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綱引きは、世界の伝統行事!? シンプルながら奥深い、その魅力

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英語では「tug of war」世界じゅうで親しまれている綱引き

英語では「tug of war」世界じゅうで親しまれている綱引き

綱引きの様子を描いたレリーフ(アンコールワット)

綱引きの様子を描いたレリーフ(アンコールワット)

沖縄は綱引きが盛んな土地。写真は「那覇の大綱挽」

沖縄は綱引きが盛んな土地。写真は「那覇の大綱挽」

近年、春や初夏に運動会が開催されることが増えましたね。「つい最近、綱引きをした(見た)」という方も多いのではないでしょうか?
一本の綱を二組に分かれて引き合う「綱引き」。特別な技術がなくても参加でき、誰もが楽しめる競技です。
この綱引き、もともと神事やお祭りとして行われてきたもの。日本だけでなく、世界中に「綱引き文化」が存在しています。
豊作を願う、力を自慢する、領土を争う……など、その目的はさまざま。
近代化を経て、現代に生きる「綱引き文化」をひも解きます。

「綱引き」は、世界じゅうにあるんです!

世界遺産にも指定されている、カンボジアの宗教遺跡群「アンコールワット」。
大蛇を綱にして、神さまと魔神が綱引きをしているレリーフが残っています。
5~6世紀の中国の書物「荊楚歳時記」には、正月立春の行事として綱引きをしたとの記述があります。
これが、文献に出てくる最古の綱引きだそう。
現在でも、中国の少数民族ミャオ族、そして韓国の南部などに、伝統的な綱引きが残っています。
カナダの先住民族イヌイットに伝わるのは、耳に綱を絡めて引き合う(?)綱引き。
南米のベネズエラに暮らすヤノマミ族の人びとは、木のつるを綱にしての綱引きを行います。
ロシアや東ヨーロッパにも、春のお祭りで綱引きを楽しむ習慣があるのだとか。

もちろん、日本にもたくさん!綱引きを伴うお祭り

旧暦の5月5日に行われる「呼子の大綱引き」(佐賀県)。
町じゅうが「岡組」と「浜組」に分かれて綱を引き合います。
岡組が勝つと「豊作」、浜組が勝つと「大漁」になるのだとか。なんだかとても楽しそうですね。
同じく旧暦の端午の節句に行われるのが、「因幡の大綱引き」(鳥取県)。
国の重要無形民俗文化財にも指定されている、ユニークなお祭りです。
お祭りの前日にショウブやカヤを刈り、当日はそれらを使って、まずは綱つくり。
作った綱の「綱頭」を地面に叩きつけながら祝い歩き、その後で綱引きを行います。
「綱を切ってしまう」という、不思議な綱引きが伝わるのは鹿児島県。
綱を蛇に見立て、蛇の不思議な生命力にあやかろうとする意味合いがあるとされています。
東日本にも、綱引きの文化はたくさん残っています。
たとえば福島県には、米だわらを引き合う綱引きが。
秋田県には、旧暦のお正月に、上町と下町に分かれて綱を引き合う行事があるそうですよ。

五穀豊穣、雨乞い……沖縄は「綱引き王国」

沖縄、とくに本島の南部では、綱引きが盛ん。
熱心な綱引き愛好家は、「チナムシ」(綱武士、綱虫)と呼ばれるそう。
沖縄の綱引きの多くは、旧暦の6月から8月にかけて行われます。
その目的は、五穀豊穣、豊漁、雨乞い、悪い病気を祓う、などなど。
たとえば、糸満市に伝わる「糸満大綱引」は、五穀豊穣と豊漁を祈願して行われるもの。
「雄づな」と「雌づな」を繋いだ大綱を引き合います。
それらとは異なる意味合いが込められているのは「那覇の大綱挽」です。
古くから交易で栄え、王都・首里にも近い那覇の綱引きは「祝い綱」、つまり慶賀の綱引き。
沖縄戦による中断を経て、復帰の前年(1971年)に復活してからは、灰燼から立ち上がった市民の力を称え、平和を願う意味合いをもこめられています。
そんな「那覇大綱挽」にまつわるお話は、また日をあらためてご紹介いたしましょう!
参考:北村皆雄「つな引きのお祭り」(福音館)
国土社編集部編「日本の伝統文化 中国・四国」(国土社)
「日本の祭り」編集室編「日本の祭り 九州・沖縄編」(理論社)
稲福政斉「沖縄しきたり歳時記」(ボーダーインク)


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