江戸中期の俳人・山口素堂(1642~1716)によって詠まれた「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」。
この句はとても有名ですが、江戸時代の素堂がこの句を詠んだ通り、古くから庶民に珍重され、愛されてきた初ガツオ。何より、さっぱりとした食感が特徴の初ガツオには、健康・美容にもたくさんの優れた点があります。
今回は、この時季に摂取したい初ガツオの優れた点やおすすめの食べ方を理解して、健康・美容に役立ててくださいね。

近海カツオ一本釣りは今が最盛期。最近では遠方から築地市場に空輸されることも!
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初ガツオと戻りガツオの違い

カツオは回遊魚なので、「初ガツオ」と「戻りガツオ(下りガツオ)」では味わいに大きな違いがあります。
●初夏に水揚げされる「初ガツオ」
4月後半〜6月に水揚げされる「初ガツオ」は「スズキ目サバ科マグロ族カツオ属」に分類され、春になるとイワシなどを捕食するため、黒潮にのってフィリピン沖から北上してきます。エサ場に向かって北上している最中のため、脂身よりも赤身が多く、サッパリとしたみずみずしい味わいが特徴とされています。
●初秋頃に水揚げされる「戻りガツオ(下りガツオ)」
初夏に北陸沖まで北上したカツオは、水温の低い親潮にぶつかるとUターンする特性があるため、初秋頃から南下するカツオを「戻りガツオ(下りガツオ)」と呼びます。さっぱりとした味わいの「初ガツオ」に対し、たくさんの餌を食べて南に戻っていく最中の「戻りガツオ」はアブラがのっている……。これが「初ガツオ」と「戻りガツオ」と差となっています。
実際に脂肪量を比較すると「初ガツオ」の10倍以上の脂肪量が「戻りガツオ」にはあるといわれ、トロのようにこってりとした濃厚な味わいが特長とされています。さて、みなさんはどちらが好みでしょうか?

出汁(だし)としても重用されるカツオ
出汁(だし)としても重用されるカツオ

初ガツオの優れた点

旬の初ガツオは脂肪分も少なく、高タンパク、低脂肪。カロリーを気にする女性にとってはうれしい限りですが、さらに、初ガツオの優れた点をあげていくと……、
❏貧血予防
魚の中ではトップクラスといわれるビタミンB12を含有し、さらに鉄分も多く含んでいるので、体内の血液循環を促進する効果が期待できます。
❏疲労回復
アミノ酸を多く含んでいるうえに、DHA(ドコサヘキサエン酸)なども多く含んでいるので、美容や健康にも効果があると言われています。
❏二日酔い予防
肝機能をサポートするといわれているナイアシンとタウリンを含んでいることから、酒の肴にカツオ取り入れると二日酔いを軽減する効果があると言われています。
このほかにも、たくさんの優れた栄養素を含有しているので、ぜひ今こそ「初ガツオ」を食したいものですね。

気温変化が激しく疲れやすい今こそ、カツオがおすすめ
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初ガツオは、やっぱりタタキがオススメ!

初ガツオは脂肪分が少なくさっぱりした味わいなので、加熱調理より薬味を使ったタタキなどで食べたほうが◎。そして、トッピングとして添えるものには、ぜひ旬の野菜を使用したいものです。
❏新玉ねぎ/新玉ねぎは甘くて生でも食べやすいうえ、栄養も豊富
❏ミョウガ/ビタミンやカリウムを多く含んでいるので健康に優れた食材
❏大葉/βカロティンやミネラルも豊富で、単に薬味と思わずに積極的に食したい食材
❏ニンニク/疲労回復、滋養強壮といえば、そう、やっぱりニンニク!
このように、旬の食材は旬のものと合わせると、より健康面での相乗効果が高まると言われています。こうした点からも、カツオのタタキは健康面で理にかなった料理と言えますね。

カツオのタタキは旬の野菜と一緒に!
カツオのタタキは旬の野菜と一緒に!

カツオを選ぶ際のチェックポイント

スーバーなどでカツオを買うときに気をつけたい点は、
❏切り身の場合のチェックポイント1 ➡ 身が赤く鮮やかで、透明感があるものを
❏チェックポイント2 ➡ 血合いの部分は鮮度が落ちると黒ずんできやすいので、色が鮮明であるもの
❏チェックポイント3 カツオは水分を多く含んでいるため、生で購入した場合は、その日のうちに食べるようにしましょう
── 新生活がスタートして少し疲れ気味の人や、気温の変化によって疲れが溜まっている人は、早速、夕食に旬のカツオを食して、元気パワーを補充してくださいね。

あなたはニンニク派? それともショウガ派?
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