ここ数年、シリアルがブームです。カルビーの「フルグラ」が火つけ役となり、さらに健康・和食ブームが追い風となって、各社でさまざまなシリアルが販売されています。そこで、「さあ、シリアルに挑戦してみるぞ!」とスーパーに行くと、なんだか見慣れない単語がたくさん並んでいます。シリアル、グラノラ、ミューズリー…。フレーク、ブラン、オートミール…。ああ、何がなんだかよくわからない…。
秋は麦類の種まきの季節です。来夏の麦の豊作を願うこの時期、麦類を原料とするシリアルの種類について整理したいと思います。

すべてをひっくるめて「シリアル」とよぶ。もともとは病人の療養食として開発された

シリアルは英語で「cereal」。語源は、ギリシャ神話に出てくる、大地と五穀豊穣の女神デメテルのローマ名「Cerel(ケレス)」です。原料はトウモロコシ、小麦、大麦、オーツ麦などが使われていて、コーンフレーク、オートミール、グラノラなど、すべてを総称してシリアルとよびます。
シリアルは、牛乳などをかけるだけでそのまま食べられるように加工された穀物で、もともとは欧米の病院で病人のための療養食として開発されました。ビタミンやミネラル、食物繊維など栄養面でバランスがよく、しかも手軽に食べることができるので、今では忙しい朝によく食べられています。

朝食に手軽なシリアル。
朝食に手軽なシリアル。

焼かずに仕上げる“しっとり”派の「ミューズリー」。味つけしてから焼く“ザクザク”系”の「グラノラ」

焼かずに仕上げたオートミール(オーツ麦)などの穀物に、ナッツやドライフルーツを加えたものが「ミューズリー」です。それに対し、さまざまな種類の穀物に、蜂蜜やメープルシロップ、黒糖や植物油などをかけて味つけし、オーブンで焼き上げたのが「グラノラ」です。
グラノラは焼いてあるので、ザクザク、ボリボリと歯ごたえがあります。一方、ミューズリーにはサクサクとした歯ごたえはありません。どちらかといえば、しっとりとした食感です。オートミールは牛乳で煮ておかゆのようにトロトロにして食べたりするので、ミューズリーについては、前の晩から牛乳でふやかして食べるという方法もあります。
グラノラはアメリカ発祥です。一方、ミューズリーはヨーロッパ系で、スイスの医師が病人の療養食として開発したものが発祥といわれています。
ミューズリーもグラノラも同じ材料を使っていますが、グラノラは味つけしてある分、糖分や油分が含まれているので、ダイエットに利用するなら、カロリーが低いミューズリーのほうがいいかもしれません。

ミューズリーは非加熱。
ミューズリーは非加熱。

平たくして焼いた「フレーク」、小麦の外皮は「ブラン」、おかゆのように食べる「オートミール」

昔からおなじみの「コーンフレーク」ですが、これは、乾燥させたトウモロコシを粉にして加熱してから、平たくつぶして、オーブンで焼いたものです。最近ではコーンフレークのほかに、玄米フレークやブラン(小麦の外皮)フレークなども人気です。コーンフレークはサクサクと軽い歯ざわりですが、玄米やブランのフレークはコーンのような軽さはなく、ザクザクとした歯ごたえがあります。
「ブラン」は小麦の外側の皮の部分です(もみ殻のすぐ内側)。日本では「ふすま」とよばれています。よく「全粒粉」という言葉を耳にしますが、「ブラン(ふすま)」とどこが違うのでしょう。全粒粉は外側の皮もまとめて粉にしたものなので、「白い小麦粉+外皮」です。一方、ブランは外皮だけで、白い小麦粉は含まれません。ブランは食物繊維が豊富なほか、鉄やカリウムなどのミネラルも多く含まれているので、健康重視のシリアルに利用されます。
「オートミール」の原料はオーツ麦です。水や牛乳を加えてトロトロにして食べます。昔から療養食として食べられているので、西洋版のおかゆといったところでしょうか。あたためて食べるシリアルなので、「ホットシリアル」ともよばれています。
これらのほかにもシリアルには、パフ(穀類に熱と圧力を加えて膨らませたもの)や、クリスプ(カリカリッとした歯ごたえ)などもあります。
〈参考サイト:日本ケロッグ「シリアル大事典」〉
シリアルがブームです。朝食のバイキングにシリアルを用意しているホテルも増えてきました。ひと昔前はコーンフレークぐらいしかなかったシリアルですが、最近は健康志向が強くなっているせいか、栄養価の高いブランやミューズリーにも注目が集まっています。
今ごろの季節は秋まき小麦の種まきの時期です。来年も国産小麦のシリアルがおいしく食べられるよう、小麦の豊作を願わずにはいられません。

定番のコーンフレーク。
定番のコーンフレーク。