2月21日は「漱石の日」。夏目漱石が1911年(明治44年)2月21日に、文部省からの文学博士号授与を辞退したことからそう呼ばれるようになったとされています。
夏目漱石と言えば、「こころ」「坊ちゃん」「吾輩はである」など、数々の名作を残した文豪として有名です。国語の教科書で初めて漱石の作品に触れたという人も多いのではないでしょうか。
今回は、日本人なら誰もが知っている文豪「夏目漱石」の逸話をご紹介します。

「超」が付くほどの甘党!甘いお菓子で大惨事?

夏目漱石の大好物は、甘いお菓子。その中でも特にアイスクリームがお気に入りだったようで、漱石の家の裏庭にはアイスクリーム製造機が置かれていたそうです。かなりの甘党だったんですね。
しかし、漱石は胃潰瘍持ち・・・。アイスクリームや羊羹などの甘いお菓子を食べ続けた結果胃潰瘍は悪化し、大吐血と心臓停止という大惨事に陥ってしまったのです。病気を悪化させてまでお菓子を求めるとは、かなりの執着心ですよね。
そんな漱石の「こころ」や「虞美人草」などの作品には、しばしばアイスクリームが登場します。漱石作品を読む際のお供にアイスクリームなんてのもいいかもしれませんね。ただ、甘い物の摂取はほどほどに!
余談ですが、漱石と友人関係にあった正岡子規もアイスクリームが好きだったそうで、「一匙のアイスクリームや蘇る」「持ち来るアイスクリームや簟(たかむしろ)」といった句を残しています。さらに、芥川龍之介や江戸川乱歩も甘いものが好きで、お菓子に関する記述が載っている作品がチラホラ見受けられます。
作家の趣向を知ることで、文学作品の楽しみ方も少し変わってくるかもしれませんね。

夏目漱石の好物はあま~いアイスクリーム
夏目漱石の好物はあま~いアイスクリーム

本名は夏目金之助。ペンネームをくれたのはあの有名な俳人。

本名「夏目金之助」のペンネームである「夏目漱石」は、「漱石枕流」という四字熟語がもととなっています。漱石枕流とは、頑固者・ひねくれ者を表す言葉です。これが自分の性格にぴったりだと考えた漱石は、この言葉をペンネームにしたと言われています。
しかし実はこのペンネーム、もともとは漱石のものではなかったのです。漱石の友人、正岡子規のものでした。正岡子規が「走兎」「風廉」「四国仙人」など、多くのペンネームを持っていたことは有名でしょう。その数はなんと100以上とも言われています。その数々のペンネームの中に「漱石」がありました。それをもらう形で「夏目漱石」というペンネームが生まれたのです。
夏目漱石というペンネームを付けたのには、友人の正岡子規が関わっていたのですね。

子規が17歳まで暮らしていた家を復元した子規堂
子規が17歳まで暮らしていた家を復元した子規堂

多くの著名作家を輩出した「木曜会」

漱石は作家としてだけではなく教師としても活躍していました。そんな彼を慕う教え子たちは多く、教職を辞してからもたくさんの教え子たちが入れ代わり立ち代わりで彼のもとを訪れていました。しかしこれでは創作活動がはかどりません。彼の創作活動が滞ることを懸念した鈴木三重吉は、「面会は木曜日の午後3時とする」と取り決めました。このことから、漱石と教え子たちの会合「木曜会」が始まったのです。
木曜会には、芥川龍之介、内田百閒、菊池寛など、多くの著名作家たちが参加していました。木曜会の参加者たちは、漱石が死去した後も親交を持ち続け、漱石の命日である12月9日にちなんで毎月9日に「九日会」という会合を開催していたそうです。
頑固者として周囲の人々を困らせていたとも言われる漱石ですが、先生としてたくさんの教え子たちに慕われていたのですね。

2月21日は「漱石の日」ということで、夏目漱石の逸話をご紹介しました。「漱石の日」である今日、彼の作品を手に取ってみてはいかがでしょうか。
<参考サイト>
・夏目漱石生い立ち(新宿区HP)
http://www.city.shinjuku.lg.jp/kanko/file03_01_00027.html
・にっぽん食探検:明治の文人に愛され大流行(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/shoku/040519.html