五稜郭公園のお堀にブルーギル!? 外来種の駆除に釣り人が活躍中!! 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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五稜郭公園のお堀にブルーギル!? 外来種の駆除に釣り人が活躍中!!

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このお堀にブルーギルがいるとは…。

このお堀にブルーギルがいるとは…。

きれいなハスの下にブルーギルが…。

きれいなハスの下にブルーギルが…。

食欲が旺盛なブルーギル。

食欲が旺盛なブルーギル。

外来種を放流してはいけません。

外来種を放流してはいけません。

五稜郭公園のお堀でボート。

五稜郭公園のお堀でボート。

白やピンクのハスの花が見ごろを迎えている函館の五稜郭公園。この美しいお堀で釣りを楽しむ人の姿が…。あれ? ここのお堀は確か、釣りは禁止だったはずですが…。実はこれ、釣りを楽しんでいるのではありません。20年前からお堀に棲みついてしまったブルーギルを駆除している、ボランティアの方々なのです。
本格的な駆除は2004年から毎年行われていますが、ブルーギルの数も年々少なくなり、駆除の成果が確実にあらわれているようです。

1992年にブルーギルを確認。2004年から本格的な駆除が始まった

函館の五稜郭は、日本で最初の洋式の城塞です。幕末に竣工されましたが、大正3年からは五稜郭公園となり、一般開放されています。お堀の外周は約18km。水深は平均で約2mです。お堀は川につながっていないので、外から水が入ってくることはありません。また、排水は下水道とつながっているので、お堀の水が直接、川や海に流れ出ることもありません。つまり、自然界とは直結していない、閉じたお堀です。
そんな閉じたお堀に、1992年、北大の調査によってはじめて、外来種であるブルーギルが確認されました。ブルーギルは産卵期を迎える6月中旬ころに、もっとも数が増えます。しかし、幸いなことに、五稜郭のお堀は自然界と直結しておらず、また、釣りが禁止されているので、ここで食い止めれば、繁殖力が高いブルーギルが拡散されることはありません。
これ以上、外来種が広がらないように、2000年から駆除が始まりました。最初の駆除の実績は4年間でわずか836匹。これではとてもブルーギルの勢いを抑えることができません。そこで、2004年からは積極的に駆除を行うことに方針を転換することに決め、電気ショックや釣りでの駆除が始まりました。こうして、2011年までの8年間で、約30,000匹を駆除することができました。

食欲旺盛なブルーギルを、電気ショックで駆除。夏場は釣りで捕獲

ブルーギルは北アメリカ産の淡水魚で、体長は20cmほどですが、五稜郭のブルーギルは10cmほどしかなく、小ぶりです。体は小さい魚ですが、昆虫や甲殻類、小魚や貝、在来種の魚卵や稚魚、はては植物までも食べてしまうほどの食欲旺盛な魚で、今では日本全国の沼やため池などに生息しています。五稜郭公園のお堀は、コイやナマズ、フナやカメしかいないお堀でした。ここに、誰かがブルーギルを放流し、あっという間に繁殖してしまったのでしょう。
ブルーギルの繁殖とは別に、お堀では2006年に、大型のコイが約300匹も死んでしまったことがあります。原因は、その冬の厳しい寒さにより、凍結していないわずかな水面にコイが密集してしまい、酸欠死してしまったといわれています。これ以降、お堀にはハスが繁茂し、水底に枯れたハスが堆積するようになりました。この堆積物が原因となって、電気ショックによるブルーギルの捕獲の効率がとても悪くなってきたので、函館市では毎年夏に除草するようになりました。
また、電気ショックは水温が20℃に上がると捕獲の効率がとても悪くなるので、水温が高い夏場の駆除は竿で釣ったほうが効果的だということもわかりました。

ブルーギルは生命力が強く、在来種の脅威に。魚以外の外来種も問題になっている

日本生態学会では、外来種の中でも特に生態系への影響が大きい外来種を「日本の侵略的外来種ワースト100」として定めています。その中で淡水魚は、ブルーギルをはじめブラックバスやニジマスなど、8種類が指定されています。
ブルーギルは食欲が旺盛で、在来魚の卵や稚魚を食べてしまいます。さらに生命力が強いので、生活廃水などで汚れた水でも生きていけるので、その数を減らすことが困難とされています。
外来種ワースト100には、淡水魚以外にもいろいろな種が指定されています。哺乳類ではアライグマ、ヤギなど、鳥類ではガビチョウ、ソウシチョウなど、爬虫類ではカミツキガメなど、両生類ではウシガエルなど、昆虫ではアメリカシロヒトリ、チャバネゴキブリなど、節足動物ではセアカゴケグモ、アメリカザリガニなど、植物ではオオアワダチソウ、セイヨウタンポポ、カモガヤ、ヒメジョオンなどなど。私たちの暮らしに身近な生物でも、実は外来種だった、というものも少なくありません。
逆に、日本から海外へ渡ってしまった外来種も問題視されています。たとえば、植物ではクズやススキ、イタドリ、ワカメなど、動物ではコイやキンギョ、タヌキやニホンジカなどが各地で“迷惑”とされています。

ボランティアの釣り人が貢献 !! 2004年以降、ブルーギルの数は減っている

五稜郭公園では、2004年から本格的にブルーギルの駆除が始まりました。2011年からは、函館市民ボランティアの釣りによる駆除が行われています。ボランティアに登録しているのは20人。毎年5月~9月の週1日、午前9時~午後3時半まで。6月は産卵期で駆除の効果が高いので、週2日と回数を多くしています。2004年度~2015年度の12年間で、約136,000匹が駆除され、そのうちボランティアが釣り上げたのは、2011年度以降の5年間で、約54,000匹にも上るといいます。
一方、ボランティアの方々も、もともとは釣り好きの人が多く、引きが強いブルーギルを楽しみながら釣っているようです。釣りを楽しみながら、しかも社会貢献できるとあって、この一石二鳥の試みは成功しているといえるでしょう。
ブルーギルは毎年、10,000匹ほどが駆除されていましたが、昨年度は2,000匹でした。最近はブルーギルに交じって在来種であるコイやフナがかかることもあるといいいます。今年は6月上旬までの4日間で279匹を捕獲しましたが、これは過去最小のペースだそうです。北海道の水産試験場によると、五稜郭のお堀のブルーギルは現在、約300匹にまで減っているのではないかということです。
〈参考文献:北海道における外来魚問題,工藤智,日本水産学会誌,Vol.78 (2012),No.5,pp.983-987〉
〈参考文献:日本生態学会編『外来種ハンドブック』 日本の侵略的外来種ワースト100 )
〈参考:北海道新聞2016年6月11日号 みなみ風11面「五稜郭公園の外来魚“ブルーギル”釣り6年目」 〉
北海道新幹線が開業したこともあり、観光のベストシーズンの今、函館に注目が集まっています。なかでも、五稜郭公園はお堀の形が珍しい星型で、タワーからはその五芒星の全景を見ることができます。ところがこのお堀には、いつのころからか、外来魚のブルーギルが棲みついてしまいました。毎年、桜が散るころから専門家たちが駆除を行いますが、この光景はあまり美しくない初夏の風物詩です。しかし、北海道の水産試験場や函館市、市民ボランティアの努力の成果が実り、着実にブルーギルの個体数は減っているようです。五稜郭公園のブルーギルについては解決されつつありますが、世界では大きな問題とされている外来種。五稜郭公園という小さなお堀の中のブルーギルを思うとき、それが実は世界の外来種問題にもつながっているのだと考えずにはいられません。


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