アロニアはここ最近、欧米の健康志向の高い女子に人気で、日本でも10年ほど前からジャムやジュース、サプリメントなどで見かけるようになりました。果実はブルーベリーほどの大きさで、北海道では早いところでは8月の終わりごろから収穫が始まります。この黒い果実には、目にいいとされている成分、アントシアニンが、ブルーベリーやビルベリーよりも豊富に含まれているそうです。健康ブームで注目されている「アロニア」。北海道ではそろそろ収穫の時期を迎えます。

ブルーベリーのような見た目だけど、ナナカマドに近い仲間

アロニアは北米産でバラ科に属し、果実は直径1cmほど、実の色は赤、紫、黒の3種類に分けられます。花の構造が、秋に赤い実をつけるナナカマドに似ているので、ロシアでは「黒い実のナナカマド」ともよばれています。
初夏に開花し、収穫は9月上旬ごろから本格化します。果実の見ためはブルーベリーに似ていますが、種類としてはナナカマドに近い仲間で、実のつき方もナナカマドと同じように、房状です。
最近は「チョコレートベリー」や「チョコベリー」などの名称でも親しまれていますが、英語名はチョークベリー(Chokeberry)です。
ブルーベリーのように生で食べるには渋味が強すぎるので、加工して食べます。果実酒やジャム、ジュースのほか、最近では錠剤のサプリメントも販売されています。

アロニアの花。5~6月に咲きます。
アロニアの花。5~6月に咲きます。

ブルーベリーよりも、ビルベリーよりも、アントシアニンが豊富な「アロニア」

最近よく耳にするアントシアニンという成分は、赤ワインやチョコレート、ブルーベリーなどに多く含まれるポリフェノールの一種です。目の機能に関係するロドプシンという成分の再合成を促進し、目の機能を回復する力があるといわれています。
このアントシアニンが豊富なフルーツの代表選手といえば、ブルーベリーですが、最近では、ブルーベリーよりもアントシアニンが豊富なハスカップや北欧産のビルベリーなども話題になっています。しかしアロニアには、それらのフルーツの2~3倍ものアントシアニンが含まれているということで、注目を集めています。
さらに、抗酸化作用を持つカロチノイドがブルーベリーの10倍以上も含まれているほか、脂肪の分解を助けたり、血圧を下げたりする機能も報告されています。
最近では健康ブームを受けてアロニアの成分に注目が集まり、大手メーカーの飲むヨーグルトや野菜ジュースにも利用されていて好評です。

北海道が最大の生産地。ハスカップに次ぐ、北海道を代表する果実に

アロニアは1976年、当時のソビエト連邦から日本に輸入された、比較的新しいフルーツです。日本では主に北海道の千歳市や伊達市、滝川市、旭川市などで栽培されているほか、岩手県や長野県でも生産されています。北米産やロシア産というと、寒いところで育つというイメージですが、丈夫で育てやすい果樹なので、日本のどの地域でも育てることができます。
日本での最大の生産地は北海道です。道内では2001年の収穫量は0.9tでしたが、2004年には4t、2013年には38tにまで増加し、さらに年々増えています。北海道のフルーツというと昔からハスカップが有名ですが、このところのアロニア人気で、アロニアもまた北海道を代表する果実になればと生産者らは期待しています。

赤い実のアロニアもあります。
赤い実のアロニアもあります。

八雲町ではアロニアの収穫体験会。栽培は初心者向き

北海道・八雲町の「噴火湾パノラマパーク」では9月、アロニアの収穫体験会が行われます。
・日 時…9月3日(土)~4日(日) AM11:00から
・場 所…噴火湾パノラマパーク内の果樹園
・参加料…無料 ※収穫するための袋を持参すること。
健康成分が豊富なアロニアを育てるには、特別な肥料や水やりは必要ありません。また、大げさな剪定も不要。病害虫もつきにくいので、園芸初心者向きの果樹です。
ブルーベリーのように生でそのまま食べることはできませんが、ジャムやジュースにしたり、酢に漬けたり、果実酒にしたりと、いろいろな加工で楽しむことができます。何より、栄養分が豊富なのがうれしいですね。
最近の健康ブームで、さまざまなものがスーパーフードやミラクルフードとして紹介されています。アロニアもここ10年ほどで注目を浴びている果実です。パソコンやスマホで目を酷使している方や、加齢、肥満が気になる方には、ありがたいフルーツといえそうです。
〈参考:北海道新聞2015年8月28日夕刊10面、「アロニア収穫量 急増、健康ブーム受け道内栽培盛ん」〉
〈参考サイト:らてら「漆黒の北海道産果実“アロニア”って何?」〉
〈参考サイト:北海道バイオインダストリー「アロニア機能性研究」〉

噴火湾。
噴火湾。