各地で梅雨入りが始まっていますが、このところの東京はムシムシとした暑さというより、乾燥した空気でカラッとした陽気が続き、比較的過ごしやすい夏のはじまりとなっています。とはいえ今年も確実に夏がやってきますから、夏バテや熱中症には注意しなければなりませんね。
そこで今回は、ひと足早く夏バテを防止するパワーを秘めた“夏野菜”をご紹介!
これから夏に向けて続々と旬を迎える夏野菜。今から積極的に食べて、暑さに負けないカラダ作りを目指しましょう。

色鮮やかな夏野菜は、食欲をそそります。そのうえ、栄養満点!
色鮮やかな夏野菜は、食欲をそそります。そのうえ、栄養満点!

夏野菜とは

夏に収穫される野菜をまとめて“夏野菜”と呼びます。キュウリ、ナス、トマト、ピーマン、オクラ、トウモロコシ、ニラ、カボチャ……ざっとあげてもこれだけあるように、夏野菜は種類も大変豊富で、夏は野菜を摂取する絶好の時機ともいえます。
野菜は旬の時季が最も栄養価が高く、味わいも豊かです。何より旬の野菜には、その時期のカラダが欲する栄養素を多く含んでいます。つまり、夏野菜には、ほてったカラダを内側からクールダウンする水分やカリウム、また、不足しがちなビタミンなどの栄養素がたっぷり含まれているのですね。
夏は食欲が低下する時季でもありますが、彩豊かな夏野菜は食欲をそそります。キュウリやトマトなど、火を通さず食べられる食材が多いのも夏野菜の特徴です。

一年中出まわる野菜でも、露地物の栄養価は格別!
一年中出まわる野菜でも、露地物の栄養価は格別!

主な夏野菜の栄養価

●キュウリ
成分の95%が水分で、汗をかいて不足しがちな水分を補給します。また、ナトリウムを排出させる作用のあるカリウムを多く含むため、むくみや高血圧対策にも期待が持てます。
【一口メモ】
ビタミンCを破壊する酵素・アスコビナーゼが含まれているが、酸がこの働きを抑えるので、サラダや和え物など酢を使った調理法がおすすめ。
●ピーマン
ビタミンCの含有量はトマトの4倍!ビタミンCはメラニン色素の沈着を防ぎ、コラーゲンの合成を助けるため、紫外線のダメージを受けた肌をいたわります。皮膚や粘膜を健康に保つビタミンAは、夏風邪予防にも効果を発揮するといわれています。注目成分は、においのもとである“ピランジン”。血液をサラサラにして血栓や血液凝固を防ぐ効果にすぐれています。
【一口メモ】
苦味や青臭さが苦手な人は、加熱調理することで軽減可能。ビタミンAは油と一緒に摂ると吸収率が高まるため一石二鳥。 ●ナス
古くからナスは体を冷やす作用があるといわれてきました。また、胃液の分泌を促す“コリン”という水溶性ビタミン様物質を含んでおり、食欲不振の解消に役立つと考えられています。紫色の色素は“ナスニン”と呼ばれるポリフェノールの一種。抗酸化作用にすぐれ、生活習慣病予防にも効果が高いといわれています。
【一口メモ】
家庭菜園などでたくさん収穫した際は、干しナスがおすすめ。洗ってスライスしたナスを天日に干すだけ。2〜3時間の半干しでもOK。干す前に酢水につけると、変色が抑えられる。
●トウモロコシ
タンパク質と糖質が主成分で、野菜の中では高カロリーなので、食欲がない時や間食におすすめです。ビタミンE、B1、B2、カリウム、亜鉛、鉄など、ミネラルをバランス良く含んでいるため、夏バテ対策への期待が高い夏野菜。また、食物繊維が豊富なので、腸内環境を整える効果もすぐれています。
【一口メモ】
収穫後24時間経つと栄養が半減し、味も落ちるため、収穫後は早めに食べること。
●カボチャ
「カボチャといえばβカロテン!」といわれるほど多く含まれています。βカロテンは体内でビタミンAに変換され、免疫力を高め、他の栄養素の働きを補助する作用を担います。さらに、ビタミンC、B1やB2、Eなど、抗酸化作用の高いビタミン群が豊富に含まれており、夏バテやアンチエイジングに期待が持てます。
【一口メモ】
丸いままなら栄養価を下げず長期保存することが可能。カロテンは皮に多く含まれているため、皮ごとの調理がおすすめ。

夏野菜の代表選手、ナスもこれからが旬!
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モロヘイヤを食べよう

日本では比較的新しい野菜であるモロヘイヤですが、砂漠地帯でも成育する貴重な野菜であり、エジプトでは5000年以上前から栽培されてきました。栄養価が高いため、ぜひ今夏取り入れていただきたい夏野菜です。
●モロヘイヤ
◎βカロテン、ビタミンEの含有量が野菜の中でトップクラス!
◎ほうれん草の20倍のビタミンB2と7倍のカルシウムを含む!
【モロヘイヤの調理法】
サッとゆでて、包丁でたたいてねばりを出す。クセも香りもないので、納豆にまぜたり、豆腐にかけたり、味噌汁に入れたり、いろいろな料理にプラスできる。
── トマト、ニラ、オクラ、エダマメ、インゲン、ソラマメなど……紹介したい夏野菜は、まだまだたくさんあります。この時季は野菜の流通量が多く価格も安定していますので、ぜひたくさんの夏野菜を食べて暑さに負けない健やかなカラダをつくりましょう。
※配信後、ムチンに関する記述部分について、一部修正いたしました。

モロヘイヤはクセがないので、どんな料理にも合わせやすい
モロヘイヤはクセがないので、どんな料理にも合わせやすい