~」この声聞けば、やっぱり心はわくわく! なんといっても石焼き芋ではないでしょうか。素朴なさつまいもの一番おいしい食べ方かもしれません。石焼き芋といえばホッカホカの温かさで世代を超えて人気ですね。あの声をきけば誰でも足をとめて「どうしようかな」と迷うのではないでしょうか。アツアツに熱した石のなかで焼かれた芋のなかからどれがいいか選ぶのも楽しいですよね。屋台を引くおじさんに「どれがいいかな」なんて聞きながら選んでもらうと、どういうわけか「おまけだよ」と小さめなのをもう一個くれましたっけ。黒く焦げた軍手から、がさがさした新聞紙の包みを渡されると匂う、甘いさつまいものかおり。夕暮れの寒さなど忘れてしまうしあわせ感がありました。 「さつまいも」とのそんなふれあいが、ホッと心を和やかにあったかくしてくれるような気がします。山形県の高校生が作ったこんな短歌をみつけました。 夜ご飯じいちゃん作る芋の子を「け」と言われると僕は「く」という  星川寛太 じいちゃんが作ったのは、もしかしたらさつまいもではなく里芋かもしれません。短い会話の中に孫とおじいちゃんの芋を間にしたさりげない親しみが伝わってきます。「いも」は素のまま、大きな口を開けてガブっといくのが美味しいようですね。
かぼちゃ?それともパンプキン?家庭の定番といえば…… ハロウィンのお祭りが広まって、かぼちゃが表通りに踊り出てきた感があります。この時期オレンジ色のジャコランタンをあちこちでみかけるようになりました。とはいえあのジャコランタンをかぼちゃをくり抜いて作り、ろうそくを灯すという家庭はあまり見かけないようです。それよりもかぼちゃをパンプキンと呼んでパイやプリン、ケーキと秋の定番スイーツの仲間にすっかりとり入れてしまったようですね。どれもやわらかく煮たかぼちゃのペーストに砂糖や卵、牛乳、バター、生クリームなどを合わせてうま味を出した、洋風なものが人気のようです。 とはいえ、かぼちゃといえばやはり煮物が定番でしょうか。ちょっと醤油の色がついて甘く煮込んだかぼちゃは、皮の緑と少し煮崩れたオレンジ色の身がほくほくとして、湯気が上がる大きな鉢に盛られて食卓にのれば、立派な秋のごちそうになります。たくさん作って余った時は、小鉢に盛って小豆煮やお汁粉をかけておやつにもなりました。お餅とはちがったかぼちゃ汁粉も目先が変わって楽しみなものでした。 包丁の身動きとれぬ南瓜かな   菅野潤子 かぼちゃは大きくて重くて、しかも硬いから包丁が入りにくく切るだけで大変です。台所で夕餉のしたくをしている主婦からもれてきたようなこの一句。思わず頷いてしまう、という人も多いことでしょう。「かぼちゃ」というと家庭ではスイーツというよりも、懐かしく思い出すお母さんの味がたくさんあるのではないでしょうか。
栗、秋の味覚の中でもなにか特別感がありませんか? 食卓に栗の山をおいてせっせと皮をむいているお母さんの姿。栗ごはんかな、などと思いながらわくわくとしていた子供時代はありませんか? とんがり頭にちょこっと生えた毛、必ずひとつ平たい面があるのは、いがの中にふたつが合わさって入っているから。ふっくらとした丸いふくらみが、栗に秋の豊かさを感じさせます。つやつやした茶色とざらざらした白っぽい底。この形が硬さとともに皮をむくのを難しくしているような気がします。栗は食べたいけれど皮をむくのがどうもね、と買うのを躊躇してしまうという人もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな時はそのまま蒸し器にいれて蒸し栗に。包丁で割ってスプーンですくって食べればもう止まりません。熱くても冷めても美味しいのは栗そのものが美味しいからでしょう。下準備に手間がかかるのも栗を特別にしている理由のひとつかもしれませんが、むいた栗を色よく甘露煮に仕上げるのもまた難しいものがありますね。いまは瓶詰めがお正月にむけて売られていますので、この甘露煮を使えば栗きんとんも気軽に作ることができますよ。 一粒の大粒の艶丹波栗      中山純子 栗焼く香ただよへば船灯し合う  友岡子郷 目の前にコロンとある栗に寄せる作者のまなざしの清らかで穏やかなこと。いがに包まれた栗がはじけ出た姿は今まではぐくんできた実りそのものですね。 秋は実りの季節です。気候変動により思ってもみなかった雨や風にみまわれながらも、負けずに実を結んだ作物の力強さも感じずにはいられません。今この時に味わえる秋の豊かさをしっかりと身体に取り込んで、これからやって来る寒い季節にそなえておきませんか。 参考: 『俳句歳時記』角川学芸出版 東洋大学 第30回「現代学生百人一首」入選作品より https://www.toyo.ac.jp/site/issyu/winning30.html

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