新年がスタートし、お正月の余韻が残る中、雪国ではよりいっそう寒さを感じてくる季節でもあります。
降り積もると人の背丈にもなるのではないかという豪雪地帯では、交通手段にも、さまざまな工夫がされていますが、やはり車を使う人が多いという印象があります。
しかし、鉄道だって負けてはいません。
昨年12月にJR東日本新潟支社は、1960年代に見られた赤色と黄色の塗装の「新潟色」と呼ばれる115系電車を定期列車として導入すると発表しました。
この「新潟色」と呼ばれる列車はどんなものなのでしょうか?

「新潟色」列車のルート弥彦の名所「弥彦神社」
「新潟色」列車のルート弥彦の名所「弥彦神社」

車が中心、新潟の交通事情

日本随一の豪雪地帯である新潟県。
新潟県の面積は47都道府県中5位という広大な土地をもつ県でもあります。
スキー場も多く、恵まれた自然の中何といっても米がおいしいのが特徴ですが、観光地としては少し地味な印象も受けます。
その要因のひとつに「交通網の少なさ」があるかもしれません。
新潟市を走る鉄道はJR東日本が運営する3路線のみ(新幹線を除く)。以前は私鉄も走っていたものの不採算により廃止に。路線バスはあるものの、市民の足は主に自動車が中心です。
交通手段のうち、自動車分担率が約70%なのに対し、公共交通機関の分担率は約6%という数字からもわかるように、新潟は圧倒的に自動車が中心の街なのです。

人気のスキー場がある越後湯沢の街並み
人気のスキー場がある越後湯沢の街並み

新潟に新たな可能性、「新潟色」列車の導入

自動車中心の生活スタイルが染みついている新潟に、鉄道側は新たな一手を打ち出しました。
それが、「新潟色」115系電車の導入です。
「新潟色」とは、赤色と黄色からなる色。まだ、国鉄の時代であった1960年代後半に新潟エリアを走っていた70系電車は、雪の多い地域でも目立つようにということで、赤と黄色で車体が塗装されていました。
この配色が、当時新潟独自のものであったことから「新潟色」と呼ばれるようになり、1978年まで運転されていました。
定期列車としての導入を前に、ツアー専用臨時列車として2017年1月21、22日に「新潟色」がお目見えします。
「懐かしの新潟色越後ぐるっと周遊号」として新潟~吉田~弥彦~東三条~新津~新発田~新潟というルートをめぐっていきます。国鉄時代を知る鉄道ファンにとっては、まさに懐かしい列車が復活するうれしいニュースとなったことでしょう。

北陸新幹線に負けられない新潟

みなさんご存じのとおり、2015年3月には北陸新幹線が開業しました。
それまで不便といわれていた東京~金沢間は最短で2時間28分という時間でたどり着くことができるようになったのです。北陸新幹線効果により、東京から富山や金沢への観光がとても便利になりました。
その一方で、北陸新幹線が停車する新潟県内の駅は、上越妙高駅、糸魚川駅の2駅のみ。
東京~新潟間は上越新幹線に乗って1時間40分ほどで行けるものの、観光で新潟を拠点としたときには、どこをまわろうか少し悩んでしまうかもしれません。
2023年(予定)には、北陸新幹線は金沢から福井県の敦賀までの区間も開業する計画です。その区間には小松や加賀温泉郷など観光地として魅力的な街も含まれています。
北陸の中でも石川県、福井県の観光が活発化する中、新潟も負けじと活性化していくことが新潟の人々にとっての希望でもあることでしょう。
―― 美しい海があり、山があり、川があり、田園も広がる新潟。
その恵まれた自然から生まれるおいしい食べ物の数々。昔ながらの日本らしさを感じられるのが新潟の魅力といえるでしょう。今回の「新潟色」列車の復活が、新潟の観光の活性化につながることを願っています。

東京と新潟をつなぐ「上越新幹線」
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