てんとう虫って目立ちますよね。なぜ鳥に食べられないの!? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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てんとう虫って目立ちますよね。なぜ鳥に食べられないの!?

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世界のラッキーシンボルですから♪

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ナナホシテントウ。脱皮が進むとオレンジ色の模様が出現

ナナホシテントウ。脱皮が進むとオレンジ色の模様が出現

オオニジュウヤホシテントウのカップル(交尾中)

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成虫のままあつまって越冬。みんな同じナミテントウだなんて

成虫のままあつまって越冬。みんな同じナミテントウだなんて

お天道さまに向かって高みに昇り、飛び立っていく「てんとう虫」。日本だけでなく世界各地で縁起のよい虫とされています。服や手にとまると、その人には幸せがおとずれるそうな…。とはいえ、てんとう虫って自然界でこんなに目立つ色柄で、敵にマークされないのでしょうか? ほかにも、きょうだいで翅(はね)の模様が全く違っていたり、見かけはそっくりなのに片方だけ「害虫」だったりと、不思議がいっぱい。身近だけど意外に知らない、てんとう虫にせまります!

私を食べるとたいへんなことになりますよ

緑の葉に映える、鮮やかな赤。昆虫だったら野鳥にみつからないように草木に紛れるべきところ、てんとう虫ったら保護色どころかもっとも目立つ補色! 動きもゆっくりで人の目にもかわいいので、ついつまんでみたくなりますね。ところが、てんとう虫は足を縮めてポトリと地面に落ち、なんと死んだふり。さらに、つまんだ指にはなにやら、黄色くて臭〜い汁がついているではありませんか!!
これは、危険を感じたてんとう虫の足の関節から出る液体。有毒のアルカロイドを含んでいて、強い苦味もあります。てんとう虫を食べようとした鳥は、あまりのまずさに吐き出して「死ぬかと思った。二度と食いたくない!! 」(←この様子が「苦虫を噛み潰す」の由来ともいわれています) と学習。つまりてんとう虫は「そのまっずい虫はココにいま〜す!」とアピールすることで、自分が食べられないようにしているというのです。甲虫なのにソフトな体、素手でつまめるくらいのんびりした動き、すべてが「じゃあ食べてみれば?」という自信からきているらしいのです。
アメリカの記録では、ムクドリの親がヒナのために3年間に運んだ昆虫約1万6500匹のうち、てんとう虫はたったの2匹だったという報告も。ジョロウグモなどは、巣にかかっているのがてんとう虫だとわかったとたん急いで逃げだしてしまうのだとか…。実際に噛み潰してみたという生物学者・盛口満先生によると「15分くらい唾を吐き出し続ける結果となった」というくらい強烈な苦味のようです。それでクロボシツツハムシのように、てんとう虫そっくりの模様(体型は多少細長いのですが)で保身する虫まで。ただし、てんとう虫ももちろん無敵というわけにはいかず、幼虫のときヤドリコバチやハエなどに卵を産み付けられ寄生されたりするそうです。

益虫として活躍中!ところで幼虫ってどんな姿?

バラの小枝や草花の茎に群がるアブラムシ(アリマキ)は、ガーデナーにとって悩みの種ですね。そこへ、エサを求めて何匹ものてんとう虫が見参! 鋭いアゴを突き立てて、アブラムシの体の中身を吸い尽くしてしまいます。葉や茎の上には、食べ残されたアブラムシの皮だけが、点々と…。肉食のてんとう虫は、農作物を荒らす虫を食べてくれる益虫としても知られています。近年では「生きた農薬」として無農薬栽培に貢献しているそうです。
春と秋のエサ場では、オスとメスが運命の出会いと交尾を展開。一週間ほどすると、メスはエサ場の木の枝や茎、葉の裏などに30〜40個の卵をまとめて産み付けます。卵は3〜4日で孵化し、毛むくじゃらの幼虫が出てきて、だんだん黒く変化します。しばらく待って体が乾いたら、いよいよエサを求めて出発です。
てんとう虫は、親も子も同じものを食べて暮らします。産卵場所を選んでくれたママのおかげで、ちょっと歩けばエサ(アブラムシ)が! 幼虫は小さいくせに鋭いアゴをもっていて、自分と同じくらいの大きさのアブラムシに食いつき、(ママと同じように)体の中身を吸いとります。しかもお尻に吸盤がついていて、葉の裏や端っこまでアブラムシを逃さず追跡。もしエサが足りなければ、一緒に生まれたきょうだいだろうが、まだ孵っていない仲間の卵だろうが容赦なく食べてしまいます。脱皮を繰り返しながらだんだん大きくなり、やがてサナギを経て成虫に。

「害虫」のてんとう虫には毛がはえています

てんとう虫の羽といえば「赤地に黒のホシ(斑紋)」。7つあれば「ナナホシテントウ」、28個あれば「ニジュウヤホシテントウ」と、ホシの数で命名されたりしていますね。ところが「ナミテントウ」は、赤地のほかにも黒地に赤い紋が2つ・4つ・たくさん等々、さまざまな柄が。両親ばかりか祖父母の模様も影響しているといいます。さらに、北へ行くほど赤地、南へ行くほど黒地が増えるのだとか。「ナミ=普通の」と呼ばれ、昔の和名は「てんとうむし」。そこらでよく見かけるてんとう虫を、日本人はとにかくひとまとめにしてそう呼んだのかもしれませんね。
じつはてんとう虫は、みんな肉食系ではありません。なんと日本だけでも約180種類ものてんとう虫がいるといい、虫を食べるもの・コケを食べるもの・植物を食べるものにざっくり分けられます。なかでも草食のニジュウヤホシテントウなどは、集団でナスやジャガイモの葉をもりもり食べるため、害虫として扱われます。もちろん幼虫(←トゲトゲ)もベジタリアンです。
といっても、外見はそんなに違わないような? 害虫と見破る方法はあるのでしょうか。もっともわかりやすいのは、ニジュウヤホシテントウの翅は肉食のてんとう虫のようにツヤツヤしていないこと。表面にこまかいうぶ毛が生えているからなのです。畑で見かけたときは確かめてみてくださいね。

呼び名の由来は神聖な「神さまの虫」!

漢字で書くと「天道虫」。天道は太陽を指し、上へ上へとのぼっていく性質をあらわしているといわれています。さらにはこんな説も。「16世紀の後半、キリスト教の布教にやってきた宣教師が神のことを『テントウ』と呼び、神の虫の意味でこの虫にテントウムシと名付けたのが始まり」。じつは英語の呼び名「レディバード」「レディバグ」の「レディ」は聖母マリアのことを指しています。また、フランス語やドイツ語の呼び名も「聖母の虫」という意味をもっているそうです。欧米では神さまの虫だったのですね。世界レベルの幸運にあやかって、てんとう虫のアイテムを身につけてみるのはいかがでしょう? 本物がとまってくれるのを楽しみに待ちながら。
<参考>
『テントウムシ』佐藤有恒(あかね書房)
『テントウムシの島めぐり』盛口満(地人書館)


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