季節がどこにあるか分からなくなりそうな、行きつ戻りつの気温差で半袖を出したと思ったら上着が欲しくなったりと忙しい数日ですね。ところで、今日はよい風呂の日。語呂合わせの「よ(4)い風呂(26)」と、2014年4月26日に公開された「テルマエ・ロマエⅡ」というお風呂を舞台にした映画の続編の公開日で、映画制作委員会が制定し日本記念日協会の認定もされています。記念日の正式名称は「テルマエ・ロマエ よい風呂の日」。映画「テルマエ・ロマエ」は、古代ローマ人の浴場設計技師が今の日本にタイムスリップして、お風呂に関する様々な知見を深め古代ローマに持ち帰るという物語をコミカルに描いている作品で、大ヒットを記録しています。さて、そんな記念日の今日は、日本のお風呂の歴史と温泉について簡単にご紹介したいと思います。歴史を辿ってみると、改めてお風呂の価値を感じることができるかも知れません。

家風呂が一般化したのはつい最近!? の昭和時代

日本のお風呂の歴史は6世紀頃仏教伝来と共に始まりました。仏教では身体を洗い清めることはお勤めの一つとして考えられており、寺院には沐浴の場が設けられていました。そこでは寺院に訪れる人々をもお風呂に招き入れ沐浴させていたということです。しかし、庶民の生活に家風呂が定着するようになるのはもっとずっと先のことでした。江戸時代に入ってようやく銭湯の時代。当時の銭湯はサウナのような様式で、焼け石に水をかけて蒸気を起こしその熱気を利用して身体の汚れをこすり落として掛け湯をする、という仕組みでした。その後、薪で火を起こして、たっぷりのお湯に身体を浸からせるお風呂が登場します。木で作られた浴槽の脇に鉄製の筒に薪を焼べてお湯を沸かす「鉄砲風呂」や、浴槽の底で火を起こす「五右衛門風呂」が登場したのも江戸時代のことでした。明治、大正時代の銭湯では、蒸し風呂から肩までつかるお風呂様式となり、脱衣所や洗い場が作られ、水道設備が整うなど、現代銭湯の原型が生まれました。そうしてようやく、家風呂が一般化されたのはつい最近の昭和時代ということです。身体を洗い清めるという行いは日本人の心に受け入れやすかったものの、お風呂自体が贅沢品であった、ということなのでしょうね。現代では、追い炊き機能や浴室乾燥機、床暖やミストなど、昔の人々にとっては夢のようなお風呂もご家庭で見られるようになりました。

個性が光る現代の日本の温泉に再び注目!!

さて、家風呂の発展は世界でも類を見ない日本文化ではないかと思われるのですが、日本には世界に誇れる温泉もたくさんあります。日本の温泉は、温泉法に定められた定義に沿ったものが温泉と呼ばれ、環境省によって10種類の泉質に分類され細かく管理されています。療養目的とされるものに関してはさらに細かく定義がされ、日本の温泉の質の高さを感じます。お風呂同様に、古くから親しまれている温泉のイメージですが、現代のようなエンタテインメント性を含んでブームとなったのは、戦後のことです。さらに最近では、旅行雑誌や、インターネットなどでもオシャレに紹介され、以前の温泉ブーム以上に広い世代から再び注目を集めています。数年前から「おひとりさま旅」「温泉女子会」という言葉ももてはやされて、女性の一人旅にも安心できる仕組みや、エステや趣向を凝らしたお食事、アメニティグッズの充実など、その楽しみ方も地域や施設によって個性があり益々魅力的になっています。よい風呂の日の今日、改めてご自身に合ったお風呂での過ごし方や休日の温泉旅など思いを巡らせてみてはいかがでしょうか。