『トリコロール』3部作や『ふたりのベロニカ』の大ヒットで知られる名匠クシシュトフ・キェシロフスキ監督の没後20年を記念した特別上映が、Bunkamuraル・シネマにて7月9日から22日まで2週間にわたって開催されます。サブテーマは「あなたの愛は、何色ー?」。猛暑が予想されるこの夏、キェシロフスキが紡ぎだす愛のものがたりが、一服の清涼剤になるかもしれません。

『ふたりのベロニカ』 出典 Bunkamuraル・シネマ「キェシロフスキのまなざし」
『ふたりのベロニカ』 出典 Bunkamuraル・シネマ「キェシロフスキのまなざし」

突然の早すぎる死から20年 色あせない美しく詩的な物語

ポーランドに生まれたクシシュトフ・キェシロフスキ監督は、70年代よりドキュメンタリー映画を中心に本格的に監督としてのキャリアをスタート。80年代に入ると、その鋭い観察眼は人間の心の奥底に向けられます。愛に満ちた詩的な世界観と美しい映像は絶賛を受け、90年代にはジュリエット・ビノシュ、ジュリー・デルピー、イレーヌ・ジャコブといったフランスを代表する名女優3人をそれぞれ主演にむかえた『トリコロール』3部作が世界中で大ヒット。一躍時代を代表する名匠となります。しかしこれからの活躍が期待された矢先の96年、突然の心臓発作でこの世を去ります。54歳の若さでした。
今回の上映は、ル・シネマでの封切り時にも絶大な人気を誇った『トリコロール 青の愛』『トリコロール 白の愛』『トリコロール 赤の愛』『ふたりのベロニカ』をはじめ、今回のイベントのために特別に上映許可を取得したポーランド時代の初期作『偶然』『愛に関するみじかいフィルム』など6作品を含む全10作。映写機がほぼデジタルに移行しているなか、いずれも貴重な35ミリフィルムでの上映となります。

『トリコロール 青の愛』 出典 Bunkamuraル・シネマ「キェシロフスキのまなざし」
『トリコロール 青の愛』 出典 Bunkamuraル・シネマ「キェシロフスキのまなざし」

キェシロフスキ的主題に満ちた『ふたりのベロニカ』

運命、偶然、奇跡、孤独、そして愛。晩年の名作『ふたりのベロニカ』は、キェシロフスキ的主題が随所にちりばめられた不思議で美しい愛の物語。一方はポーランドの小さな村で、一方はパリ郊外で、同じ年、同じ日、同じ時刻に生まれた2人のベロニカ。同じような容姿、癖、音楽的才能を持ち、さらには先天性の心臓病まで共有していたふたりは、いつもお互いのことをどこかで感じ取っていました。
誰かが自分のことをそっと見守り導いてくれたら……。そんな幼い頃の想像や願望が詩的に繊細に描かれ、私たちのこころを時空を超えた彼方に解き放ってくれます。若い頃の(!?)夢や希望、前向きな気持ちをもう一度思い出したい、そんな時にもおすすめの作品です。癒し効果絶大! のこの作品ですが、もうひとつの見どころは監督の最後のミューズで『トリコロール 赤の愛』でも主演を務めるイレーヌ・ジャコブ。透明感あふれる奇跡のような美しさは、監督の創作意欲を大いに刺激したことは想像に難くありません。

世界が注目する深田晃司監督が、キェシロフスキを語る!

会期中には豪華ゲストを招いたト ークイベントも複数回開催。登壇ゲストには、今年のカンヌ国際映画祭で浅野忠信主演の最新作『淵に立つ』が「ある視点」部門審査員賞を受賞した深田晃司監督、そしてキェシロフスキ監督の祖国ポーランドの若い世代を代表する映画評論家のミハウ・オレシュチク氏が予定されています。自作『さようなら』でもイレーヌ・ジャコブを印象的に登場させた深田監督と、ポーランド映画界の今を代表するミハウ・オレシュチク氏。ふたりがキェシロフスキ作品を前にして、何を語るのでしょうか。この貴重なイベントをお見逃しなく!
キェシロフスキ監督の没後 20年を迎えるこの夏、 スクリーンによみがえる名作のなかに、ふと胸のうちに湧きあがる言葉にできない宝物をみつけに行きませんか。[上映期間]2016年7月9日(土)〜7月22日(金)
[会場]Bunkamura ル・シネマ
(東京都渋谷区道玄坂 2-24-1 Bunkamura 6F)
[料金]1500円均一(リピーター、学生は1200円)※税込

出典 Bunkamuraル・シネマ「キェシロフスキのまなざし」
出典 Bunkamuraル・シネマ「キェシロフスキのまなざし」