立春をむかえ心はいつのまにか春の到来を望んでいますが、現実はまだまだ寒さに打ち勝って行かなければなりません。忙しい日々の息抜きに、お菓子をいただきながら、のんびりとお茶のひとときはいかがですか?
1月のお正月と3月のひな祭りにはさまれた2月、近年はバレンタインデーのチョコレートに圧倒されているようですが、人々は昔から工夫をかさねてお菓子を楽しんできたようですよ。

やはり日本人の根っこにはお米が・・・

日本の暦は、お米作りに基づいてきました。作物の豊穣を祈り収穫に感謝するためには、地域で力を合わせた働きが必要です。そこで季節の節目には厄を払い、健やかを願って除災招福の行事を大切に行ってきました。このような行事の時には、神仏にお供え物をし、それを皆で分け合って食べる習慣があり、直会(なおらい)ともよばれました。
お供え物のなかでも、おはとくに霊魂や稲作の象徴として神聖視され、小豆はその赤い色から厄を払うとして尊ばれました。「ぼたもち」や「おはぎ」のように小豆あんをまぶしたお餅が、お彼岸やお盆などに用意されるのもこんな理由があったのですね。

お菓子は生活に身近なモチーフがいっぱい!

お菓子の材料は単純。お米、小麦、小豆、砂糖。これだけあればさまざまなお菓子ができます。これらの身近な材料を焼いたり、蒸したり、丸めたり、包んだりしながらさまざまな形に変化させて、その時々場所にあわせて楽しんでいました。
大判焼きは、庶民には一生かかっても見ることはできない大きなお金。そこに金運を願う庶民の思いが形になったのかも知れませんね。いまでは今川焼き、人形焼き、鯛焼きなどさまざまな形を楽しむお菓子として親しまれています。
柏餅のように餡(あん)を包んだ生地を半円状に折り畳んだものを「編み笠餅」と呼ぶ例があります。これに筋状の焼き印をを入れるとまたいっそうそれらしくなりますね。農作業や外出時には太陽や雨から身体を守る笠は昔の人々にとっては、いつもそばにある必需品だったのでしょう。
他にも鶴や亀、水鳥や雀、兎や鮎といった動物もお菓子になくてはならないモチーフたち。季節を感じて生活を楽しむ日本人の心がお菓子にも生きているのですね。

コラボレーションはお菓子でも得意です

明治維新になり新たに入ってきた洋菓子、そして戦後に入ってきたアメリカのスナックは、私たち日本人のおやつにも大きな影響をあたえました。砂糖の甘さしか知らなかった日本人にとって、チョコレートやアイスクリームの滑らかでとろりとした食感は、驚きだったことでしょう。
そして、ポテトチップスやポップコーン、キャンディーバーといったカジュアルなスナックに、自由で開放的な息吹を感じるのは今も変わりません。このように、たくさんのお菓子を楽しめるようになった私たちは、昔からの和菓子の良さもまた見直せるようになりました。なによりもカロリーが低く健康的なことがあります。美味しくてつい食べ過ぎてしまうスナックは、油脂の取り過ぎから肥満を招く可能性も。
近年は、和菓子の職人は洋菓子を学び、パティシエは和菓子を学んで、和洋それぞれを生かした美味しいお菓子が店にならび楽しめるようになりました。日本人は本当に珍しいものを取り入れて工夫し、新しいものを作るのが好きなんだなぁと感心させられますね。
さあ、今日はどんなお菓子で楽しみましょうか?