二十四節気「寒露(かんろ)」。仲秋から晩秋へ…冬鳥たちが渡ってくるころ

2016/10/08 11:00

五穀の収穫たけなわですが、朝晩は都心でも肌寒いくらいに気温が下がってまいりました。二十四節気では本日より「寒露(かんろ)」となり、いつのまにか暦のうえでは仲秋から晩秋へ。冬鳥たちが渡来し、菊の花が見ごろを迎え、すっと肺まで凍みるような澄んだ空気が露を冷やし、櫨(はぜ)の木がいち早く真っ赤になってくるころです。

「朝露が降りると晴れ」 昼間暑いと思っていたのに、夜は急に冷えこんだりする寒暖の差に、「ああ秋が深まってきたんだな」と、実感できる今日このごろ。 暦の上では、二十四節気「寒露(かんろ)」を迎え、仲秋から晩秋となりました。 この「寒露」。暦便覧によれば、「陰寒の気におうて、露むすび凝らんとすればなり」とあり、朝降りている露が冷たく感じられるころ。陰の気がますます増し、次第に寒くなってきます。 「朝露が降りると晴れ」は、秋の天気を表したことわざの一つ。朝、草や樹木の葉に露が降りるのは秋が最も多いといわれ、昼間によく晴れて、夜間の冷え込みが強いときほど、多くの朝露が見られるとのこと。けれども朝日に輝く朝露は、青空が広がり気温が上昇するとたちまち、はかなく消えてしまうことから、情趣ある歌の題材となってきました。 わが背子を 大和へ遣ると さ夜更けて 暁露にわが立ち濡れし  ~大伯 皇女~
「渡り鳥早き年は雪多し」 そして七十二候では、本日10月8日~12日ごろまでが「鴻雁来(こうがんきたる)」です。 春を告げる鳥が鴬なら、秋を告げる鳥は雁。 肌寒さを感じるようになると、雁、鶴、つぐみ、鴨、白鳥などの冬鳥たちが北方より日本へ渡ってきます。 最近では雁が渡る風景をあまり見かけない気がしますが、宮城県北部の伊豆沼・内沼は別のようです。この湿地帯は、秋から冬に極東ロシアから渡ってくる鳥たちの越冬場所で、ラムサール条約の登録湿地として指定されています。夜間に沼で休息したマガンたちが早朝一斉に飛び立つ様子は圧巻で、まだ明けやらぬ虚空に響き渡る飛翔の鳴き声は、環境省の「残したい“日本の音風景100選”」にも選ばれているそうです。 渡り鳥の飛来時期によってうまれたことわざが「渡り鳥早き年は雪多し」。北方の寒さの早まりによって、渡り鳥たちが極端に早くやってきた年、雪害への注意をうながしたものでしょうか。 夜を寒み ころもかりがね 鳴くなへに 萩の下葉も うつろひにけり  ~よみ人しらず~ 空を舞う雁の鳴く声に、こころもとない寂寥感が漂います。
「秋の日は釣瓶(つるべ)落とし」 日ごと日ごとに短くなる昼間の時間。あっという間に日が沈む秋の夕暮れを「秋の日は鶴瓶(つるべ)落とし」と言いますね。 秋になると太陽の位置が低くなるため日射が弱くなることから、早く暮れるように感じるのだそうです。釣瓶とは、水を汲むために竿や縄の鳴きにつけて井戸の中におろす桶のこと。その釣瓶が滑り落ちるように、あっというまに日が暮れる様がことわざになったのです。清少納言がたたえたように、この時期の夕暮れの趣は格別。そんな秋の夕日のように、楓などに先立ち一足早く真っ赤に色づくのが櫨(ハゼ)の樹です。燃え立つように紅蓮に染まるその姿は壮観の一言で、櫨紅葉(はぜもみじ)と呼ばれ愛でられてきました。 鶉鳴く 交野に立てる 櫨紅葉 散りぬばかりに 秋風ぞ吹く  ~前参議親隆~
釣瓶落としの日没後は、秋の夜長。さて、秋の味覚を楽しみましょうか。読書にいそしみましょうか。次第にかすかになってきた虫の声を聞きながら、月でも愛でて過ごしましょうか。

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