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七十二候「あやめはなさく(菖蒲華)」。何が咲く?

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(更新 2016/6/27 11:00)

アミメさん、じゃなくてアヤメさんは5月に・・・

アミメさん、じゃなくてアヤメさんは5月に・・・

ショウブさんの花。まさかの穂状です

ショウブさんの花。まさかの穂状です

白い猫の爪みたいな模様のカキツバタさん

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黄色がアクセント☆センスを競うハナショウブさん

黄色がアクセント☆センスを競うハナショウブさん

あやめ時計が梅雨をお知らせ♪ 田植えです

あやめ時計が梅雨をお知らせ♪ 田植えです

梅雨に灯る紫色の花。6月27日〜7月1日頃は『菖蒲華(あやめはなさく)』の時季です。咲くのはじつは「アヤメ」というより「ハナショウブ(花菖蒲)」。しかもこの花、端午の節句で葉をお風呂に入れた「ショウブ(菖蒲)」の葉とは無関係?! 見分けがつかない例えに「いずれがアヤメかカキツバタ(杜若)」などといいますが、気づけば初夏からずっと咲いている紫の花・・・どれも同じじゃなかったのでしょうか? その見分け方とは?

まぎらわしい紫の花たちは、三交代で咲いていた!

アヤメ、カキツバタ、ハナショウブ。
初夏から梅雨に咲く紫の花は、なぜこんなに区別しにくいのでしょうか。それは、姿かたちが似ている以上に、名前がと〜ってもまぎらわしいから!!
そもそもアヤメ科の花はひとまとめに扱われがちだったといいます。
ショウブ(端午の節句でおなじみですね。香りが強くて薬効成分がある草です)は、古くから「あやめ」「あやめ草」と呼ばれていました。そして葉の形が似ているアヤメは「花あやめ」と呼ばれたり「菖蒲(あやめ)」と表記されたりし、しばしば混同されてきたのです。カキツバタは、花の色(青紫)を染料として布などに書き付けた「書付花」がなまったものともいわれます。
そこへさらに、ハナショウブが登場・・・え? 「ハナショウブ」って、「ショウブの花」ですよね?!
そんな予想を軽く裏切り、なんとハナショウブはショウブの花とは全くの別物だったのです!
野生の「ノハナショウブ」を原種として改良された日本産の園芸植物、ハナショウブ。花が美しくて、葉がショウブに似ている(←またこれです)から、この名に。
漢字で『花菖蒲』と書き「はなあやめ」とも読むなんて、ややこしいことこのうえありません。ハナショウブやカキツバタをアヤメと呼ぶ習慣が一般的に広まっていることもあり、この花を愛でるために「あやめまつり」が開催されたり、名札に「かきつばた」と書かれたりと、いまもなお混乱中です。
一方ショウブはサトイモ科で、紫でも華やかでもない花を咲かせます。ちなみに、ハナショウブの葉をお風呂に入れても薬効はないそうです、念のため・・・。
じつはアヤメ、カキツバタ、ハナショウブは、開花時期がずれています。
アヤメは、 5月上旬〜中旬頃。
カキツバタは、 5月中旬〜下旬頃。
ハナショウブは、5月下旬〜6月下旬頃。
関東地方では5月中旬に「アヤメの遅咲き」「カキツバタの最盛期」「ハナショウブの極早咲き」が同時に見られます。少しずつ重なりながら交代し、ずーっと咲いているように見えていたのですね!

アヤメ、カキツバタ、ハナショウブ。どこを見れば区別できる?

アヤメ科にはさまざまな仲間がいて変わり種の園芸種も多いのですが、大まかに見分けるポイントを知っていると、おでかけがいっそう楽しくなるかもしれません。
◎咲いている場所で見分ける!
「菖蒲園」など観賞用の施設に植えられているのは、たいていハナショウブ。
水に浸かるような湿原に群生していたら、たぶんカキツバタ。
日当たりのよい草地や低山地など、乾いた土地に群生していたら、おそらくアヤメ。
◎花びらのもとで見分ける!
花びらのもとの方に黄色があれば、ハナショウブ。
白く細い模様があれば、カキツバタ。
網目模様があれば、アヤメ。アヤメの名は「文目」「網目(編み目)」からきている、という説も。
また、花のサイズが手のひらより大きければ、まずハナショウブだと思って間違いなさそうです。
◎葉で見分ける!
慣れてくると、葉を見ただけで区別できるようになるといいます。
幅の広い順に、カキツバタ、ハナショウブ、アヤメ。
カキツバタは黄緑色で、葉に脈がありません。
アヤメは青白い緑色で、脈がはっきりしません。
ハナショウブは黄緑〜濃い緑色で、主脈が葉の中央に表に1本、裏に2本、はっきりと出ています。

「花菖蒲園」でお好みの品種をみつけてみませんか

「いずれがアヤメかカキツバタ」。
これは『太平記』で 源頼政さんという人が詠んだ歌からきた言葉ともいわれています。
怪しい鳥を退治したご褒美に 帝から菖蒲(あやめ)御前という憧れの美女を賜ることになった頼政さんですが、行ってみたらなんと、同じ服を着たそっくりな美女たちが! この中から本物を選び出せと言われ、困り果てて詠んだのが
「さみだれに 沼の石垣水こえて いずれがあやめ引きぞわづらう」
(五月雨で水かさが増していて、どれがアヤメかわからず引き抜くのをためらっています。運命の糸を引くのも)。
つまりアヤメとカキツバタ、そして手塩にかけて改良されてきたハナショウブは、まぎらわしいほど甲乙つけがたくどれも美しいということですね!(ちなみにこの歌に感心した帝は、自ら菖蒲御前の手を引いて頼政さんのもとに連れていったとのことです。)
ハナショウブには、おもに3つの系統が。さて、お好みはどれでしょうか。
◇江戸系
すっきりと粋な姿。園で群開させた、花の集団美を鑑賞します。群植したときにその品種が醸し出す雰囲気を感じたり、一花ごとの咲きぶりの変化を楽しみます。
◇肥後系
大きくて堂々とした姿。 鉢植えで育てて花を咲かせ、座敷に並べて一輪ごとの美しさを鑑賞するために、江戸系から改良されました。心に通じるとして、芯の形にこだわります。花が咲き進むにつれて刻々と変化する花容を楽しみます。
◇伊勢系
繊細で女性的な姿。起源ははっきりしません。垂れ咲きで、ふんわりした花弁と柔らかな色合いが特徴です。濃い緑色の葉はぴんとして、草姿がよく、花のバランスも素敵です。
姿かたちや花の色、筋の色やぼかし、刷毛目、芯の色、2色のとりあわせ、名前・・・育てた人のこだわりに思いを馳せながら眺めていると、興味は尽きません。

ハナショウブ前線、北上中です

北海道から九州まで、全国200カ所以上にあるという「花菖蒲園」。
じつは「あやめはなさく」の時季、関東以南ではすでに花が終わりかけのスポットも多いようです。おでかけ前にホームページなどで見頃をチェックしつつ、今年のハナショウブに会いに行ってみては。
当日は雨でも大丈夫! 濡れたハナショウブの匂い立つ美しさは、また格別なんです。
<参考>
『ハナショウブ(花菖蒲)』 日本花菖蒲協会:編(NHK出版)
『花菖蒲』冨野耕治・堀中明 塚本洋太郎:監修(家の光協会)

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