日本各地で最高気温が35度以上を記録するなど、全国的に猛暑が話題となっています。熱中症に関するニュースや注意を喚起する番組やコンテンツも増えてきていますが、「自分は大丈夫」と過信されている方も少なくないようです。
さらに多くの人が「熱中症」という言葉は知っていても、実際に目の前の人が熱中症の症状を訴えたら、あなたはどう行動しますか? 苦しむ人を目の前にすると、人は適切な行動が取れず、案外慌ててしまうもの。しかし、熱中症の症状が出たら、初めの処置が肝心なのです。8月……夏本番を間近に控えた今こそ、熱中症について再確認しておきましょう。

熱中症の症状が出たら、最初の処置が肝心。応急処置のポイントを押さえておきましょう
熱中症の症状が出たら、最初の処置が肝心。応急処置のポイントを押さえておきましょう

熱中症とは

人間のからだは、体温が上がっても汗や皮膚温度が上昇することで、体温が外へ逃げる仕組みになっており、体温調節が自然に行われます。
体温の上昇と調整機能のバランスが崩れ、体内に熱がたまってしまう状態が“熱中症”です。
熱中症を引き起こす原因を【環境】【からだ】【行動】の3つの観点から見ていきましょう。
【熱中症を引き起こす3つの要因】
①環境
気温が高い・湿度が高い・風が弱い・急激な気温上昇など

炎天下に長時間いる場合はしっかり熱中症対策を!
炎天下に長時間いる場合はしっかり熱中症対策を!

②からだ
高齢者や乳幼児、肥満の方・糖尿病や精神疾患といった持病をお持ちの方・低栄養状態、二日酔いや寝不足など体調がすぐれない方など
③行動
激しい運度や慣れない運動・長時間の屋外作業・水分補給ができない状況など
以上ような条件がそろった場合は熱中症になりやすいため、いつも以上に気を配って行動しましょう。

休憩や水分をこまめに取ろう
休憩や水分をこまめに取ろう

熱中症かなと感じたら……

【熱中症の症状】
初期は、めまいや立ちくらみ、顔のほてりなどの症状が出ます。次第に、だるさや吐き気、頭痛や筋肉がつるなどの症状が出る場合があります。
汗のかき方に異常を感じる、呼びかけに反応しない、自分で水分補給ができなくなるなどしたら大変危険な状態ですので、すぐに医療機関を受診しましょう。
熱中症を疑う症状を感じた際は、落ち着いて素早く対処することが重篤な状態を引き起こさないために必要です。
とはいえ、いざ目の前で、熱中症と思われる症状で人が倒れた場合に的確な行動がとれないケースも多いので、応急処置の3つのポイントをまとめました。

症状が出たら応急処置を行い、病院へ
症状が出たら応急処置を行い、病院へ

【応急処置3つのポイント】
熱中症は命にかかわる危険な症状です。「自分は大丈夫」と過信することは禁物ですし、周囲に熱中症とみられる症状が生じた場合は、次の3つのポイントを押さえておくことで的確な行動がとれるはずです。ぜひ覚えておいてくださいね。
①涼しい場所に移動する
クーラーの効いた室内や車内、屋外であれば、風通しのよい日かげに移動させ、安静にしましょう。このとき意識がない状態であれば、ただちに救急車を呼びましょう。救急車を待っている間にも直射日光が当たらないように影をつくり、首、脇の下、股関節(太もものつけ根辺り)に水をかけて集中的に冷やし、症状の悪化を防ぎましょう。
②からだを冷やして体温を下げる
意識がある場合は、まず衣類をゆるめて、からだの熱を放出させることが大切です。保冷剤や氷で、首筋や両わき、股関節(太もものつけ根辺り)などを冷やします。保冷剤や氷がない場合は皮膚に直接水をかけて、うちわやタオルなどであおいで風を起こすと、体温を下げることができます。
③水分・塩分を補給する
汗をかきやすい状況では、水分だけでなく体内の塩分も失われています。水分だけを補給すると、血液中の塩分濃度が下がり、かえって熱けいれんを引き起こす要因にもなります。
吐き気などの症状がない場合は、スポーツドリンクなどで水分と塩分を同時に補給しましょう。塩分補給には塩分を含むあめやタブレットもおすすめです(嘔吐している場合は水分を飲ませることは避けましょう)。
── 日本気象協会では「みんなの力で熱中症をゼロにしよう」をスローガンに「熱中症ゼロへ」サイトを開設していますし、、tenki.jpでも、熱中症情報を発信していますので、こまめにチェックして熱中症対策に役立ててくださいね。
熱中症について学ぼう:応急処置のポイント
熱中症について学ぼう:予防と対策
参考:環境省熱中症予防情報サイト、熱中症ゼロへ公式HP

1ℓの水に1〜2gの食塩を加えたものを飲むとよい
1ℓの水に1〜2gの食塩を加えたものを飲むとよい