「千両みかん」── 真夏にみかんを所望した若旦那。果物はやっぱり旬が一番

2016/07/14 16:30

猛暑日となる日も増えてきて、体感的にはもはや本格的な夏の感じ……。 日本気象協会発表から、「2016年夏休みの天気傾向」も発表され、これからいよいよ夏本番ですね。 一方で現代は、野菜や果物の「旬」をあまり感じられなくなってしまいました。 夏に旬を迎える果物と聞いて、皆さんは何を連想しますか? おそらく、みかんと答える人はいないでしょうが、そんな話題の落語を紹介しましょう。

落語「千両みかん」の舞台は、冷蔵庫もない夏真っ盛りの江戸
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若旦那の病の原因 夏の盛りに大家(たいけ)の若旦那が原因不明の病で寝込んでしまいました。 医者は「何か思っていることがあり、それが胸につかえている。それを叶えてやれば病は治る」という見立て。 何も口にしようとしない若旦那はいよいよ衰弱していきます。 好きなお嬢さんでもいるのか……。 大事な跡取り息子を心配した旦那は、店の番頭に頼んで若旦那が何を思っているのかを聞き出させます。 若旦那は「どうせ叶わないこと」となかなか話そうとしません。 やっとのことで口を割った若旦那が言うには、なんと「みかんが食べたい……」でした。 番頭は食べ物くらいだったら、簡単なこと、と請け合ってしまいます。
江戸の大店(おおみせ)
江戸の大店(おおみせ)
夏の最中に、みかんがあった! ところが、季節は真夏。 冷蔵庫などない時代ですから、冬が旬のみかんなどあるはずもありません。そのことに、やっと気がついた番頭。 みかんが見つからず、息子がもし亡くなってしまったら、「お前は主人殺しだ」と旦那に脅かされることは間違いありません。 そこで番頭は、夏の町にみかんを探しに出かけます。 フラフラになるまで探しても、みかんはみつかりません。 困り果てた番頭は、ようやく神田の果物問屋にたどり着きます。 すると、果物問屋は腐るのを承知で、上物のみかんを何箱も蔵の中に貯蔵していたのです。 箱を開けると、案の定みかんはみな腐っていますが、その中にひとつだけ傷んでいないみかんがあったのです。 ところが、そのみかんひとつの値段がなんと千両! 店の旦那に報告すると、「息子の命が千両で助かるなら安いこと」と、ふたつ返事でみかん一つに千両を払います。
江戸時代の千両は、今の価値で8万〜10万円
江戸時代の千両は、今の価値で8万〜10万円
千両のみかんなら…… 若旦那にみかんを届けると、若旦那は10粒のうち、おいしそうに7粒を食べました。 「ご苦労だった。あとの3粒はお前のご両親とお前で分けておくれ」とみかん3粒をくれました。 「旦那は、若旦那のためにたったひとつのみかんに千両も出した。ひとつが千両なら、今この手にあるみかん3粒は300両だ。皮だけでも5両くらいはするか……。俺ももうすぐ、旦那の店から分家させてもらう。その時に100両くれるかどうか。えいままよ!」 番頭はみかん3粒を持って夜逃げしてしまいました。 (話の細部にはいくつかのバリエーションがあります)。 やはり食べ物は、体にもお財布にも旬がいいようです。おあとがよろしいようで。 ── ちなみに、7〜8月に旬を迎える果物は、スイカ、ナシ、メロン、いじく、プルーン、ラズベリー、ブラックべリー、マンゴスティン、パッションフルーツ、マンゴーetc.と様々。 野菜は、枝豆、うり、オクラ、おかひじき、キャベツ、ししとう、ショウガ、冬瓜、ズッキーニ、トマト、とうもろこし、ニンニク、ナス、モロヘイヤ、レタス、みょうがetc.とバラエティ豊か。 今夜の夕食は、ぜひ旬のものを食べましょう!

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