朝夕暑さも和らぎ、秋の気配を感じるこの頃。松茸も店頭にならびはじめ、秋の味覚を楽しむ季節がやってきました。昔から香りのよさが珍重され、味わいはもちろんのこと、希少さ、高価さにおいてはきのこの最上位に君臨する松茸です。焼き松茸、松茸ごはん、土瓶蒸し、お吸い物、、、年に一度は食べたい旬の味ですね。
松茸が赤松林で採れる事はよく知られていますが、その発生システムは解明されておらず現在では人工栽培は不可能です。日本人にとっては、特別なきのこ『松茸』ですが、世界で松茸を食す食習慣があるのは、ほとんど日本だけ。香りが独特とされ、むしろ嫌われている国もあります。このため、近年世界中から松茸が輸入され、庶民の私たちも手に入りやすく楽しむことができるようになりました。
国産の味わいが近い松茸はどこの産地でしょう?今回は、産地別の特徴とそれにマッチする松茸レシピについてご案内していきます。

長野県産の松茸
長野県産の松茸

食欲増進のほかにも体によい「松茸」の栄養と効能

「香り松茸、味しめじ」といわれる松茸の栄養についてもみてみましょう。松茸の良い香りは「マツタケオール」や「桂皮酸メチル」によるもので、食欲増進を促す作用があるといわれています。松茸には腸のぜん動運動を促進する不溶性食物繊維が豊富に含まれているので、便秘予防に効果が期待できます。
また冷え性などに有効な毛細血管を広げて血行をよくする働きのあるナイアシンや、血圧の上昇を抑えて高血圧予防によいとされるカリウムも多めです。
β-グルカンと呼ばれる食物繊維も多く含まれていて、最近ではこのβ -グルカンがキノコの細胞膜の成分で人の免疫機能を高める働きがある為、抗がん物質として大いに注目されており、松茸は特に腫瘍阻止率が高いとの研究報告もあります。

香ばしいかおりの焼き松茸
香ばしいかおりの焼き松茸

国産の旬はいつ?

8月下旬に東北や北陸で採れ始め、9月には信州、10月には京都や中国地方のものが出回ります。傘が開くと香りが飛んでしまうので、地面に顔をだすかださないかの見極めが必要で、上質な松茸を掘り上げるには名人の技がもとめられます。
松茸の代表的な産地は下記のとおりです。京都の松茸は味・香・歯ごたえのバランスがよく、広島の松茸は香りが良いことで知られています。
岩手県:下閉伊郡岩泉町
山形県:東置賜郡高畠町
長野県:松本市四賀地区
上田市:下伊那郡豊丘村、喬木村
京都府:京丹波町(旧丹波町)
岡山県:美作市
広島県:府中市・世羅郡世羅町・三原市本郷町

おだしで味わう松茸 土瓶蒸し
おだしで味わう松茸 土瓶蒸し

世界の松茸を味わい尽くす! 国産に似たバランスの松茸は何産!?

世界で松茸を食す食習慣があるのは、日本と韓国だけですので、現在各国から松茸をが輸入されています。
韓国、北朝鮮、中国(雲南省、四川省、吉林省、黒龍江省)アメリカ、カナダ、メキシコ、モロッコ、トルコ、ブータン、スウェーデン等、いろいろな国があり、且ついろいろな松茸があります。アメリカ、カナダ産のように色が真っ白で松茸らしくないのに、香りはすばらしい物や、小さい物はべーゴマに似たモロッコ産など・・・。その中で国産に似て(全く同じです)品質において一番良い物はどれでしょう?
【中国産】
南西部の雲南省や四川省、東北の吉林省や黒竜江省などで収穫されています。
見た目は国内産松茸とほぼ同じで、価格が国内産に比べて安いのが魅力。収穫してから店頭に並ぶまでに時間がかかるため、香りは国産に比べると低めで食感は少しやわらかです。早いと7月頃から出回りますが、旬は9月頃。
【韓国産】
韓国から輸入されている松茸も中国産同様に輸送に時間がかかるため、香りは国産ものに比べて低めで食感も少しやわらかめ。襄陽という地域が主産地で、9〜10月がシーズン。味わいは輸入ものの中でもっとも国内産に近いといわれています。これは緯度、経度および季節が日本と同じである事、比較的輸送距離が近いことが考えられます。「国産」と称して販売している松茸の中にも、この韓国産が多く混じっている事からも品質の高さがうかがわれます。
【アメリカ・カナダ産】
「アメリカマツタケ」とも呼ばれ、全体が白っぽいのが特徴です。日本の松茸とは種類が異なります。食感がやややわらかめですが、香りは強くカサが大きめのものが多いので天ぷらやすき焼き、パスタなどにもおすすめ。出回り時期は9〜11月頃で、価格は国内産に比べて低めです。
【北欧産】
スウェーデンやフィンランドで採れます。もともと国産松茸に近いといわれていましたが、DNA解析により日本の松茸と同じグループであることが判明したそうです。輸送による香りの低下は若干ありますが、見た目や味、香りは国産のものとほとんど変わりません。早ければ8月下旬から出回ります。
【トルコ・モロッコ産】
地中海沿岸のトルコや北アフリカのモロッコなどから輸入している松茸は「オウシュウマツタケ」といい、スギなどの木に寄生します。日本の松茸と種類は異なりますが、色や見た目や国内産と似ていて、鮮度がよいものは香りもよく、価格はお手頃です。出回り時期は10〜11月頃。
参照:野菜情報サイト「野菜ナビ」
いずれの松茸も気になりますね。
傘がひらいていないものは「ころ」とよばれ新鮮で香りが高いです。焼き松茸や奉書焼きなどにして、シンプルにすだち、お醤油でいただくのがおいしいですね。また土瓶蒸し・お吸い物などシンプルなおだしで香りを楽しみましょう!
開いた松茸は、炊き込みご飯やすき焼き、煮物、天ぷらなどでおいしく楽しめます。
これからまさに旬がはじまる松茸、ぜひ手にして秋の味覚を楽しんでください。

みんなが大好き 松茸ごはん
みんなが大好き 松茸ごはん