ようやく春らしい陽気が訪れました。各地で桜が開花し、今週中には満開を迎える地域も。入園式や入学式後のお花見、仕事帰りの夜桜見物、一人ふらりと見上げる桜。今年はどんな桜の季節になるのでしょうか。
お花見弁当にも登場頻度が高い春野菜、アスパラガス。その栄養価と生命力あふれる姿、みずみずしい食感。一方で鮮度が落ちやすい繊細な一面も。古来、人々を魅了してきたアスパラガスをもっと美味しくいただくコツをご紹介します。

1日で10センチも伸びる!? いよいよ旬の季節が到来

アスパラガスは、これから本格的な旬を迎える春を代表する野菜です。輸入ものは出回っていますが、やはり美味しいのは何といっても国産の採れたてのもの。佐賀県など九州産は先駆けて店頭に並んでおり、長野県産の露地ものが4月下旬頃から、生産量一位の北海道産の露地ものは5月中旬から下旬頃に出荷がはじまります。
アスパラガスは、ニラやニンニク、タマネギなどと同じユリ科の植物。食用とされているのは「茎」の部分で、発芽したばかりの「若茎」になります。天候によっては1日で10センチ程伸びることもあり、わずか2、3日で収穫可能なサイズまで成長することも。なんという生命力!

ぐんぐん伸びる!生命力あふれるアスパラガスの若茎
ぐんぐん伸びる!生命力あふれるアスパラガスの若茎

グリーンの高い栄養価、ホワイトの繊細な風味。どちらも魅力的!

「グリーンアスパラガス」と「ホワイトアスパラガス」では、栄養成分が多いのはグリーンのほう。疲労回復によいとされるアスパラギン酸というアミノ酸を多く含んでいるのが特徴です。アスパラギン酸は、排泄を促すはたらきもあることから、古代エジプトでは利尿薬として利用されていたとか。
栄養価ではグリーンに及ばないホワイトアスパラガスですが、その繊細な食感と甘みから、ヨーロッパでは非常に人気があります。「春の宝石」「貴婦人の指先」などと呼ばれ、古来、春の風物詩として愛されてきました。日本でも国産のホワイトアスパラガスが多く出回るようになり、身近な存在になってきました。グリーンもホワイトも、この春はぜひ食卓に取り入れてみましょう。

グリーンもホワイトも実は品種は同じです
グリーンもホワイトも実は品種は同じです

三つ星シェフ・ロブション氏による、茹で方のコツとは?

「出会うたびに誘惑の手をのばしてくる、ずば抜けて魅力的な野菜」と、ジョエル・ロブション氏も愛して止まないアスパラガス。
アスパラガスを美味しく味わうには、何よりもまず鮮度が大切。ぴんと張って艶やかで、外側のとげが少なく、穂先がしっかりしまっているものを選ぶことをすすめています。アスパラガスはいたみが早いので、摘みとったその日に食べるのが理想とロブション氏。保存するなら、ぬれ布巾に包んで空気や光から遮断し、冷蔵庫の野菜室に入れるが、2、3日が限度とのこと。
アスパラガスの魅力を最大限に引き出すには、茹で方が大切。ロブション氏が伝授するポイントを確認してみましょう。
◎太さや大きさによって茹で時間が異なるので、なるべく同じくらいのものを選ぶ。
◎グリーンアスパラガスは美しい緑が色あせないように、塩を加えた熱湯で茹でる。
◎茎が下になるように立てて鍋に入れ、早く火が通る穂先は水面に出しておく。
◎2、3分たったら、アスパラガスをそっと寝かせて全部がすっぽり湯に浸るようにする。
◎ふきんなどで落し蓋をすると、蒸気が外に逃げず全体にむらなく火が通る。
◎茹ですぎないようにペティナイフの刃先で刺してみて、ちょっと抵抗を感じるくらいがよい。
◎茹で上がったら、形をくずさないように注意して鍋から取り出す。
◎水気が切れたところで皿にのせ、温かいうちに供する。
アスパラガスをいちばん美味しくいただくコツは、鮮度と茹で方、そして茹でたてであることのようですね!そのためには、添えるソースなどはあらかじめ用意しておくことも忘れずに。
これから本格的に旬を迎えるアスパラガス。この魅力的な野菜を、ぜひ存分に堪能しましょう!

アスパラガスと卵は最高の組み合わせ!彩りも春らしいですね
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参考文献
ジョエル・ロビュション『四季を彩る52の食材と料理 ロビュションの食材辞典』柴田書店 1997
吉田企世子『旬の野菜の栄養辞典 最新版』エクスナレッジ 2016