北海道・当麻町が特産の「でんすけすいか」。果皮にはスイカ特有のシマシマがなく真っ黒。黒光りする皮の中は、シャリシャリの真っ赤な果肉。昭和59年に北海道の当麻町が一村一品運動として導入したスイカで、今では高級ブランドスイカとして全国的にも有名になりました。贈答品として首都圏のデパートや高級フルーツ店で売られています。今年の初競りは6月12日に行われ、札幌市では40万円、旭川市ではなんと50万円の高値がつきました。ちなみに過去最高額は2008年の65万円。でんすけすいかの初競りは、夕張メロンの初競りとともに北海道の風物詩となっています。

シマシマがない真っ黒なスイカ。
シマシマがない真っ黒なスイカ。

名前の由来は「田を助ける」。だから「でんすけ」

でんすけすいかは、果皮にスイカ特有のシマシマがなく、真っ黒です。黒皮すいかの仲間で、重さが7~8㎏にもなる大玉。果肉の色は真っ赤で、しまった肉質はシャリシャリと歯ごたえがよく、果皮の黒と果肉の赤のコントラストが印象的。糖度は12度と甘味がかなり強いスイカです。
昭和59年、当時の日本は「一村一品運動」によって地域振興を図ろうとしていました。そこで、当麻町でも農協の青年部が、この真っ黒いスイカを特産品として導入をすることにしました。
当時の当麻町はちょうど、水田の転作が始まったころで、稲の代わりになるものはないかと探していたところでした。田んぼをやめてスイカを植えれば「田」が「助」かる。それで「田助(でんすけ)」と名づけられたのです。また、大宮敏充という浅草の喜劇俳優が「デン助」の愛称で親しまれていたことにもあやかっているそうです。

葉の陰に隠れて収穫を待つ「でんすけ」さん。
葉の陰に隠れて収穫を待つ「でんすけ」さん。

出荷のピークは7月中旬。育てるのが難しい品種。糖度は12度以上

でんすけすいかは、大きくなりすぎて実の中が空洞になりやすい品種なので、市場に卸すことができる水準を保つためには、高い技術が必要です。
ハウスものは例年、3月上旬に種をまき、3月中旬に接木して、4月上旬にビニールハウスに植えます。ハウスの中の苗はツルを4本にし、それ以外のわき枝は取りのぞきます。
5月になると重要なのが温度の管理。昼間が25~30℃、夜が15~16℃になるように調節されます。5月末には小さな実ができ、1本から1~2玉しか実がならないように摘果します。
果皮に日光がたくさんあたるように玉がえしをし、植えてからおよそ100日でいよいよ収穫され、贈答用として全国各地に出荷されます。
一般的に出回っているスイカは糖度が8~9度くらいですが、でんすけすいかは12度以上。糖度チェックで11度未満のものは廃棄するというこだわりようです。例年6月中ごろに初せりが行われ、ご祝儀価格で30万円前後の価格がつき、7月中旬をピークに出回ります。

磨くと黒くなる
磨くと黒くなる

ギフト用として首都圏でも人気。スイカ果汁のスイーツも続々

果皮が真っ黒でツヤツヤしている外観と、「でんすけ」という名前がユニークなので、平成元年、「でんすけすいか」の名称は商標登録されました。見た目のインパクトが大きく、味もよいことから、ギフト用として喜ばれ、北海道では1玉5000円~8000円、首都圏のデパートなどでは1万~2万円の高値がつきます。
道の駅「とうま」では夏限定で、スイカ味のソフトクリームを楽しむことができます。きれいなピンク色で、もちろん、でんすけすいかの果汁入り。道の駅で一番人気のお土産品はでんすけすいかですが、ほかにも、スイカ果汁を使ったゼリーやせんべい、サイダーなども好評です。
〈参考サイト〉
当麻農業協同組合「でんすけすいか」、朝日新聞DIGITAL(2016年6月13日)「今年もテカテカの黒光り でんすけすいか、北海道で収穫」、当麻町「道の駅とうま 物産館でんすけさんの家」、毎日新聞web(2017年6月12日)「でんすけすいか 初競り1玉50万円 北海道当麻産」
※写真はイメージ
今年も6月にでんすけすいかの初競りが行われました。夕張メロンとともに果物の初競りは北海道の風物詩となっています。今年の価格は50万円。北海道の小さな町が一村一品運動からはじめたスイカの栽培が、今では高級ブランドとしてすっかり根づいています。黒光りしているだけでも目を引くのに、名前が「でんすけ」とユニーク。しかも、中の果肉は真っ赤で極上の美味しさです。お中元にも喜ばれる贈答用のスイカ。ちょっと気になりますね。

真っ黒な果皮と真っ赤な果肉のインパクトが大!!
真っ黒な果皮と真っ赤な果肉のインパクトが大!!