春一番の吹く頃となりました。このところ日没後、西の空に金星が光り輝いていることにお気づきでしょうか。その金星が今宵、最大光度を迎えます。その明るさは1等星の170倍にもなります。これは見逃せませんね! 金星は地球と太陽の間にあるため、その姿は月のように満ち欠けして見えるのです。1月12日に東方最大離隔を迎え、反対側の西に宵の明星として見えています。この後、欠けていき次には東の空に明けの明星として現れます。さて、金星ってどんな星?

金星と地球は隣同士で双子?

金星は太陽の周りを巡る惑星の一つです。太陽の周りには、水星・金星・地球火星(太陽に近い順)の4つの惑星が存在しています。この4つの惑星は岩石でできている「地球型惑星」と言います。金星は太陽から数えて2番目に存在しています。三番目の惑星である地球のお隣さんであると同時に、地球と同じ約46億年前に生まれたこと、大きさ(赤道半径)も、金星が6,052㎞、地球が6,378㎞でほぼ同じ大きさであることなどから、地球と金星は双子星と呼ばれることもあります。しかし、似ているのは外見だけでした。平均表面温度が460度、気圧は90気圧(水深900mと同じ)と、生命が存在することが難しい環境にある惑星です。

謎多き金星を包む大気

なぜ、金星はそのような熾烈な環境になってしまったのでしょうか。大きな理由は太陽との距離にあります。太陽から金星までが1億㎞なのに対し、太陽から地球までは1億5千万㎞と、その差5千万㎞が変えたのは「ハビタブルゾーン(生命居住可能領域)」です。これは金星を包む大気に大量の二酸化炭素を含むためということが分かっています。金星は太陽に5千万㎞近いために、特別な大気圏を作ったと言えるでしょう。

金星の謎を知ることは

金星は自転と公転を交互に繰り返していて、時速360㎞という考えられないスピードで運動しています。この回転を「スーパーローテーション」と呼びます。この大気の謎は深く、今も解明に向けて金星探索機の「あかつき」がその謎を観測中です。金星を知ることで地球を知る。地球を知るために、金星を知る。これはまるで人と人の関係の様ですね。互いに知り合う事の大切さを、西の夕空に煌く宵の明星を見上げて感じてみてはいかがでしょうか。

参考・出典
国立天文台 ほしぞら情報
星の王子さまの天文ノート
宇宙情報センター 金星の基本情報より