年末年始、皆でいただくお料理には、普段はあまり口にする機会が少ない縁起野菜も食卓にのぼるのではないでしょうか?金時人参、えび芋、慈姑(くわい)、百合根(ゆりね)、芹(せり)など。
今回は、そんな野菜の中でも「かつお菜」と「根三つ葉」を紹介します。
「かつお菜」は古くから福岡で作られてきたアブラナ科の葉野菜で、高菜の近縁種とされています。旨みが多く含まれ、かつおの出汁が無くても美味しいという事からかつお菜と呼ばれるようになったとも言われるくらいうま味があります。博多のお雑煮には欠かせません。
「三つ葉」は品のある香りを楽しむセリ科の野菜で、年中出回っている「切り三つ葉」やスポンジが根元についた「糸三つ葉」のほかに、歯ごたえ、香り、栄養と三拍子そろった根つきの「根三つ葉」があります。まさに、この年末年始から2,3ヵ月間、出回ります。関東のお雑煮には欠かせません。
そんな季節ならではの縁起野菜をみていきましょう。

博多のお正月のお雑煮にかかせない「かつお菜」「勝男菜」

かつお菜は緑黄色野菜の一つとしてβカロテンを多く含むほか、ビタミンCも多く、抗酸化性の高い野菜です。
また、他の葉野菜の中ではカルシウムを多く含んでいる上、名前の由来となる旨み成分のグルタミン酸やアスパラギン酸などのアミノ酸を多く含んでいます。
お味噌汁、おひたし、炒め物何でも美味ですが、「勝男菜」と書くことから縁起物として正月には博多の雑煮には欠かせない野菜の一つとされてきました。
大きなものだと40-50cmにわたる、でこぼこした葉で大胆な見た目とは裏腹に、灰汁はないのにコクがあり柔らかいです。一度食べたらリピートしたくなるほど旨味と食感が良い「かつお菜」です。
美しい鮮やかな緑色が失われないよう、さっと湯通しするイメージでゆで時間も短時間です。
かつては盛んに作られていたようですが、小松菜やホウレン草などに転換が進み、福岡でも正月向けにしか作られなくなったため、生産量は激減しました。
近年、ふたたび全国的に伝統野菜を見直す動きが盛んになっているようですので、もし店頭でみかけたら、ぜひ入手を!
味が気に入りましたら、種をとりよせて、栽培するのもいいですね。かつお菜自体は春蒔きと秋蒔きが可能で、収穫時期は初夏と冬ですが、冬の物の方が葉に厚みが出て旨みも多く感じられます。
秋まきの場合、旬は12月~2月。丈夫でどんどん収穫ができますのでおススメです。

福岡の伝統野菜「かつお菜」風味豊かです
福岡の伝統野菜「かつお菜」風味豊かです

根三つ葉で季節の香りをたっぷりと!

お正月料理といえば、可愛い野菜の「飾り切り」。縁起を担いだり願いを込めたりしながら作ります。角が立たず円満に過ごせますように・・・と全て輪切りや丸のまま飾り付けたりもしますが、せっかくなので、この機会に「飾り切り」に挑戦してみたいものです。お弁当にも使えそうですね。
「結び三つ葉」はくるっと糸三つ葉が結ばれたあしらいで「縁を結ぶ」という縁起もの。さっと湯通しして冷水にとり、二本束ねて、輪をつくり結ぶだけ。最後に茎の長さがそろうようカットして揃えます。
お吸いものや茶わん蒸しのあしらいや、雑炊やうどんのおともに、香りよく、彩りもきれいです。
「根三つ葉」は今が旬。せっかくなので、根三つ葉を求めて、おひたしやかき揚げ、卵とじなど薄味で、香りを楽しめるレシピで楽しみましょう!
シンプルなお出汁の鍋に「根三つ葉」をたくさんいれて、頂くのもおつな味わいです。
三つ葉の栄養は下記の通りです。
●カリウムを豊富に含んでいます
カリウムはナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧に効果があります。
また、長時間の運動による筋肉の痙攣などを防ぐ働きもあります。
●カロテンも豊富
βカロテンは抗発ガン作用や動脈硬化の予防で知られていますが、その他にも体内でビタミンAに変換され、髪の健康維持や視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉や肺など呼吸器系統を守る働きがあるといわれています。
いよいよ今年も残すところわずかとなりました。新しい年にむけて、準備が整ってきましたね。
どうぞ仲良く、元気に新しい年をお迎えください。

根はきんぴらにしても、味わい深いですよ
根はきんぴらにしても、味わい深いですよ