5月5日に立夏を迎え、最高気温が25度を超える夏日も増えてきました。夏日となると、立ち寄ったスーパーやコンビニで、アイスクリームに手が伸びる方も増えるのではないでしょうか。アイスクリームの歴史は古代ギリシャにまで遡るのですが、原型とされるのは16世紀のイタリア。日本にはいつどこへ?
今日、5月9日はアイスクリームの日。アイスクリームについて知って美味しくいただきましょう。

アイスクリームと一緒にフランスへ嫁いだカトリーヌ・ド・メディチ

古代ギリシャからローマへ伝わった氷菓ですが、1533年、カトリーヌ・ド・メディチの婚礼を機にイタリアからフランスへ伝わります。その祝いの宴は、「メディチ家の料理人たちによってイタリアの豪華な料理がふるまわれ、木イチゴやオレンジ、レモン、イチジク、レーズンなどのドライフルーツ、アーモンドやピスタチオなどのナッツを使ったシャーベットのすばらしさにフランスの貴族たちは驚嘆(きょうたん)した」*1 というエピソードが残っています。
その後1624年には、カトリーヌの孫娘アンリエッタ・マリアとイギリス王チャールズ1世の結婚によってイギリスへ伝わり、「グラス・ナポリタン」という、現在の三色アイスクリームの原型が生まれました。1686年になると、パリのサンジェルマン・デ・プレ近くにアイスクリーム専門店「カフェ・プロコープ」が開店します。1720年にホイップクリームを凍らせた「グラス・ア・ラ・シャンティ」、卵を使った「フロマージュ・グラス」などが生まれました。
美術の世界でも大きな影響を与えたメディチ家ですが、アイスクリームの伝播にも一役買っていたのですね。
*1 日本アイスクリーム協会HP参照

ヨーロッパからアメリカを経て、横浜へ…

アメリカへは1700年ごろに伝わり産業として発展してゆきます。日本へは明治2年(1869年)に、横浜へやって来ました。馬車道で日本初のアイスクリーム「あいすくりん」が作られ、馬車道は日本のアイスクリームの発祥の地となりました。明治8年(1875年)、東京・麹町の開新堂、風月堂などのレストランのメニューにアイスクリームが加わり、明治35年(1902年)には、東京・銀座の資生堂薬局に現在の資生堂パーラーが併設され、アイスクリームとアイスクリームソーダの販売が始まりました。アイスクリームは、当時の庶民には手が出ない高価なデザートでしたが、今では、小学生のお小遣いで買えるものから高級品まで、さまざまな種類が揃いそれぞれの生活に寄り添うデザートとなりました。横浜で生まれた「あいすくりん」は、「馬車道アイス」の名前で当時のレシピを再現し、赤レンガ倉庫にあるショップで出来立てが食べられます。

アイスクリームは保管温度が命

アイスクリームカップの表示を見ると「要冷凍 -18℃以下で保管」と記されているのをご存知でしょうか? この温度は、アイスクリームの状態を保つために大切な温度なのです。日本アイスクリーム協会によると、各メーカーのアイスクリームの工場では-25℃で管理しており、流通や販売店では-18℃以下で保管管理しています。私たちがお店で手に取る時の状態を維持するには、夏場は持ち歩き時間10分まで、帰宅後すぐに冷凍庫で保管することが大切です。また、いろいろな食材が詰め込まれやすい冷凍庫ですが、アイスクリームはほかの食品の温度や匂いの影響を受けやすいので、できるだけほかの食品と離して保管するのもおいしく食べるポイントとなります。この保管条件を守れば、商品の劣化が極めて低いためアイスクリームに賞味期限はありません。*2
これからの季節、保管に気を付けて美味しくいただきたいですね。
*2 日本アイスクリーム協会HP参照
《参考》
日本アイスクリーム協会公式サイト
横浜観光情報サイト 横浜発祥のグルメ
ハーゲンダッツ公式サイト