夏休みの真っただ中。海水浴やプールも楽しいですが、河原でのバーベキュー、川での水遊び、キャンプ……川へのお出かけも多くなる時期ですよね。
川で遊ぶのは本当に楽しい! でも、水辺には危険がたくさんあるのも事実です。
誤って川に落ちたり、泳いでいて溺れてしまったり……そんな時に、どう対処したらいいかご存じですか?
安心してレジャーを楽しむために、川の事故から身を守る方法について整理してみました。

楽しい川のレジャー、安心して楽しむには?
楽しい川のレジャー、安心して楽しむには?

中学生以下の子どもの事故は、海よりも「川」のほうが多い

警察庁安全局の平成26年のデータによると、水難事故の発生場所はその半数以上が「海」。
しかし中学生以下の子どもに限ると、「河川」での発生が5割を超えるのだそうです。
子どもにとって、海よりも川のほうが、いっそう注意が必要なのです。
水面は穏やかに見えても、流れが早かったり、急に深くなったり、水底の岩に足をとられたり……。
川には、岸から眺めただけではわかりづらい危険があります。
たとえ「以前にも来たことがある」川であっても、大雨などで増水すれば、その様相は一変します。
まずは「天気予報を確認」し、増水などのおそれがないかどうか、事前に確認を。
遊んでいる最中も、大人の目で「泳ぐ場所が危なくないか確認する」「下流で見守る」など、安全を確保することが必要です。
本格的に泳ぐ場合、とくに子どもは「ライフジャケット」を着用することをおすすめします。

川で泳いでいて、溺れてしまったらどうする?

ライフジャケットや浮き輪などがない状態で、もしも溺れてしまったらどうしたらいいのでしょうか?
・「(溺れた状態で)声を出して助けを呼ぼうとする」のはダメ
・「岸に向かって、泳ぎ着こうとする」のもダメ
声を出すと、肺から空気が抜けて、身体が沈みやすくなってしまうそう。
また、川の流れが速い場合、よほどの泳力がある人でないと自力で岸にたどり着くのは困難です。
おすすめしたいのが、「背浮き」と呼ばれる対処法です。
「流れにさからわず、あおむけになって水面に浮かぶ」
「手足でバランスをとって浮き続ける」
これを実践することで「呼吸を確保」し、「体力を温存」しながら、救助を待つことができます。
ご家族やお友達と、ぜひ知識を共有しておいてください。

手足でバランスをとり、あおむけに浮く。ペットボトルなどがあれば浮く助けになる
手足でバランスをとり、あおむけに浮く。ペットボトルなどがあれば浮く助けになる

服を着たまま、川に転落した場合はどうすればいい?

着衣のまま誤って川に転落してしまった場合も、「背浮き」が鉄則。
さらに、以下のような注意が必要です。
・「慌てて服や靴を脱ごうとする」のはダメ
・「大きく手を振って、気づいてもらおうとする」のもダメ
「背浮き」をして救助を待つ間、体温の低下やケガなどを防ぐために、服や靴は身に着けたままで。
衣服にわずかでも空気が含まれていれば、浮いているのに役立ちます。
また、服を着たまま腕を振ろうとすると、濡れた服の重さが加わって沈みやすくなるのだそうです。
まずは落ち着いて、水面にあおむけになって「背浮き」を!

家族や友人が溺れたら、または溺れている人を見かけたら?

まずは大声で、周囲に「溺れている人がいる」ことを知らせ、できるだけ大勢の人を集めましょう。
同時に、110番または119番(どちらでもOK)に救助を要請します。
そして、溺れている人が「浮いている」ための助けになるよう、「浮力」になるものを投げてあげます。
(浮き輪やペットボトル、クーラーボックスなど)
さらに、長いもの(ロープや物干し竿(ひも)、シーツをつないだものなど)を用意して、溺れている人につかまらせます。
しっかりつかまったと確認できたら、岸に引き上げてあげましょう。
「長いもの」の代わりに、大勢で手をつなぎ、溺れている人のところに近づいて助ける「ヒューマンチェーン」という方法もあります。
このように救助の可能性を高めるためにも、最初に「大声で人を呼び集める」のが大切というわけです。
「自分(たち」は大丈夫」と思っていても、思わぬ時に起きるのが事故。
対応法が頭の片隅にあれば、多少なりとも冷静に行動をとれるはずです。
「プールで『背浮き』の練習をしておこうかな」
「遠くからでも目立つ、明るい色のウェアや水着を選ぼう」
「救助要請のことを考えて、携帯電話のバッテリーは余分に用意しよう」
など、いろいろなことをお考えになった方も多いのではないでしょうか。
準備を万全に、夏のレジャーを楽しんでくださいね。
参考:羽根田治「野外危機回避マニュアル」(地球丸)

大人が目を離さないのが大切、流れの速さや水深なども確認したい
大人が目を離さないのが大切、流れの速さや水深なども確認したい