最近は、春頃からきちんと紫外線対策を始める方が増えていますが、そうした方もこれからが本番ですね。ただ、日焼け止め対策として「なんとなく市販のものを選んで使っている」という人も多いようですし、同じ場所で同じ時間を過ごしたのに、きれいに焼ける人と真っ赤になってしまう人など人それぞれ……。そうした点からも自分の日焼けパターンを知り、肌質に合った日焼け止めを選ぶことが大切です。
── そこで、夏本番のいま「なんとなくの紫外線対策」で済ませてしまっている人は、まずは「A波」と「B波」の違いだけても理解しておきましょう。

紫外線クリームのラベルに表記された「SPF」 「PA」の違い、知っていますか?
紫外線クリームのラベルに表記された「SPF」 「PA」の違い、知っていますか?

紫外線には、大きく二つの波長があることをご存じですか?

紫外線には、紫外線A波(UVA)、紫外線B波( UVB)、紫外線C波(UVC)に分かれています。
この3つの中でも「紫外線C波」はオゾン層で吸収されてしまうことから、人の肌にダメージを与える紫外線は「A波」と「B波」の二つになるのですが、太陽から降り注ぐ光には様々な種類があり、波長の長さによって「見える光」と「見えない光」があります。
それを、電磁波(放射光)を波長が短い → 波長が長い順で並べてみると……
波長が短い → → → → → → → → 波長が長い
ガンマ線→ X線→ 紫外線→ 可視光線→ 赤外線→ 電波
電磁波(放射光)は上記のように、波長の違いがあります。その中で人の目によって見える光は、その名の通り「可視光線」と、短い波長部分の紫外線に限られます。

紫外線A波とB波による肌へのダメージ(イメージ)
紫外線A波とB波による肌へのダメージ(イメージ)

波長が長い=肌の真皮まで到達する「紫外線A波」

「今日は屋外で過ごす時間が長いから紫外線対策をしないと!」と思った時、紫外線カットクリームや化粧品のラベルに表示された、すぐに目に入ってくる「SPF」の数字を気にする人が多いと思います。ただし、多くの人が気にしている「SPF」は、「紫外線B波」をカットする目安となる数字なのです。
実は、紫外線の中で95%を占めるのが「紫外線A波」になり、この「A波」は波長が長く、肌の真皮に達する光とされています。つまり、紫外線の大半(95%)を占める「紫外線A波」をきちんと防御しない限り、紫外線対策は万全といえないのです。このことから、これまでの「SPF」の数字を気にしていた人は、「+」(プラス)で表記された「PA」の数字を確認するようにしましょう。
【肌の真皮まで到達する「紫外線A波」の特長】
■ガラス窓も通過する
■一年を通して、曇りの日でも降り注いでいる
■波長の長さから、肌の真皮まで到達する
■しわやたるみの原因になる
■直接肌が赤くなったりしないので、日焼けしていることに気づかない
上記からもわかる通り「A波」は肌の老化を促進してしまうとてもやっかいなものなのです。

波長が短い=肌表面にダメージを与えやすい「紫外線B波」

一方の「紫外線B波」は、春や夏のレジャー時などに肌を赤くさせる波長の短い紫外線になり、ヒリヒリと赤く日焼けした状態の肌は「紫外線B波」の影響を受けたことによります。端的に言うと「波長が短い=肌表面にダメージを与えやすい」という特長があることになります。
【肌表面にダメージを与える「紫外線B波」の特長】
■レジャー時や外出時の日焼けの主な原因となる
■赤くなるだけでなく、ひどい時にはやけどのようにも
■波長が短い特長から、肌だけでなく髪や眼にもダメージが
昔から「色白は七難隠す」と言われる半面、褐色に焼けた肌の人は健康的で素敵に見えますが、長期間にわたって日焼けした状態が続くと、肌内部のメラニンが肌を守るために増加し、シミの原因になってしまうので気をつけたいものですね。
こうした点から、外出先で長時間陽光を浴びる場合は「SPF」対策が必要となります。ただし「SPF」が表示された紫外線対策クリームを塗っていても、陽光の射しこむ車中で長時間肌をさらしたり、海辺でうっかり寝てしまったりすると、命にかかわるやけど状態に陥ることもあるので十分な注意が必要です。

A波=「PA」、B波=「SPF」の違いがわかりましたか?
A波=「PA」、B波=「SPF」の違いがわかりましたか?

ライフスタイルや生活シーンに合った紫外線対策を!

さらに注意したい点は、紫外線カットを表す「SPF」や 「PA」の数値は、高ければ高いほど効果があるわけではなく、その数値が高いほど肌への負担は大きくなるという点。つまり、TPO に合わせた対策法を取り入れ、「SPF」や 「PA」の数値を上手にコントロールすることがとても重要になってくるのです。
【ライフスタイルやレジャーシーンごとの対策法】
■シーン01/通勤時は外を歩き、それ以外は社内で過ごす
⇒ A波(PA)、B波(SPF)ともに強いものを選ぶ必要はない
■シーン02/ショッピングなどで外を歩く時間が長い
⇒ B波(SPF)の数値は、少し高いもので対策を
■シーン03/海や山などのアウトドアでのレジャー時
⇒ A波(PA)、B波(SPF)ともに強いものを選び、汗をかいたらしっかり塗り直す
「日焼けをしたくないから、とりあえず高い数値のものを選んでおけば安心……」といったアバウトな対策法ではなく、ライフスタイルやシーンごとに最適な紫外線対策を取ることが、真の紫外線対策になることが理解できたでしょうか。要はTPOに合わせて肌に負担をかけず、紫外線対策をすることが紫外線とうまくつき合う方法なので、ぜひとも今年の夏は紫外線対策上手になって、健康的で楽しい時間を過ごしてくださいね。