コキアの群植の紅葉が一面に広がる様子はなんとも圧巻です。もう見に行かれましたか?また、庭木として楽しまれる方のお宅でも、徐々に美しく色づきはじめているのではないでしょうか?
こんもりとまとまった樹形が特徴の一年草で、草丈は50~100cmほどに生長し、夏は爽やかなグリーン色の葉ですが、秋になるとピンクや赤に紅葉する姿が大変美しいです。紅葉した後は枯れてしまいます。初夏~真夏にかけてたくさんの花をつけますが、茎も最初は緑色ですが、徐々に紅葉していきます。
コキア(ホウキギ)自体の記録は、900年頃の書物にあり、日本へは中国を経由してアジアから伝わり栽培されていました。「枯れた茎はホウキ、果実は食用に」と実に無駄がないその利用価値の高さから江戸時代には広く利用されていました。
秋田の特産品「とんぶり」はこのコキアの果実を加工したものでプチプチした食感と色合いから「畑のキャビア」などと形容されることもあります。
本日は、このコキア(ほうきぎ)にまつわるよもやま話をみていきましょう!

富士山とコキア(例年の紅葉時期は10月中旬~下旬頃)
富士山とコキア(例年の紅葉時期は10月中旬~下旬頃)

畑のキャビア「とんぶり」は、コキア(ほうきぎ)の実だってご存知でしたか?!

とんぶりはコキア(ほうきぎ)の種子です。このほうきぎは、4月下旬~5月上旬に苗床を作り、6月上旬に定植し、8月中旬頃小さな花を咲かせ実を付けます。9月下旬、収獲作業が始まりますが、とんぶりは実が小さく風に飛ばされやすいので、この収穫期に心配なのが台風の到来です。生産者の方は収穫が終了するまで大変ですね。
「とんぶり」の名の由来については、「ぶりこ(ハタハタの卵)に似た、唐伝来のもの」を意味する「とうぶりこ(唐ぶりこ、唐鰤子)」が省略され、転訛したものとする説が有力です。外見は魚の卵のようで淡い緑色、味も淡泊でプリプリした歯ざわりのよさは、「畑のキャビア」「和製キャビア」「陸のかずのこ」などと形容されます。
刺身、しらす、ながいも、納豆、酢の物などの付け合わせとして、江戸時代から食されてきました。各種ビタミンやミネラルがバランス良く含まれた健康食品です。 おすすめは、納豆や、すりおろした山の芋などと混ぜ合わせて食べるとプチプチした食感が楽しめます。
漢方医学では「地膚子(日本語読み:ぢぶし、じふし))と呼ばれ、利尿薬やと強壮薬として取り扱われてきました。食事とともにいただくと血糖値上昇抑制があるとして食される方もいるそうです。
参照:秋田物産館

畑のキャビア とんぶり
畑のキャビア とんぶり

コキア(ほうきぎ)の花言葉は?

コキアの別名「ほうき草」「帚木」は、枯れた枝をホウキに利用していたことにちなんでいますが、学名の「scoparia(スコーパリア)」も、ほうき状のという意味です。
Kochia(コキア)は、19世紀のドイツの植物学者「Joseph Koch さん」の名前にちなみ南ヨーロッパなどが原産ではないかといわれています。
花言葉は、『恵まれた生活』『夫婦円満』『あなたに全て打ち明けます』
コキアは、枝がほうきに使われたり、種が食材に利用されたり、観賞用以外の様々なことに利用されていたことから「恵まれた生活」という花言葉がつけられました。
「あなたに全てを打ち明けます」という花言葉は、明るい緑の葉が真っ赤に紅葉する様子が、頬を真っ赤に染める女性を連想させることに由来してつけられました。
新しいご縁や家庭円満のために、ベランダや庭木に植えるのも楽しいですね!
大きくわけると、剪定せずともまるまっていくタイプ、上に伸びていくタイプの2種類があるようです。またコキアとして流通しているものは、紅葉する観賞用として楽しむハナホウキギも多いようですので、種類を確認してみてください。種からだと4月~5月、苗からだと7月に植えると良いようです。
参照:NHK趣味の園芸

グリーンのコキアも美しい
グリーンのコキアも美しい

日本の伝統工芸品として、コキアから「ホウキ」をつくる取り組みにも注目!

日本の伝統工芸のほうきの材料は、地域により、シュロやほうきもろこし、すすきなど様々な植物からつくられていますが、茨木ではこのコキア(ほうきぎ)でつくられるものが有名でつくば大学では、コキアから栽培しホウキをつくる取り組みをしている団体もあるようです。伝統工芸品としてのホウキは、草木染をした糸を使った美しい糸目も特徴です。
今回は、ご家庭でつくれる簡単なホウキをご紹介します。できあがったコキアのホウキは、穂先をカットしなければハロウィンの魔女ホウキみたいですね。
【コキアのホウキ、作り方】
●コキア
チリチリになった枯れた葉や、種を落としておく
収穫したコキアは2~3日陰干ししてから枯葉や種、弱い茎などをはらい落としておきます。園芸フォークなどを使って梳くと、良く落ちますよ。
立派に育ったコキアは一本でもホウキになりそうなくらいに見えますが、この作業をすると案外やせてしまうもの。がっしりしたホウキを作りたいときは、数株まとめて柄をつけることになります。
一方、間引きされないまま育ったものは、一本一本がヒョロヒョロだったりします。そんなコキアはたくさん束にしてホウキの形にまとめていきましょう。
●コキアの茎 柄となる枝
1.太い木質化した茎は、半分くらい削ぐと柄に留めやすくなります
2.柄となる木の枝には、木工用ボンドを塗っておきます。コキアをまとめて タコ糸でしっかりと
3.柄にぐるりとコキアの茎を添えて、タコ糸で仮止めしておきます
4.茎の向きなど調整したあと、糸を締め上げるようにして留めます
●コキアのホウキ
手順3.で仮止めした後、隙間に更にコキアの茎を差し込んでいくとしっかりします。
手順4.で巻きつけた糸は固く玉結びをして、糸端は茎の間に押し込んでおくとほつれません。
引用:コキアでつくるミニホウキ

コキアの群生がみられる公園は?

ひたち海浜公園・見晴らし丘は約3万2千本が楽しめる全国的に有名な公園です。一面に広がるなんとも美しいコキアの群生、やはり訪れてみてみたいですね!
【コキアの群生がみられる公園」
■国営ひたち海浜公園(茨城県)
■東京ドイツ村(千葉県)
■清水公園(千葉県)
■国営武蔵丘陵森林公園(埼玉県)
■国営すずらん丘陵公園(北海道
■国営みちのく杜の湖畔公園 (宮城県)
■河口湖自然生活館「大石公園」(山梨県)
■フラワーパーク江南(愛知県)
■箱館山コキアパーク(滋賀県)
■国営讃岐まんのう公園(香川県)
毎日の生活で、収穫や紅葉が楽しめる秋の季節を引き続き楽しんでいきましょう!
※2017年10月2日 一部記事を修正しました。

国営ひたち海浜公園 コスモスとコキア(例年の紅葉時期は10月中旬頃)
国営ひたち海浜公園 コスモスとコキア(例年の紅葉時期は10月中旬頃)