風がなければ日差しのある場所では穏やかな暖かさを感じる日もありますが、朝晩の寒さや冬の乾燥は本格化して、秋から冬への移り変わりをしっかりと感じる東京です。さて、クリスマスへのカウントダウンも折り返しを迎え、同時に年末年始の予定についても考えねばならない大人の皆様も、せっかくのアドベント期間ですから、ここは是非、日ごとに味わいを増すシュトレンを用意して、一日一日を楽しみに味わい尽くしてはいかがでしょうか。今回は日本でもそこかしこで目にするようになったシュトレンについて簡単にご紹介いたします。

今や高級フードのシュトレンも昔は質素なパンだった!?

シュトレンの歴史は古く、作られてから既に500年以上も経っています。発祥の地はドイツのドレスデンで、元々はキリスト教の聖職者に献上されるお菓子だったようです。しかし、クリスマスに備えた断食の期間に食されるものであったため、バターやドライフルーツもない質素なパンでした。その後、時の教皇と協会との協議によってバターの使用が解禁となり、それが今のシュトレンへとつながる始まりでした。そして現在、ドレスデンではシュトレン保存協会という団体によって、販売するお店のシュトレンに覆面調査が入り、食材から品質に厳しいチェックが入るほどこだわりと伝統が守られたクリスマスフードとなっています。このシーズンのドレスデンでは、数百個分の大きなシュトレンが街を練り歩き、整理券を手にした人に振る舞われるシュトレン祭りが催される日があります。その様子を一目見ようと、日本国内からもツアーが組まれるほど盛り上がっています。残念ながら今年のお祭りは既に終わっていますが、ご興味のある方は来年のお祭りに向けて旅行会社でチェックしてくださいね。もちろん、この食文化は市販されているものだけでなく、各家庭によってもこだわりのレシピが受け継がれ、このシーズンの楽しみのひとつとなっています。

日増しに味わい深くなるシュトレンでホッと一息

日本でもクリスマスケーキの予約と並んでケーキ屋さんでもパン屋さんでもシュトレンの販売を目にしますし、家庭でも作れるような趣向を凝らしたレシピがインターネット上に飛び交っています。また、最近ではドレスデンの正統派シュトレンやヨーロッパの別の地域のシュトレンを集めて販売しているデパートもあり、アドベント期間を益々盛り上げています。海の外に飛びなさなくても美味しいシュトレンが手に入る嬉しい時代ですね。シュトレンはその全体を砂糖でコーティングされているため、長期保存が可能でなおかつ日を追うごとに味が深まるお菓子ですから慌てて賞味期限を心配する必要もありません。忙しい毎日を送っている方にこそピッタリ!? ではないでしょうか。12月も後半間近、忙しさはピークを迎えるかと思いますが、束の間の休憩はシュトレンをお供にクリスマス気分でリフレッシュして乗り切りましょう。