11月ももうすぐ終わり。寒い日が続きます。今年は11月としては54年ぶりに都心で初雪が観測され、話題にもなりました。
さて、この季節になると恋しくなるのが温かい鍋ではないでしょうか。
鍋の具材はそれぞれの家庭によってもさまざまでしょうが、経済的で、ちょっと添えるだけで彩もボリュームもアップするかまぼこが、我が家では定番の具材です。最近では、煮込んで食べる鍋用のかまぼこも発売されています。
そこで今回は、かまぼこについてご紹介したいと思います。

あつあつの鍋に彩とボリュームを添えるかまぼこ。その由来は?
あつあつの鍋に彩とボリュームを添えるかまぼこ。その由来は?

11月15日は「かまぼこの日」だった……

かまぼこがいつごろから食べられるようになったかについては、諸説あります。
水産ねり製品の製造業者による全国組織、全国かまぼこ連合会によると、1115年に、かまぼこ製品が日本の歴史上に初めて登場したとされています。当時の書物にお祝いの宴席料理のイラストがあり、そこにかまぼこも描かれているのだそうです。
この1115年という年号を「11」と「15」に分けて、11月15日が「かまぼこの日」になりました。
また、室町時代に書かれた書物にもかまぼこについての記載は残っているようです。
当時のかまぼこは、魚の肉をすり身にしたものを、竹の串に塗って焼いて作りました。
真中に刺した竹を抜いて、切った切り口が竹に似ていることから、竹輪蒲鉾と呼ばれるようになりました。その後、竹串ではなく板に塗って焼く、板付蒲鉾が登場。さらに製法も焼いていたものから、湯煮になり、江戸時代も末期になると蒸して作るようになりました。
なお、地域によっては傷まないよう、蒸した後にさらに焼いて作られていたそうです。

かまぼこの始まりは竹串にすり身を塗って焼いていた
かまぼこの始まりは竹串にすり身を塗って焼いていた

かまぼこの材料はナマズだった?

かまぼこの材料は、白身の魚です。
色が変わらず、腰が強いといった理由があるようです。
しかし初期のかまぼこは、淡水魚のナマズを材料に、各家庭で作っていました。
自家製のかまぼこが姿を消し、商品として売られるようになると、サメが使われるようになりました。
現在ではスケトウダラやエソ、グチなどさまざまな魚が材料としてありますが、かまぼこの種類などによっても異なるようです。

ナマズが元祖かまぼこの元
ナマズが元祖かまぼこの元

竹輪もはんぺんも、同じかまぼこ

かまぼこには、蒸しかまぼこ、焼かまぼこ、ゆでかまぼこ、揚げかまぼこなど、製法によってもいくつもの種類があります。風味かまぼこと呼ばれるカニやホタテ、エビなどの風味が楽しめるかまぼこもあります。
さらに、実はかまぼこの一種という食品も実はたくさんあります。
かまぼこの元祖ともいえる竹輪蒲鉾は、板付蒲鉾が登場すると、かまぼことは別の食品、竹輪になりました。
また、はんぺんも、元はかまぼこだったようです。その名前の由来も、竹輪かまぼこを縦に半分に切ったものだから「半片(はんぺん)」と呼ばれるようになったとか。
このほか徳川家康の家来、半平(はんべい)という人が作ったなど諸説ありますが、いずれにしても竹輪もはんぺんも、さかのぼると魚のすり身を加工した、同じかまぼこの一種でした。

竹輪もはんぺんもかまぼこの一種
竹輪もはんぺんもかまぼこの一種

かまぼこの語源は蒲の穂?

かまぼこは漢字で書くと「蒲鉾」ですが、古くは「蒲穂子」と書かれていました。
蒲(がま)の穂に形が似ていることから「蒲穂子」と呼んだと言われています。さらに、蒲の穂が、鉾(ほこ)に似ていることから、「蒲鉾」になったそうです。
そのまま読むと「がまほこ」になりますが、「がま」の濁点がなくなり「かま」に、反対に「ほこ」が濁って「ぼこ」になっています。つり合いがとれているようで、面白いですね。

参考:47都道府県・魚食文化百科(丸善出版)、たべもの語源辞典 (東京堂出版)、図説 江戸時代食生活事典(日本風俗史学会)、全国かまぼこ連合会ホームページ

「蒲の穂」が「かまぼこ」に
「蒲の穂」が「かまぼこ」に